BLOG

ブログ

CDP導入を検討すべきタイミングはいつ?|事例を元に時系列で解説

この記事では、CDPの導入を検討する必要が出てくるタイミングについて事例を元に時系列で書いています。また、当記事の下部に、CDP導入にかかる費用と項目例をまとめたホワイトペーパーダウンロードへのリンクもご用意しておりますので、ぜひCDPご検討の際にお役立てください。

筆者が2021年2月に国内初のCDP専門書籍「ユーザー起点マーケティング実践ガイド(外部リンク)」を出版してから、CDPやCRMに関するご質問を多くいただくようになり、それらに応えらえるようにと、CDP導入時の様々な疑問を解決するコンテンツを多く作成することが出来ました。普段からこのような率直なご質問をいただける環境があることを大変ありがたく感じています。

この記事では、筆者が普段マーケターの方々と雑談する中で、そういえば実はよく訊かれる「そもそもうちの会社ってCDP入れる必要あるのかな?」という質問にお答えしたいと思います。

ちょうど先日「データを活用しているんだけど、煩雑な業務が多くて困っている」というご相談をうけました。お話しを伺っているうちに「次のステージに行くのなら、CDPもしくはCDPのように管理画面で操作したり、データ連携の自動化がそろそろ必要そうですね」という話に至りました。

今回はその結論に至った経緯について、事例を元に時系列でお伝えできればと思います。「うちは、CDPを導入した方がいいのかな?」と考えられている方の検討の参考となれば幸いです。

某大手飲料メーカーさんがCDP導入を検討するまでの道のり

その会社では、LINEを活用して、購入促進キャンペーン(以下「CP」)のCRMを運用しています。

主なCPの内容とは、商品にQRコードのシールをつけて、購入者にCPへの応募をしてもらったり、マストバイ(指定商品の購入や指定金額以上の購入を条件とする)で、デジタルコンテンツをプレゼントしています。手法としては一般的で、多くの方が一度はこの手のキャンペーンに参加したことがあるのではないでしょうか?(昔は缶コーヒーの「ボスジャンが当たる」などが有名でしたね)

本題である「どのタイミングでCDPの導入を検討するのか?」を考えていくにあたり、このブランドがCDPの導入を検討するに至ったマーケティング施策の運用事例を時系列で追いかけてみましょう。

時系列①|新ブランドのローンチと同時にLINEでのCRMに着手する

先行しているブランドでほぼ寡占状態の、ソフトドリンクのジャンルに後発として新規参入しました。競合は、マス広告から人気スポーツのスポンサーまで行っており、競合商品のブランド認知度が非常に高いです。

施策の状況
LINEという身近なコミュニケーションチャネルに特化したCPプロモーションを実施し、CRMコミュニケーションに特化したマーケティング戦略で市場シェアの獲得に奔走しています。実際には、LINEでシナリオ配信ができるSaaSのツールを活用しており、そのツールを活用して、LINEで取得できるデモグラ情報でシナリオの出しわけをしていました。

CDP導入の道のり
CDP導入を検討するまでの道のり:新ブランドのローンチと同時にLINEでのCRMに着手する

時系列②|リピート顧客も順調に増加し、顧客の反応データが蓄積されていく

CPの企画や、デジタルコンテンツがターゲット層に響き、多くの反響を集めるようになりました。

施策の状況
LINE配信ツールでコミュニケーションを取ることで、CPへの反応や、配信したコンテンツへの反応、デジタルコンテンツの趣向性などがデータで取得できるようになってきました。

CDP導入の道のり2
CDP導入を検討するまでの道のり:リピート顧客も順調に増加し、顧客の反応データが蓄積されていく

時系列③|購買履歴やCP応募履歴で、顧客の趣向性などを把握できるようになる

前述のデータが、データベース(GCPのBigQuary)に蓄積されるようになり、顧客理解のための分析に活用されるようになりました。

施策の状況
CPの景品として利用されたデジタルコンテンツで、顧客の趣向性を捉えられるようになり、ここから先のCP施策の立案に活用されていきます。これにより、より効果の高いCP施策の実行に向けたPDCAが実施されていきます。

CDP導入の道のり3
CDP導入を検討するまでの道のり:購買履歴やCP応募履歴で、顧客の趣向性などを把握できるようになる

時系列④|ユーザークラスタ(顧客群)に分けて、個別最適なコミュニケーションを配信する

顧客に関する様々なデータが増えていくにつれ、趣向性などでユーザークラスタ(顧客群)をいくつかに分けることができるようになり、企業側でも顧客理解が深まっていきました。

施策の状況
各ユーザークラスタの趣向性等のデータを分析することで、最適化したCPの企画を立てやすくなっていきました。実際に、ユーザークラスタ毎で顧客のリストを抽出し、最適化したCPを利用したコミュニケーションの配信をするようになりました。一般的にいうセグメント配信ですね。データの活用によって、企画や施策の精度が高まり、CPへの反応率も高まり、商品の売れ行きも高まっていきていました。

CDP導入の道のり4
CDP導入を検討するまでの道のり:ユーザークラスタ(顧客群)に分けて、個別最適なコミュニケーションを配信する

時系列⑤|手動運用への限界を感じる

しかし、ここにきて、さらに精度を高めようとすればするほど、データの処理にかかる工数が肥大化していきます。ここまでは手動で運用していたため、手動運用での限界が訪れます。

施策の状況(手動運用の手順)

