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DX推進で商品価値だけでなく、定性的な顧客体験も提供するコメ兵(後編)

近年、日本国内でも「OMO」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)」といった言葉が広く浸透し始めました。

実店舗・EC・アプリなど様々なチャネルで企業とつながる顧客をどのように捉え、寄り添っていけばいいのか各企業単位でのアクションが求められています。

そのような中でマーケターはどのように対応していけばいいのでしょうか?

今回は、株式会社コメ兵の諏訪さんにお話を伺いました。

諏訪 弘樹 氏
株式会社コメ兵
ゼネラルアドバイザー
新卒で入社、ブランドバッグの専門部署にて、セールスやバイイングを経験、2010年に社内のWeb事業室立ち上げスタッフとしてCRM、Web広告などのダイレクトマーケティングを担当、その後リアルの店舗開発を経験、現在はマーケティング部にてWebマーケティングの統括、全社OMOやOne to Oneの取組み、新しい店舗形態の創造に対しての実務、アドバイザーやサポートを行なっている。

店舗とオンラインストアにて中古品、新品の買取りと販売を行う株式会社コメ兵が、DXをどのように考え推進しているのか、ぜひご一読いただければと思います。

■説得ではなく納得してもらう社内推進

ーーデータの活用やDX推進をするにあたって、社内への浸透はどのように進められていますか?

弊社は以前よりオムニチャネル戦略を進めていたので、もともとデジタルの大切さは浸透できていたと思います。

ーーデジタル領域での成功体験がない会社様だと、デジタルの活用に懐疑的な場合もあります。そのような場合、まずは小さな施策を行って成功体験を積むというプロセスが入りますが、コメ兵さんは既にオムニチャネルの活用でデジタルの体験を積めていたのは大きいですね。

ただ、既にデジタルを活用していたからこそ「今以上に推進する必要はあるのか」という声もありました。

ーーなるほど。そこから社員に納得してもらうには、どのような働きかけをされたのでしょうか?

まずは、今できていないことや課題を洗い出しました。そして、その課題解決のためにデジタルの活用やデータ分析が必要であることを説明すると同時に、他の部署にも起こり得る便益を伝えて理解してもらいました。

ーーWEB担当者だけでなく、現場や他部署にとっても良いことがあると伝えるのは大事ですね。

過去に店舗開発業務を担当していた時、出店の候補地を役員にプレゼンしていたんです。でも、いきなり「ここに出店したいです」と言っただけでは、なかなか話が進まなくて実現できません。プレゼンの場ではなかなか本音が聞けないこともあるので、「なぜここに出店をしたいのか」を伝えた上で、個別に意見を聞いて本音を聞き出していました。その経験を活かして、今回も一人一人に向き合う社内コミュニケーションを大事にして進めています。

さらに言えば、データ活用の場を作って終わりではなく、有効活用してお客様により良いものを届けるまでがゴールです。そのため、社内でも無理に説得するのではなく、きちんと納得してもらうことが大事だと考えています。

ーーマーケティング部門がデータを分析して終わりではなく、店舗や営業部門にも活かしてこそ分析する価値がありますよね。当たり前かもしれませんが、重要なことだと思います。

マーケティング部や営業の幹部には共感してもらっていますが、まだ店舗のスタッフまでは浸透できていないので、これからしっかりと伝えていきたいです。

ーー店舗でのオペレーションに活かせると、お客様の購入率やリピート率にもダイレクトに繋がりそうです。

■N1分析で行動の解像度を上げていく

ーーコメ兵さんではお客様の「愛着度」を考えているそうですね。この発想はどのように生まれたのですか?

最初は商品を目的にコメ兵を訪れるお客様が多いと考えています。そのため、どんなサービスでも商品が悪かったら話にはなりません。その上で、商品以外にも価値を感じていただくことで、お客様がコメ兵自体に愛着を持ってくださり、リピートにつながるのではないかと考えています。

ーーなるほど。その愛着についてはどのように解析しているのですか?

ロイヤルのお客様のN1分析を行っていて、共通事項を検証してます。

N1分析は、「一人もしくは数名だけを分析したところで、他の人も同じなの?」という意見も聞きます。確かに「本当に同じなのか」という疑問は少なからずありますが、その疑問を埋めるように分析を進めています。結果的に、新商品が出るタイミングでサイトを見に来ていただいている、スタッフから直接連絡できる関係となっている点などは共通していましたね。

ーー定量的に分析していけば、より強い根拠になりそうです。今後はランクごとの行動分析もできたら良さそうですね。

たしかに。「こういう予兆があると購買に繋がりやすい」とかが分かれば、そのための施策も考えられますね。

ーー他に考えている施策や、今後の展望はありますか?

N1分析の結果で、「スタッフとお客様の関係性を構築していくことが、ロイヤルのお客様を増やすことにつながる」ということが仮説として出てきています。まだ仮説段階なので、しっかりと分析してアウトプットしていきたいと考えています。

ーー数字や具体的なアクションまで落とし込めると、良いですね。

例えば、スタッフにただ「LTVを上げましょう」と言ったところで、購買頻度や単価を上げなければならないのはわかっても、具体的に何をすれば良いのかわからないですよね。その具体的なアクションの部分を、分析で解像度を上げていけたらと思っています。

今は分析結果がマーケティング部内に留まっているので、現場へと展開していきたいですね。ただ接客の指示を出すよりも、データに基づいた根拠があった方が、スタッフのやりがいにも繋がると思いますし。

コメ兵のメンバーは協力体制が強いので、ヒントになりそうな情報共有ができたら、部署を超えて協力してくれると思っています。

ーーなるほど。諏訪さん、本日はありがとうございました!

前編はこちらからご覧ください。別記事:DX推進で商品価値だけでなく、定性的な顧客体験も提供するコメ兵(前編)

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