三井住友カードの事例で学ぶ、顧客に寄り添うデジタルマーケティング運営|セミナーレポート
UNCOVER TRUTHが注力する「UXO(User eXperience Optimization)=顧客体験の最適化」は、顧客獲得単価の高い金融機関のWeb施策ととても相性が良く、実際にUNCOVER TRUTHが金融機関のWebサイト改善を支援する機会も増えています。こうした中、UXOへの関心の高まりに比例して「どのように顧客ニーズを取り入れ、どのようにアウトプットすればよいか?」「施策推進のイメージを持てず、具体的な運営手法がわからない」という悩みを抱える担当者の方も増えているのではないでしょうか。
今回のセミナーでは、金融業界の中でもいち早くデジタルマーケティングの改革に取り組み、成果を上げてこられた三井住友カード様(以下、SMCC様)の事例をご紹介しました。これまでのセミナーと比べてもかなり早い段階で定員に達し、約20社の金融機関を含む50社以上の企業からご参加いただいたことを見ても、金融機関のデジタル化がもはや止めることのできない潮流であることが分かります。
PDCAを阻害する小さなボトルネック
ここからは「半年間でカード申込率が120%超に!三井住友カードさまのヒートマップ×PDCA術」のテーマで、UNCOVER TRUTH CAO(チーフ・アナリティクス・オフィサー)小川卓の講演内容をご紹介します。SMCC様との取り組みで小川はヒートマップツール「USERDIVE」とPDCAの大切さを改めて感じたと言いますが、これら2つに共通するのは、曖昧な理解や取り組みでは成果につながらないということ。「なぜPDCAを回すのか?」「そもそも何をPDCAするのか?」というところから徹底的に考え抜くことの重要性は、これまでの講演と同様、金融機関にももちろん当てはまります。
このうち「そもそも何をPDCAするのか?」ということを考えるために必要なのが、以下の言葉の頭文字を取った 「DMAIC」という考え方です。
- Define(定義):登る山(KPI)とゴール(KGI)を決める
- Measure(計測):データを取得し、分析するための設計を行う
- Analysis(分析):気付きを発見し、仮説を元に改善案を考える
- Improve(改善):ウェブサイト改善におけるPDCAサイクルを回す
- Control(継続):改善を継続するための取り組み
PDCAは、これらの要素を丁寧に整理して初めて効果的に回ります。逆に言うと、KPI設計ができていない、担当者がいない、1回きりで終わってしまう…という小さなボトルネックの一つ一つがPDCAを阻害する要因になりうるのです。
ボトルネックを一気に解消した、SMCCの戦略的アウトソーシングとは
こうしたボトルネックについては「PDCAを継続的に走らせるリソース(人・物・金・技術)がない」という表現に集約することもできるわけですが、その悩みを解決したのが、SMCC様、メンバーズ様、UNCOVER TRUTHの三社がタッグを組んだ取り組みでした。
ユーザーに寄り添い明確なゴールを持つSMCC様が、アクセス解析とユーザー行動の可視化による改善施策の提案・実行に強みをもつUNCOVER TRUTH、そして施策の実装と継続的な運用体制で支援するメンバーズ様に「戦略的アウトソーシング」を実践したという点がこの取り組みの大きな特徴です。
単なる部分的な外注ではなくプロジェクトの当初から三社をチーム化することによって【決断力 × 実行力 = スピード】を担保したことが勝因となりました。小川は、具体的な施策の内容に加え、このような体制構築が成功の鍵になったということをお伝えすると同時に「実行する・しないの判断基準をどこに置くのか、同じ箇所を何回までテストするのかを関係者で決めておくことも重要。この軸がぶれたままスピードを上げるのは危険」、また「一番の失敗は停滞すること。停滞するくらいだったら失敗してリカバリーする方がよほど意味があるので、早急にリカバリーできる体制を確保することは大きな意味をもつ」と改めて強調し、講演を締めくくりました。
各事業部のパフォーマンスにもコミットすることで、社内理解を得る
続いて、SMCC統合マーケティング部長としてデジタルマーケティングおよびCX戦略を牽引してきた佐々木氏にもご登壇いただき、パネルディスカッションの形式でよりリアルな話をお伺いしました。
始めのテーマは「社内に障壁があった場合、どのようにデジタルマーケティング推進していったらよいか?」。これに対して佐々木氏はまず、同社のWebサイトがプロジェクト開始時に抱えていた問題点を振り返りました。それは「売りたい商品やサービスを詰め込み、社内でも“声が大きい”順にコンテンツが並んでしまっていた」というもの。そのような状況の中、サイトの大規模リニューアルに際して「お客様は一体何を求めて我々のWebサイトに来てくれているか?」を徹底的に考えようとデータと向き合った結果、見られていないコンテンツが浮き彫りになったと言います。各事業部にそれを伝える一方で佐々木氏は、ユーザーのニーズに合わせて情報の出し分け(パーソナライズ)をするといった、基本的かつ各事業部のパフォーマンスを念頭に置いた施策を打つことによって、社内の理解を得ていったと話しました。
これに対して小川も、リクルート時代に新しいツールを全社導入した経験を振り返り「大切なのは、導入によって何が変わり、事業に対してどのような価値があるのかを見せること。社内講演会を実施したり、社内版FAQサイトを構築したりと、場合によってはツール導入のコスト以上にそのコミュニケーションにコストをかけてでも、今までできなかったことができるようになるというビジョンを社内に見せる必要がある」と話し、関係各所に具体的なメリットを想起してもらうことの重要性を語りました。
佐々木氏は他にも、負けることが許されない社内文化において「負けを認めながら打席数と打数を増やし、ひたすら改善活動を続けていく必要がある」といった苦労話を明らかにしたほか「メンバーズやUNCOVER TRUTHはあくまでも一緒にやっていくチームであり、線引きはない。一方で、自社のビジネスやお客様をよく理解している我々がKPIやKGIを設定し、それに向けて分析・実行・運用の支援をしてくれるプロフェッショナルのナレッジやノウハウをどれだけ組織に落とし込んでいけるか、ということを意識している」と、戦略的アウトソーシングを実践するうえで大切にしているスタンスを話しました。
UNCOVER TRUTHでは、今後もこのようなセミナーを通して積極的に成功事例を発信し、Webビジネスの成長やそれに向けた組織上の課題を抱えている企業・ご担当者様を支援してまいります。