組織としてPDCAを正しく回しCRMの効果を最大化する方法とは?〜実践的なKPIツリーの立て方と分析の仕方〜|セミナーレポート
この記事では、2022年9月14日に行った「組織としてPDCAを正しく回しCRMの効果を最大化する方法とは?〜実践的なKPIツリーの立て方と分析の仕方〜」のセミナーについて書いています。今セミナーは全2回となります。ここでは2回目である、実践的なKPIの立て方と分析の仕方についての一部抜粋とアーカイブ動画のご案内をしています。
1回目のセミナーレポートとアーカイブ動画はこちらからご覧いただけます。別記事:組織としてPDCAを正しく回しCRMの効果を最大化する方法とは?CRMを正しく理解しよう~定義と実践ステップ~|セミナーレポート
目次
ビジネス軸とユーザー軸のゴールを考える
ビジネスのゴールとは、指標(何を)、値(どれくらい)、期間(いつまで)を考えていくことですが、それだけではなく、ユーザーのゴールについても併せて考えていくことが重要になります。ここでは、求人サイトを例として、ユーザーの体験プロセスと状態の変化を整理して、最終的にユーザーにどのような状態になってほしいのか?を考えていくことの重要性を話しています。
理想とするユーザーが増加することで、ビジネスのゴールが達成されるような相互関係であることが望ましく、仮に、ビジネスのゴールだけに注力して取り組むと「数字を上げるために何をすれば良いのか?」と考えがちになります。この時、ユーザーのゴールも併せて設定できていると「ユーザーの気持ちを変えるためにはどういうことができるのか?」といった観点も生まれるようになります。これにより、今までとは違ったKPIや施策を考えやすくなっていきます。
KPIとは何なのか?
次に、設定したビジネスのゴールとユーザーのゴールを達成するために必要なKPIの説明に入ります。
SMARTを用いたKPIの決め方
ここでは、戦略と戦術についての定義をお伝えした上で、KPIの立て方の1つとして「SMART」を用いた考え方を説明しています。SMARTとは目標設定のやり方の1つで、Specific(具体的)、Mesureable(計測可能)、Actionable(実行可能)、Realistic(現実的)、Time-bound(期限を設けられるか)の5つの指標を考えながら目標設定をしていくことを指します。
KPIはモニタリング指標ではなく、目標達成のための方針
KPIは単なるモニタリング指標ではなく、目標達成のための方針です。
限られたリソースで目標達成を目指すためには、やるorやらないことを決めて、やる中でも優先順位を決めて限られたリソースを寄せていく必要があります。もちろん考えたすべての施策を実行できれば素晴らしいですが、リソースや予算には限りがあることがほとんどです。
そのため、ここで重要になってくるのは、組織として、優先順位の高いものにリソースを寄せていくということです。社内で持っているリソースを活用するのであれば、場合によっては部署異動、配置転換等が出てきます。さらにスキルやリソースが足りないのであれば、採用や外部協力等を実行していく必要も出てきます。と考えると、人事の力も重要になってきますし、経営側でも目標達成のために決定した戦略へコミットして動かしていくことが求められていきます。
KPIの設定例
続いて、業界別に具体的なKPI設定について解説しています。
他にも、コーポレイトサイトやオウンドメディアの場合についても解説していますが、いずれの場合においても重要なのは、前段のSMARTを用いた目標設定に基づいた上で実効性や優先順位等を考慮して決定していくことになります。
ゴールとKPI達成に向けたユーザーセグメントと属性分析
ここからは、KPIツリー設定後、具体的にどのように分析から気づきを得ながら施策に活かしていくのか?をテーマにユーザーの分類(セグメント)や分析手法について解説しています。
一般的に、ユーザー全体を分析をすると、コンバージョンしていないユーザーがほとんどです。サービスによりけりですが、仮にコンバージョン率が5%~8%ぐらいだったとして、およそ90%以上のユーザーはコンバージョンしていません。ユーザー分析の際に、ひとまとまりとされたコンバージョンしていないユーザーに考えを引っ張られてしまうことがよくあります。
そのため上図のように、コンバージョンしていないユーザーの中でもセグメントに分けて考えることで、次のステップに進むユーザー、進まないユーザーを把握しやすくなり、その量や特徴、違いを分析しやすくなります。
ビジネス軸での分類方法|RFMによる分類
実際のユーザーセグメントの方法として、まずはデータを元に考えるRFMによる分類と具体的な考え方を解説しています。
