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<小川卓が解説!>まずは実践!CRM第1回:ユーザーの行動と態度変容を描こう

UNCOVER TRUTHのChief Analytics Officer の小川です。このシリーズでは、まずは実践!という事で、なるべくハードルが低い「CRM」の実践方法について全6回でお送りしていきます。CRMというと難易度が高そう!というイメージを持たれる方も多いかと思いますので、そのハードルを下げて、実際にまずは1回試してみることをゴールにします。

そもそもCRMとは?

CRMの基本については、代表の石川が書いた2つの記事をご覧ください。


本連載では、実践という事を踏まえ「行動と態度変容に基づいたユーザークラスタに対して、シナリオに基づいた適切なコミュニケーション施策を行い、より多くのユーザーにゴールを達成してもらう」という実践寄りの定義を行います。

さて、上記の内容を実現しようと考えたときに必要なことは全部で6つです。

  1. ユーザーの態度変容と行動を整理する
  2. 計測するためのデータ取得と設計環境を整える
  3. ユーザークラスタを作成し分析を行う
  4. 分析結果に基づきコミュニケーション方針を整理する
  5. コミュニケーションを実現するための仕組みや機能を導入し設計を行う
  6. 実際にコミュニケーションを行い、その効果を図る

今回の連載ではこの6つの内容を毎回紹介していきます。それではまずは「カスタマージャーニーやユーザーファネルの作成」を見ていきましょう。

どのような手法で整理を行うのか?

CRMを行うためには、まずは皆さんのサイトやビジネスにおいて、どのような世界を実現したいのか?を整理する必要があります。漠然と「お問い合わせを増やしたい」「売上をアップしたい」では必要なデータ取得や、具体的な施策の実行までたどり着かないことがほとんどです。

そこで最初に行うべきは、皆さんがどのようにお客様と接点を持って、最終ゴールまで導いていきたいのか?という整理になります。

手法は多種多様です。「カスタマージャーニーマップ」「コンセプトダイアグラム」なども良いでしょう。

■カスタマージャーニーマップ例

■コンセプトダイアグラム例

本連載ではユーザーの行動と態度変容を描くために「ユーザーファネル」を使った整理方法を紹介いたします。シンプルな方法ですが、CRMを作成する上でオススメです。

ユーザーファネルとは?

ユーザーの行動や態度変容をファネル(漏斗)形式で表したものです。筆者のオススメは2つのファネルを作成するというものです。その2つとは「ユーザー視点」と「サイト視点」です。

「ユーザー視点」では、ユーザー自身が感じる変化を整理し、「ビジネス視点」ではサイト上やその後のお客様とのコミュニケーションにおける動きを整理していきます。UNCOVER TRUTHのコンサルビジネスを例になるべく汎用的に使える例を作成してみました。

まずはお客様がお問い合わせをするまでの主にインサイトセールス部分から
■ユーザーファネル前半(左がユーザー視点、右がサイト視点)

それぞれ解説していきます。まずはユーザー視点から。ユーザー視点では、ユーザーの態度変容や行動がどう変わっていくかを整理します。

  • 何かのきっかけサービスを知りサイトに訪れた(認知)
  • 少し気になったので直帰せずに複数のページを見てくれた(興味)
  • その上でサービスや商品に興味を持ち、ニーズを満たす可能性があると感じた(検討)
  • 更なる情報収集のため、資料のダウンロードや、セミナー・イベントなどに参加(情報取得)
  • 情報を元に同業他社と比較し、社内での検討を進める(社内承認)
  • 候補として詳しく話を聞きたい(連絡)

という形になります。

ビジネス視点はそれぞれの行動をユーザーが行う際に、どのような形でサイトやリアルで接点を持っているかを整理します。このビジネス視点も作成しておくことで、第2回で紹介する「データ取得」そして第3回で紹介する「クラスタリング」を実行しやすくなります。

それでは問合せ以後のステップも見ておきましょう。

■ユーザーファネル後半(左がユーザー視点、右がサイト視点)

同じくユーザー視点を解説していきます。

  • 実際に打ち合わせを行い要件に基づいた実施内容と金額の提示を受ける(提案検討)
  • 社内で内容と金額に理解を得て、申し込みを行う(決済)
  • 分析や改善提案をいただき、サイトに反映させる(実行)
  • 結果やプロジェクトでの取組内容を評価する(振り返り)
  • 今後も更に成果を伸ばすために引き続き契約をする(継続)
  • 自社にとって成果を出す上で欠かせないパートナーになる(信頼)

こんな感じでしょうか。作成する上でのアドバイスとしては以下を意識しておくとよいでしょう。

  1. ユーザー接点から理想のお客様までのステップを可視化する
  2. ステップ数は最低5ステップ、最大15ステップくらいで考える
  3. 各ステップはなるべく「文章」にせず極力「単語」にする(文章だと覚えにくく、状況が限定されすぎるため)
  4. ユーザー視点を先に書き、それに対応するビジネス視点を後で書く。ビジネス視点から作成すると、ビジネス視点の「1ステップ」に対してユーザー視点が「複数ステップ」になってしまう可能性がある(逆も然り)
  5. 複数名での作成をすることで視点もれを防ぐ

ユーザーファネルを作ることで、初めてデータの環境整備が出来る

CRMを通じてビジネスの成長を実現するために、ユーザーファネルのステップは欠かせません。ビジネスの成長を実現する=より多くの人にファネルの下の方まで進んでもらう という事になります。

そのためには、各STEPにどれくらいの人がいて、施策を行った時に実際に次のSTEPに進んでいるかを確認する必要があります。つまりデータの環境整備とは、このユーザーファネルを「可視化して分析でき、施策が行える状態」を作ることに他なりません。

最初にファネルを作っておかないと、これが実現出来ない事がお分かりいただけるのではないでしょうか。先にデータの環境整備を考えて準備してしまうと、「見たいデータが見れない」「分析がしにくい」「施策が行えない」といった課題にぶつかることが多く、せっかくデータを整備したのに…と、なってしまいます。

さて、次回はユーザーファネルに基づいて、データの環境整備についてお話をしていきます。どういったツールがあるのか、どういったデータを取るべきなのか?引き続きUNCOVER TRUTHを例に考えていきましょう。お楽しみに!


小川 卓
株式会社UNCOVER TRUTH
CAO(Chief Analytics Officer)

Webアナリストとしてマイクロソフト・ウェブマネー・リクルート・サイバーエージェント・アマゾンジャパンなどで勤務。解析ツールの導入・運用・教育、ゴール&KPI設計、施策の実施と評価、PDCAをまわすための取り組みなどを担当。全国各地で講演を毎年40回以上行っている。デジタルハリウッド大学大学院客員教授。 主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。


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