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業界別CDP活用メリット:リテールモデル編

この記事では、業界別の代表的なCDP活用メリットについて書いています。今回はリテールモデル編です。

CDPは、導入する会社のビジネスモデルによって利用目的や活用方法が変化します。UNCOVER TRUTHでは、多数のCDP導入プロジェクトを経験する中で、ビジネスモデルに着目するようになりました。なぜならば、CDP活用の主目的であるCRMの設計は、ビジネスモデルによって基本要件が決定されるからです。

リテールモデル編

リテールは主に店舗での対面販売を主要チャネルとする業態です。アパレル、家電量販、ドラッグストア、ホームセンターなどが該当します。多店舗展開で、ECサイトも用意している業態の多くが当てはまるのではないかと思います。また、オンラインとオフラインの双方で販売チャネルを保有しているビジネスモデルでもあります。

業界別CDP活用メリット:リテールモデル編におけるリテールモデルと顧客の購入箇所
【リテールモデルと顧客の購入箇所】
出典 著者名:小畑 陽一 (著), 菊池 達也 (著), 仁藤 玄 (著)  書名:ユーザー起点マーケティング実践ガイド 出版社:マイナビ出版社 出版年:2021 該当ページ:26

このモデルに該当するユーザーには、店舗のみで購入するユーザー、店舗でもECサイトでも購入するユーザー、主にECサイトで購入するユーザーが存在します。(上図を参照)

店舗のみで購入するユーザーの中には、ECサイトで情報収集だけをするユーザーもいます。ECサイトのみで購入をする顧客の中には、店舗で商品を手に取って現物確認したり、体験型店舗で試用したりして、購入はECチャネルから行う人もいるでしょう。もちろん、そのような買い方をメインで想定する店舗展開も増えてきました。少し古いニュースですが、Amazonが渋谷のマルイにポップアップ店を出した時は衝撃を受けたことを思えています。

ユーザーはオンラインとオフラインのチャネルを複雑に往来し、自分の目的によって使い分けています。これらのユーザー行動に対して、最適化された購買体験を提供しなければなりません。

リテールモデル(オンラインとオフラインが直販チャネルの業態)でのCDP活用メリット

ECサイトとリアル店舗の統合データで顧客行動を分析してみます。

ECサイトで商品検索を繰り返し、多くの商品をカートに投入したり、お気に入り登録しているユーザーがいるとしましょう。従来のように、Webサイトなどのオンラインのデータだけを分析していると、このユーザーは「もうすぐ商品を買いそうなお客さま」と定義されることでしょう。しかし、オフラインの店舗データをつなげてみると、まったく異なるユーザー像が浮かび上がることがあります。

例えば、そのユーザーがECサイトで商品検索をした翌日に実店舗で該当商品を購入したとします。ECサイトで商品を閲覧していた目的は、翌日のお買い物の下調べだったことが予想できますね。Webビューイング(=オンライン上のウィンドウショッピング)としてECサイトを利用し、店舗でのリアルなお買い物を楽しみにしているユーザー像が浮かび上がってくるのです。

業界別CDP活用メリット:リテールモデル編におけるユーザーの行動とデータ統合と未統合時の流れ
【ユーザーの行動とデータ統合と未統合時の流れ】
出典 著者名:小畑 陽一 (著), 菊池 達也 (著), 仁藤 玄 (著) 書名 :ユーザー起点マーケティング実践ガイド 出版社:マイナビ出版社 出版年:2021 該当ページ:29

「店舗で購買済」という情報が得られなかったらどうなるでしょう?ECの運営担当者は、このユーザーに対して「すでに買った商品」を何度もリターゲティング広告でしつこく追い回してしまうかもしれません。

このときに損失するものは、リターゲティング広告やLINE配信のコストだけでなく、ユーザーの信頼さえ失うかもしれません。ユーザーにとって「すでに買った商品の広告」は決して喜ばしい情報ではないでしょう。不必要な情報に追い回されることで、ユーザーによってはブランドへの不快感さえ覚えるかもしれません。

CDPがあれば、オンラインとオフラインの行動データが統合されるため、広告出稿の停止判断が即時にできます。顧客への通知内容を「関連商品」のおすすめに変えられるかもしれません。メールやLINEなどでその商品を利用した「コーディネート」をコンテンツ提供できるかもしれません。

この顧客体験の差分は非常に大きく、企業と顧客の関係性(エンゲージメント)を左右しうるのではないでしょうか?

なお、オンラインとオフラインが顧客の購買行動に密接に影響することを示唆するニュースがありました。ユナイテッドアローズ社のECサイトが2ヵ月間停止したことで、実店舗の売上に影響したというニュースです。読者の中でも記憶に新しい方も多いでしょう。同社は2020年3月期 第3四半期の決算発表で、以下のように述べています。

「顧客は実店舗に来店する前にインターネットで商品を閲覧し、欲しい商品をある程度見極める傾向があることから、自社ECサイトが休止したことで来店のきっかけを失い店舗売上にマイナスだったとしている。
参照: Impress社のネットショップ担当者フォーラム

このニュースからもわかるように、顧客はオンラインとオフラインのチャネルを頻繁に往来し、自身の目的によって使い分けています。

企業が顧客とつながる戦略を描くためには、顧客の行動を可視化して顧客理解を促進しなければなりません。リテールのビジネスモデルを革新していくためには、CDP活用が絶大な効果を発揮すると伝われば幸いです。


この記事を書いた人

小畑 陽一
株式会社UNCOVER TRUTH
取締役COO(Chief Operating Officer)

music.jpやルナルナを手がけるエムティーアイ社出身。ソリューション事業責任者として、大手企業向けモバイルサイト構築ソリューションで、国内ナンバーワンのASPサービスを展開。2014年、取締役として株式会社UNCOVER TRUTHの取締役COOとして経営に参加。経営・事業戦略とマーケティングを管掌。 ad:tech Tokyo / Kyushu、宣伝会議、MarkeZine、Web担当者フォーラムなど講演活動多数。
著書:『ユーザー起点マーケティング実践ガイド』(CDP専門書籍)


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