CRMを運用する上で知っておきたい、クラスタリングについて
※読了時間(5~7分)
こんなお困りをお持ちのご担当者様へ
・普段CRMという言葉をつかっているけど、意味をあまりよくわかってない
・CRMをどこから手をつけていいかわからない
この記事を読んで知れること
・CRM第一歩目のクラスタリングについて知れる
・CRMの全体の流れの大枠がわかる
こんにちは。株式会社UNCOVER TRUTHの石川です。
Webマーケティングを行っていく中で、CRMという言葉を使う機会が増えてきました。
CRMと聞いて、MAツール、SFAツール等を思い出す方も少なくないと思いますが、
CRMとは一連の流れを指す言葉で必ずしもツールのことを指しているとは限りません。今回は、CRMを運用する上で必要になる顧客のクラスタリングについて少しお話させていただきます。
目次
1:CRMとは?
C:カスタマー R:リレーションシップ M:マネジメントシステムの3つで成り立つ言葉です。
ざっくりと日本語にすると「顧客管理マネジメント」等と呼ばれたりします。
もう少し、わかりやすくお伝えすると、顧客のステータスや顧客との関係を管理し、よりよい関係性を構築するためのマネジメントのことをCRMと呼びます。
CRMで使用するツールとして主となるものは、MA(マーケティングオートメーション)ツールや、SFA(セールスフォースオートメーション)ツール等になります。
2:なぜCRMが必要なのでしょう?
なぜ、顧客を管理し、よりよい関係構築を行うことが必要なのでしょうか?
いい製品・サービスを作ってさえいれば、顧客が買ってくれた時代が少し前までありましたが、
昨今では、似たような製品・サービスの競合も増え、顧客の選択肢自体が増えてきています。
製品やサービスは増えていくにも関わらず、
こと国内においては、反対にそれを購入する顧客の母数自体は減少傾向にあります。
かつ、顧客は様々なデバイスを使い、いつでも必要な製品・サービスを比較検討しやすい環境にいますので、本当に自分にとって必要な製品・サービスを簡単に選べてしまう現状があります。
そのため、企業は顧客を中心に据えることで、自社製品・サービスとのよりよい接点を構築し、より自分たちを選んでもらえるように、顧客一人一人と向き合える(One to One)管理体制や関係性を作ることが求められてきています。
3:まずはここから始めましょう。CRM開始の手順:クラスタリング
とはいえ、多くの顧客を抱えているサービスの場合、
全ての顧客を一人一人までに分解して、考えることは非常に難しいので、顧客をある程度の塊で分類して考えていく必要があります。
その際に必要になってくるのが、クラスタリングという考え方です。
クラスタとは?
クラスタ (cluster) は、英語で「房」「集団」「群れ」のことを指します。
CRMにおいてクラスタとは、母集団の中で、同じような傾向を持つ人を様々な角度、定義からグループ化することです。すごくシンプルに申し上げますと、皆さんが普段取り扱っている基幹データやWeb解析データの中から、似たような集団を見つける手法をクラスタリングと呼びます。
実際は、
クラスタの分類が完了したら、次はそのクラスタ毎にペルソナを作ります。
ペルソナができたらそのペルソナのカスタマージャーニーマップ、コンセプトダイアグラム等
ペルソナの行動や思考、意思決定に至るまでのプロセスを考え作成していきます。
さらに、
顧客の属性や行動内容、行動頻度に対してポイントを付与&スコアリングし、
そのユーザーのステータスレベルを可視化することを行っていきます。
カスタマージャーニーとステータスレベル毎のマーケティング施策(メール施策、Web接客施策等)をシナリオにし、オートメーションで組んでおくことで、より顧客にとって必要な情報を的確なタイミングで接触させられるようになり、企業が顧客に行ってほしい行動を促す手段として確立することができるようになっていきます。
とはいえ、今回は、クラスタリングにフォーカスした内容になりますので、カスタマージャーニーやコンセプトダイアグラム、スコアリング等はまた次の機会にお話しさせていただきますね。
このように、顧客を管理育成していくための第一歩が、顧客をクラスタリングする作業となります。
データ分析からのクラスタ作成は、例えばこんな感じです。
データ分析を行って、コンバージョンにまつわるユーザーを大きく3つに分類できた。
コンバージョンするユーザーの大多数は下記3パターンに分類される。
A:商品が安くなってからまとめ買いするユーザー
B:商品を即決で購入するユーザー
C:購入までに1か月かかるユーザー
この導き出されたクラスタに対して、
各カスタマージャーニーを描いていくことで、必要な接触ポイントやコンテンツが定義され、それに合わせたマーケティング施策を決定していきます。
ここではシンプルに記載しますが、例えば、こんなイメージです。
A:商品が安くなってから買うユーザー
∟セールが発生する際は必ずそのユーザーにメールを送信する
∟お買い得コンテンツへの接触を高めるため、Web接客ツール等で導線をレコメンドする
B:商品を即決で購入するユーザー
∟購入の際に、他商品とのバンドル購入、ついで買いをレコメンドで促して顧客単価アップを狙う
C:購入までに1か月かかるユーザー
∟今購入したほうがお得になるオファーを付けたり、競合優位性を説明しているコンテンツに触れさせる
上記は、コンバージョン(購買)を例にした内容となります。
