マーケティングデータ基盤構築の4つの手順。1.データをあつめる
この記事では、 マーケティングに活用するためのデータ基盤構築の 「4つの手順」のうち社内に分散する顧客のデータを収集するプロセスである「1.データをあつめる」について書いています。
今記事におけるマーケティングデータ基盤とは、CDP構築だけではなく、その後のマーケティング施策やツール連携を意識したデータ構築や方針策定を含んだ環境基盤を指します。
マーケティングデータ基盤構築の「4つの手順」
・データをあつめる(この記事)
・データをつくる(別記事)
・サービスをつくる(別記事)
・コミュニケーションをつくる(別記事)
当社UNCOVER TRUTHはこの型に従い、CDP導入からCRM運用までをご支援しています。何度もプロジェクトを実践し、度重なる成功と失敗を繰り返す中でたどり着いた王道となる「型」であると考えています。 多くの場合、下図の型に従いマーケティング基盤を構築・運用していきます。
マーケティングDXのプロジェクトに日々奮闘されている方、もしくはこれから挑戦していく方、皆さまの参考となれば幸いです。
目次
手順1. データをあつめる
「データをあつめる」とは、社内に分散する顧客のデータを収集するプロセスのことを指します。
例えば、「データをあつめる」ことをマーケティング部門が主導する場合は、IT部門や営業部門、SIerや広告代理店や制作会社などパートナー会社の協力が必要です。このプロセスで多大な苦労をしている企業や担当者さんが多い印象です。
苦労しやすい原因の1つが「なぜ協力をしなければならないのか?」という相手を説得する必要があることが多いからです。例えば、店舗運営をしている営業部門にデータの提供を依頼します。「POSレジ」「来店ポイント」「会員DB」「DM」「チラシ反響データ」「店頭キャンペーンの過去実績」「販促施策の計画」などなど、対象となるデータは広範囲に及びます。仮に全国エリアに出店している企業の場合なら「エリア別に管理されたデータ」も存在します。当然ながら関係者も指数関数的に増えていくので、データを収集するにも都度説明したり、会議したりで各所と調整することが多くなり、困難極まることが容易に想定されます。
そのため、たくさんのデータはあるのに、その部門やチームだけでしか管理利用されていない状態を、世間では「データがサイロ化されている」と言います。
実際はデータのサイロ化ではなく、組織と目的のサイロ化が起こっている
データのサイロ化自体が課題ではなく、本当の課題は「組織×目的」のサイロ化であると考えています。
とくに大企業であればあるほど、業務を区分したバリューチェーンで組織が細分化されています。企業のバリューチェーンとは、「調査→製品企画→製造設計→調達→製造→マーケティング→営業→物流→販売→在庫管理→会計 .etc」などが典型的でしょうか。企業組織では機能最適のためのバリューチェーンが、実態としては価値の連鎖が不十分で「区分」された組織構造となっています。経営視点で俯瞰してみると、その機能組織ごとにKPIが設定されています。
しかし、各機能組織の所属員にとっては、各組織に割り振られたKPIは、さながらKGIと化します。ありがちなことですが、絶対達成の最上位概念が部門区切りの目標となるため、横串での協力関係を構築することが極めて難しくなります。
※データの「サイロ化」についてはこちらにも例を記載しています。
組織内で連携が成功しやすい条件
多くのプロジェクトを経験してきた中で、マーケティング部門が他部門との連携を成功させる条件があることに気づきました。
それは「企業トップの理解と協力がある場合」と「マーケティング部門の社内説得が秀逸な場合」です。
特に、「企業トップの理解と協力」は非常に重要な要素だと感じます。ボードメンバーの一致団結と全社号令があれば、会社はベクトルを合わせて動きます。ですが、そのような恵まれた状況が必ずしも多くないことも感じています。「マーケティング部門の社内説得が秀逸」であることが、より重要である考えています。協力関係を自助努力で構築することがプロジェクトを推進するリーダーに求められる資質です。最近増加しているDX推進部門の責任者に求められる要件がまさにこれにあたります。
顧客データ統合への協力を得るべき他部門に、どのようなメリットがあるのかを理論的かつ戦略を元に述べる必要があります。例えば営業部門にとっては、集客効果もリピート購入を促すチャネル構築も魅力的な提案になるでしょうし、それだけではなく「互いに協力することで自社の愛するブランドを大きく育てていこう!」という情熱的な共感を得られるプレゼンテーションも時には必要になります。
戦略ファームのようなストラテジーと、TEDのような情熱的プレゼンテーションで、関係各所のやる気に火を灯す役割を演じられるDX推進のチェンジリーダーが今では求められています。これまでプロジェクトの成功をおさめているクライアント企業には、とても聡明で情熱的なリーダーが必ず存在しています。
「なぜ協力しなければならないのか?」を伝えるために、最初に用意すべきものは「魅力的な戦略や方針」です。なぜこのプロジェクトに取り組むのか?自社の戦略実現に向けてこの進化がなぜ必要なのか?プロセスの入り口で、すでに「ゴールイメージ」が必要なのです。DX推進リーダーは戦略と志を併せ持って社内外に意思表示しなければならないのだと感じています。
他の手順については別記事になります。下記リンクよりご覧ください。
マーケティングデータ基盤構築の「4つの手順」
・データをあつめる(この記事)
・データをつくる(別記事)
・サービスをつくる(別記事)
・コミュニケーションをつくる(別記事)
この記事を書いた人
- 小畑 陽一
- 株式会社UNCOVER TRUTH
取締役COO(Chief Operating Officer)
music.jpやルナルナを手がけるエムティーアイ社出身。ソリューション事業責任者として、大手企業向けモバイルサイト構築ソリューションで、国内ナンバーワンのASPサービスを展開。2014年、取締役として株式会社UNCOVER TRUTHの取締役COOとして経営に参加。経営・事業戦略とマーケティングを管掌。 ad:tech Tokyo / Kyushu、宣伝会議、MarkeZine、Web担当者フォーラムなど講演活動多数。
著書:『ユーザー起点マーケティング実践ガイド』(CDP専門書籍)
データ分析や基盤構築、プロダクトの活用などについて、貴社の状況と目的に合わせて幅広くご提案します。
カスタマーデータのマーケティング活用にお困りの際はぜひお声がけください。