  • 1)LINE配信ツールに蓄積されたデータをBQに連携(CSVでDLしてBQに格納)
  • 2)会員情報やレスポンスデータなど複数ファイルをBQに格納してデータの欠損チェック
  • 3)SQLを叩いて特定条件のユーザーを抽出する作業(クラスタのユーザー抽出)
  • 4)CPの効果検証(KPIとなるCP応募人数/応募率/応募回数など)
  • 5)抽出されたリストごとにCP企画のブラッシュアップ
  • 6)CP配信対象リストをCSVでDLしてLINE配信ツールへ格納
  • 7)CP配信リスト毎にLINE配信ツールでシナリオ設定をして実行

上記は、シンプルに作業手順を洗い出したものですが、これだけでも、手順が多く、内容も多岐に渡ります。ユーザークラスタの精度を高めるほど、クラスタの数が増えていくため、実施する作業工数はクラスタの分だけリニアに加算されていきます。

CDP導入の道のり5
CDP導入を検討するまでの道のり:手動運用への限界を感じる

時系列⑥|業務上のボトルネックを見える化する

CPの企画はアイデアも重要です。ですので、顧客のニーズを推測しながら、分析から企画立案までを行うマーケターには、この部分に集中してもらいたいところです。ただし「時系列⑤:手動運用への限界を感じる」で洗い出した手順のような作業に、マーケターが忙殺されると、CPの企画に充分な時間をかけることができなくなります。ここで初めて、これまで手動で行ってきたことを、オートメーション化しなければ先に進めないのでは?という課題が生まれます。つまり、そろそろCDPが必要ではないのか?となったのです。

具体的には、下記のようなボトルネックが明らかになっていきました。そのため、人員体制(工数)なのか、ツール導入(自動化)なのか、これらの課題解決を検討する必要が出てきました。

  • SQLをシステム部門に依頼しても対応が遅くなる。
  • マーケ部門ではSQLを叩ける人材が不足している。またはいない。
  • データの抽出(ファイルDL)や配信ツールへの格納作業の技術要件が多くてマーケ部門ではできない。
CDP導入の道のり6
CDP導入を検討するまでの道のり:業務上のボトルネックを見える化する

時系列⑦:ボトルネックを解決するソリューションの決定をする

課題は待ってはくれませんので、人員体制(工数)での解決か?ツール導入(自動化)での解決か?を判断しなければなりません。

この例となった、クライアント企業では、CDPを含めたツール導入の方針を打ち出しました。時系列①〜④で十分に手動運用をしてきた経験があるため、導入すべきツールについても必要な機能要件が判断しやすく、費用対効果の良いツール選定ができると期待を持てています。※手動での実行経験は非常に重要です。

CDP導入の道のり7
CDP導入を検討するまでの道のり:ボトルネックを解決するソリューションの決定をする

ほとんどの企業の場合、データを活用するためのSQL人材や、マーケティングを理解したエンジニアを十分に確保することが難しいため、CDP/MAなどのツール導入によるオートメーション化推進の意思決定をするケースが多いと思います。

本記事にあるテーマである「CDPの導入を検討するタイミング」は、自社の運用が、どこで手詰まりになっているかを「時系列⑥:業務上のボトルネックを見える化」のように特定したタイミングであったという好例ではないでしょうか。ここまでお読みいただきありがとうございました。

お役立ち資料をダウンロード『CDP導入にはいくらかかる?』

1to1マーケティング、OMO施策など、顧客体験を向上させるためにCDPの導入を検討されているケースをよくお見受けします。当社でも日ごろからCDP関連のご相談やご質問を多くいただいておりますが、中でも費用に関するご質問を大変多くいただきます。本資料では、これまでの当社の経験を元にした、DXプロジェクトを推進する上で知っておきたい「CDPの導入にかかる費用」についてまとめています。

データ利活用に必要な操作に特化しているからこそスモールスタート可能なCDP『Eark』

「データ統合基盤を導入したけど活用出来ていない」「初期投資を抑えてスタートしたい」「適切なターゲットに絞った配信を行いたい」等のお悩みを解決するために、当社ではエントリーモデルのCDP『Eark』をご提供しております。

CDP関連の記事はこちらから

他にも、データ統合に関する情報や、CDPに関するセミナーレポート、費用や活用方法などの記事をご用意しています。皆さまの目的に合わせてご覧いただけますと幸いです。
→CDP関連の記事はこちらから


この記事を書いた人

小畑 陽一
株式会社UNCOVER TRUTH
取締役COO(Chief Operating Officer)

music.jpやルナルナを手がけるエムティーアイ社出身。ソリューション事業責任者として、大手企業向けモバイルサイト構築ソリューションで、国内ナンバーワンのASPサービスを展開。2014年、取締役として株式会社UNCOVER TRUTHの取締役COOとして経営に参加。経営・事業戦略とマーケティングを管掌。 ad:tech Tokyo / Kyushu、宣伝会議、MarkeZine、Web担当者フォーラムなど講演活動多数。
著書:『ユーザー起点マーケティング実践ガイド』(CDP専門書籍)


データ分析や基盤構築、プロダクトの活用などについて、貴社の状況と目的に合わせて幅広くご提案します。
カスタマーデータのマーケティング活用にお困りの際はぜひお声がけください。

サービスのご相談、資料請求、
お問い合わせをお待ちしております。

We are looking forward for your inquiry.

お問い合わせCONTACT US