最終のゴールは購買だとしても、潜在的なユーザーを顕在化させて、購買に向けていくための第一歩として、企業や製品・サービスのファンになってもらうというのをミッションとして持たれているご担当者も多いのではないでしょうか?例えばその場合、下記のような属性・行動データからファンをクラスタリングしていきます。
A:メルマガ登録者、開封率はおよそ80%で、都度そのリンクに対して流入してくれる。その後SNSで投稿した記事を毎回拡散してくれている。自社サービスのSNSもフォローしてくれていて、投稿に対してのエンゲージメントも高い。
B:メルマガ登録者、開封率がおよそ50%で、リンクへの流入は3回に1回位、自社サービスのSNSをフォローはしてくれているが、投稿に対してのエンゲージメントも低く、拡散はしてくれない。
C:メルマガ登録者、メールはほぼ開封せずに、SNSもフォローしてくれていない。
ここでは、シンプルにA、B、Cと分けていますが、実際はもう少し詳細に5~10段階位で定義されていることが多いかと思います。
上記のように、C<B<Aの順で自社にとっていいファンです。と定義した時に、
実際、現状Cに該当するユーザーがどのぐらいいて、どういう施策を打てば、そのCのユーザーがBに変化してくれるのか?を考えていく必要があります。
そもそもCというユーザーの母数が少ないのであれば、Cに対する施策はその影響度から後回しになるかも知れませんし、今後に向けてまずは、Cというユーザーをより多く獲得するための別の施策を展開する必要があるかも知れません。
仮に、CというユーザーをBへ、BというユーザーをAへと引き上げていくのであれば、
AやBというユーザーが、どのような属性でどのような行動をしているのか?を分析していき、その行動、属性データの違いや差分に注目してそれを動かすための施策を考えていきます。そして、各施策によって各レベルのユーザー数に変化があったかも可視化し、定点で観測していく必要があります。ここで重要なのは良い成果だけを追うのではなく、ユーザー数が増えていない場合でも「だめだったか~」で終わるのではなく、何故その施策でユーザーに変化がなかったのか?を深堀って調査し、知見を蓄積しながら次の改善へと取り組むことで、より精度と成果の高い施策の展開が可能となっていきます。
ここまでで少しお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、
ここでも重要になってくるのは、そもそもクラスタリングに必要なデータが取得できているのか?
というところです。より精度の高い分類を行っていくために必要なデータを取得し可視化できる環境整備が求められてきます。
さらに、メールにせよ、Web接客にせよ、この施策それぞれに、ABテスト等を行いながら、データを可視化し、振り返り評価し、改善していくPDCAを実行して、これらのシナリオの精度をより高めていく必要があります。
[参考]今改めて理解しておきたい、WebマーケティングにおけるPDCAとは?
4:CRMを進めていく上で注意する点
CRMはMAツールやSFAツール等を使用して効率化していくケースが多いですが、本来の目的よりも「ツールを入れよう!」という部分にフォーカスしてしまっているケースがあるように思います。
今使用している他ツール(解析ツール、基幹データ等)との連携の相性や、
ご自分たちの目的、使い勝手(特に実際に使用するレイヤーの方たちにとって使いやすいものか?)、管理体制、費用など、導入するまでに多方面で考慮すべき点があります。さらに、こういったツールは導入してからの日々の運用のハードルが高いケースもありますので、なるべく本来の目的に対して必要なツールを選ぶ必要があります。
いかがでしたでしょうか?
今回は、大枠でCRMとクラスタリングについてお話させていただきました。
どんな施策においても、“どんな行動をしている誰”をターゲットにしているのか?というのは、非常に重要な要素です。
弊社では、
複数チャネルのデータ(Web解析ログ・コンテンツ、ユーザーデータ・チャネル・自社DB)を統合し、
ユーザーにあった最適なコミュニケーションを行うためのレポートによる分析・可視化・改善案の提出、実行支援も行っております。
カスタマーが該当サービスや企業と最初に接点を持ち、継続的な関係性を持つのに至るプロセスを
カスタマージャーニーマップ・コンセプトダイアグラムの手法を持って可視化し、構築したジャーニー毎にクラスタリングし、ユーザー行動KPIに基づき、ユーザーを区分けして、クラスタ毎のユーザー数を可視化するお手伝いも行っております。
次回は、
前述でも、少しお話しましたが、
クラスタリングで顧客ペルソナを絞った後に重要な、
【CRMとカスタマージャーニー】について少しお話させていただければと思います。
またお時間あるときにご覧いただけますと幸いです。
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- 石川 敬三
- 株式会社UNCOVER TRUTH
- 代表取締役CEO
VOYAGE GROUP取締役、株式会社PeX 代表取締役などを歴任。その他アドネットワーク、比較サイト、辞書サイト等様々なBtoC・BtoB事業の立ち上げに従事。株式会社サイバーエージェントでは、広告営業を始め、大阪支社立ち上げ、メールマガジンサイトmelma等のBtoCサービスの事業責任者やEC事業の立ち上げ等に従事。
UNCOVER TRUTHでは様々な業界の企業さまのWeb事業を成長させるお手伝いをさせていただいております。
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