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LTVを高めるための道〜真理を探る深淵の分析〜 | 【連載アナリストブログ 第1章第3話】

UNCOVER TRUTHでアナリスト歴2年目の清水がデータ活用事例を紹介する連載ブログ
この記事では某飲食チェーン店で行ったLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)向上の取り組みを4回にわたって紹介します。

本ブログを開いていただきありがとうございます!
UNCOVER TRUTHの清水です。
第3話は深掘り分析についてご紹介します。

<ラインナップ>
第一章 LTVの定義決め
第二章 目標設定と定点観測
第三章 深堀分析
第四章 施策の検討と実施

■深堀分析

今回行った内容は「LTV 10,000円以上顧客」の分析です。
目標を「LTV 10,000円以上の顧客増加」としているため、目標に到達している人はどんな人なのか?を分析してきました。

分析ステップは


1.仮説だし
2.分析設計の検討
3.分析設計にあわせたデータの成型
4.データの可視化
5.考察とレポーティング

です。

1.仮説だし

まず内容に沿った仮説をいくつか出していきました。
今回は「LTV 10,000円以上の顧客はどんな人なのか?」の仮説をいくつかあげ、それを検証するためにはどのようなデータがあるといいのか?ということをあげていきました。

LTVが高い人はどんな人?
仮説例

仮説だしを行うことで、「LTV 10,000円以上と10,000円以下の顧客の違い」(No.2やNo.3など)と「LTV 10,000円以上になった顧客のプロセス」(No.4)の2軸で考える必要があることが分かりました。
また検証方法を考えることで、今手元にあるデータで検証できるか?を確認できました。

2.分析設計の検討

次に分析の設計を行いました。
目的(明らかにしたいこと)に合わせ、仮説を検証するために、どの観点でどんなデータを出すのか?やどのような定義で分析をするのかを明確にしていきました。
仮説だしの内容をより具体的に、明確にしていくイメージです。
個人的に設計の質が、その後の分析に大きな影響を与えると考えています。
要件の出来が、分析結果を左右するといっても過言ではありません。

今回は分析の設計以下のように定めました。


■ 分析目的:LTV10,000円以上の顧客はどのよう人なのか明らかにする
■ 分析のゴール:LTV10,000円を達成するための動きを明らかにする
■ 分析方針:目的を達成するために分析する観点


(1)基礎集計
年間の売り上げや回数、LTV10,000円以上の顧客の人数や構成比などを集計し、全体感を把握する
(2)差分分析
分析内容:LTV10,000円以上顧客と10,000円未満顧客の行動差を分析
内容詳細:LTV帯別の購入傾向(購入回数や間隔、商品など)を把握
分かること:LTV10,000円以上にするために促すべき行動
(3)セグメント分析
分析内容:LTV10,000円以上顧客を、ある軸に沿って分類分けし、分類ごとの特徴を分析
内容詳細:
   ・セグメント軸の検討
   ・セグメントごとの購入傾向(購入回数や間隔、商品など)を把握
分かること:LTV10,000円に到達するためのプロセス

ここで大事になるのが分析期間と対象者です。
期間や対象者を絞りすぎると少ないデータで分析することになるため、結果が偏ってしまう可能性があります。
一方で、幅広いデータを取りすぎると、解釈が難しくなってしまう可能性があります。
(10年前と今とでは市場や会社の状況が異なるなど)
そのため分析を適切に行うために、分析期間と対象者は吟味して決定しましょう。

今回は(会社的に)コロナウイルスによる影響が落ち着いてきた、商品ラインナップが刷新されたという2観点から、2021年1月以降に会員登録をした顧客を対象者としました。
分析期間も対象者にあわせ2021年1月以降と定めました。

分析設計の質が分析の質を決める
分析設計例

3.分析設計あわせたデータの成型(データマート作成)

次に分析設計に基づき、データの成形を行っていきます。
今回は、SQLを用いて購買データと会員データから分析のためのデータマートを作成しました。

データマート作成にあたって、まずデータマートを設計していきました。
見たい内容を見られるようにするには、どのようなデータ構成(=どんな情報を持たせるか)で、集計が必要なものはどのように集計するのか(どんな情報をどのような式で計算するのか)を設計していくのです。
分析設計に沿ってデータマ-トを設計していきました。

データ設計を組むことによってスムーズにデータを成型できる
データマート設計例

今回は、購入データ(購入日や購入商品など)に対し、顧客の情報(登録日やLTV10,000円以上かどうかなど)を持たせる構成にしました。
こうすることによって、どのような顧客がいるのか?のみならず、どのような顧客がどのような購入をしたのかまで分析できると考えたためです。

4.データの可視化

データマート設計沿ったデータが作れた後、BIツールを用いてデータを可視化しました。
分析設計にあわせて、データを可視化していきました。
この時、何を明らかにしたいのか?(仮説の検証)どのような見せ方をすれば解釈がしやすいか?を考えながら進めていきました。

例えば、今回「購入間隔(前回購入と今回購入の日数差)」を可視化しました。
この時、以下のようなことを考えてデータを読み解きました。
  仮説:購入間隔には周期があるのではないか(また周期があれば、顧客へアプローチするタイミングを決めやすいとも考えました。)
  明らかにしたいこと:購入間隔に周期があるか
  可視化の方法:間隔別に回数が分かれば解釈しやすい
    ・横軸に購入間隔、縦軸に購入回数をとる棒グラフ
    ・折れ線グラフで累積割合(全体に占める累積の割合…間隔が3日の場合:(間隔1日の購入回数 + 間隔2日の購入回数 + 間隔3日の購入回数) / 総購入回数)

この可視化の結果、7日周期での再購入が増え、仮説通りだったことが分かりました。
また全体の約60%が前回から2か月(60日)以内に再購入していることも分かりました。

それまでに作っていた曜日別の購入回数のグラフと今回作った間隔別購入回数のグラフを先輩にレビューしてもらった際、「土日の購入が増えているから、曜日別でも間隔を見るとよい」とアドバイスいただきました。
このアドバイスを受け、曜日別で間隔別購入回数のグラフを作ってみました。
すると、土日は7日周期で、平日は土日に合わせた周期(水曜日であれば3日、4日)で購入回数が増えていることが新たに分かりました。
全体だと7日周期ということしか分かりませんでしたが、曜日という観点を加えると、新たな発見ができました。

今回の可視化はここまででしたが、性年代やLTV別、季節などの切り口を加えると新たな発見ができそうと思ったものです。

データを可視化すると発見がある
購入間隔可視化例(全体)
細かく見ていくことでさらなる発見がある
購入間隔可視化例(水曜日)

このように、分析要件にあった可視化と、可視化からでてきた仮説の検証(深堀り)を繰り返しながら分析を進行していきました。

5.考察とレポーティング

最後に分析した内容をレポーティングしました。

レポートの構成は以下の通りです。
(1)与件の整理
・今回の分析の目的や目指すべきゴール、そのための分析方針
・分析定義:集計期間や除外条件など
・分析内容分析内容
(2)分析結果
・分析サマリー:分析で一番伝えたいこと(結論)を最初に少ないスライドでまとめました。
・分析詳細:結論に至ったデータや考察をまとめました。
(3)今後の展望:今後できることをまとめました。

第三話はここまで!
次回は施策の検討と実施について紹介していきます。

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