ここでは、Recency(最終利用日)とFrequemcy(利用回数)での組み合わせ分類を例にしていますが、上図のように整理が進んでいくと、解約予備軍はどのぐらいいて、行った施策はどこに作用しているのか?この施策はどのセグメントを動かすためのものか?等の整理が進み、その先の施策が考えやすくなっていきます。
ユーザー軸での分類方法|コンセプトダイアグラム
次に、ユーザーの行動や気持ちを可視化するための手法であるコンセプトダイアグラムを中心に、ユーザー軸で考えた際の分類方法について解説します。
コンセプトダイアグラムとは、ユーザーの心理変容による行動を追いながら施策へと活かしていく方法です。ビジネス軸での数値の分類だけではなく、このようなユーザー側の視点も考えることで、他部署、社内でも共感しやすい指標を作りながら、新たな視点でのKPI設計や改善施策を実行できるようになっていきます。
実際の動画内では、コンセプトダイアグラムを作るための各ステップを丁寧に解説していますので、ぜひアーカイブ動画でご覧いただければと思います。
属性分析
前段でお伝えしたビジネス軸、ユーザー軸での分類が出来てくると、次はその分類群の特徴を分析していきます。
注意点として、細かく分類しすぎずに、ある程度の母数を元に分析を進めます。各分類ごとに次のステップに進むユーザー、進まないユーザーのどこに違いや特徴があるのか?と傾向を探ることが重要です。さらに、その傾向に対して何故そうなるのか?と仮説を出し、その仮説を試す施策は実行可能なのか?を考慮し、実行可能であれば、属性の分析をより深堀していくという手順を踏んでいきます。
KPIツリーのモニタリング方法と改善案の考え方
作られたKPIをモニタリングするために、全体KPIモニタリングレポートと施策KPIシートの2つを活用します。
全体KPIモニタリング
全体KPIモニタリングとは、KPI(目標と実数値)と施策が一緒に記載されているレポートを指します。
多くの企業で見かけるのが、施策は施策、目標は目標と別のレポートで管理されているケースですが、目標と施策が一緒に記載されているレポートがあれば、数値がどの施策によってどう変わったのか?どの施策が次の目標に向けて待っているか等がよりわかりやすく管理できます。
仮に数値のレポートだけを見ていると「数値が変わらなかった=施策による変化はなかった」と捉えがちになり、変化がない時はその情報をスルーしてしまうケースが見受けられます。ですが、実際に施策を実行していくと、目標以外での数値やユーザーの変化がある場合も多く、全体KPIモニタリングのレポートはそういった見逃しを防ぐ役割も担っています。
施策KPIシート
施策KPIシートとは、施策の気づきや発見を残していくためのシートになります。
小川曰く、事例集を作るのはおススメしていないとのこと。事例集の場合、作る側のインセンティブもないことが多く、誰も作らなくなる、事例集自体が使われないものとなっていくのをたくさん見てきたと動画内で伝えています。それを解決するのが、ご紹介している施策KPIシートです。施策を実行した後に事例集として改めて作りにいくのではなく、施策実行PDCAの各段階でこのシートを埋めていくことで、このシート自体が施策実行の情報を集約したシートとなり、自動的に資産となっていきます。
KPIツリーをもとにした施策実行の考え方と1to1マーケティング
最後に、施策実行の考え方と1to1マーケティングについて解説していきます。
施策実行の考え方
施策実行で得られるものは、ゴールやKPIの改善成果だけではなく、ユーザーに対する新たな気づきです。基本的に、施策とは成果を上げるためのものと言うよりは、仮説を検証するための手段であり、ユーザーの情報収集を行うことです。何が各ユーザーにとってより有益、有効なのか?について成功や失敗の情報が増えれば、考えられることが増えて施策の精度が上がっていくと解説しています。
それらを踏まえて、施策を考える上での7つのプロセスを具体的な例を交えて解説しています。
1to1マーケティングとは?
1to1マーケティングと聞くと、一人一人に対して個別に施策を行うことと解釈されることが多いですが、ユーザーに対する情報を施策を通じて集めていった結果として、1to1マーケティングが自然に出来上がっていくと解説しています。ユーザーの情報が細かくなるほどに手動では難しくなっていくため、ある程度の粒度で自動化することにより、結果としてユーザーセグメントに対しておよそ個別(のような)最適なコミュニケーションを実現できるようになっていきます。
アーカイブ動画へのリンク
アーカイブ動画はこちらから:組織としてPDCAを正しく回しCRMの効果を最大化する方法とは?〜実践的なKPIの立て方と分析の仕方〜
記事内では、一部を抜粋してお伝えしていますが、動画内では、各セクションの間に視聴者からの質問にもお答えするなど、今回も1時間越えの長編動画となっていますので、詳細部分は動画内でぜひご確認ください。
その他のKPIの記事はこちらからご覧ください。