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【CRM】顧客育成や転換に向けたデータ分析と仮説の具体例。「誰に、いつ、どこで、何を」

この記事では、顧客育成のための施策を考える際に必要な「誰に、いつ、どこで、何を」毎の分析例と仮説例について書いています。

「誰に」を分析する

「誰に」を分析することで、どのような顧客が次のフェーズに転換しやすいかを発見し、集客や施策対象におけるターゲットの精度を高めることが出来ます。

分析例:年齢

年齢別に見ることで、どの年齢層が転換しやすいのか、転換しにくいのかを判別できます。訴求方法やコミュニケーション、商品価格帯が、その年齢層の顧客に適しているのか、などの仮説につながっていきます。

年齢で見た顧客の転換数と率
【 年齢で見た顧客の転換数と率 】
出典 著者名:小畑 陽一 (著), 菊池 達也 (著), 仁藤 玄 (著) 書名:ユーザー起点マーケティング実践ガイド 出版社:マイナビ出版社 出版年:2021 該当ページ:115

分析例:オーディエンスカテゴリー

オーディエンスカテゴリー(クッキーベースに顧客の興味カテゴリーを割り振った情報)では、転換しやすい顧客を把握することで自社にマッチした顧客を把握できます。この情報は、広告のターゲットに使うだけでなく、各種コミュニケーション施策において顧客特性に応じた訴求を行うことができます。

  • 下図のデータ結果
    ・「スポーツ&フィットネス」カテゴリーの顧客において転換顧客率が高い
  • 仮説
    ・「運動好き」な顧客が自社商品にマッチしやすい?
オーディエンスカテゴリで見た顧客の転換数と率
【オーディエンスカテゴリで見た顧客の転換数と率】
出典 著者名:小畑 陽一 (著), 菊池 達也 (著), 仁藤 玄 (著) 書名:ユーザー起点マーケティング実践ガイド 出版社:マイナビ出版社 出版年:2021 該当ページ:116

「いつ」を分析する

「いつ」の分析では、購入までの日数、Web/アプリ訪問回数などを見ることで、コミュニケーションのタイミングによる転換のしやすさを見つけます。

分析例:初回購入からの次回購入までの日数

「初回購入から次回購入までの日数」では、転換しやすい顧客(ここではLTVの高いロイヤル顧客を想定)になってもらうために、顧客にどのタイミングで訴求すると意思決定をしてくれる可能性が高いのか、クーポンなどの配信に効果的なタイミングを推測します。

  • 下図のデータ結果
    ・15〜30日に2回目購入する顧客が転換しやすい
  • 仮説
    ・すぐ買う顧客は購入ミス?
    ・ クーポン誘導が早い?
    ・一ヵ月をめどに購入する層が転換する?
初回購入から次回購入までの顧客の転換数と率
【初回購入から次回購入までの顧客の転換数と率】
出典 著者名:小畑 陽一 (著), 菊池 達也 (著), 仁藤 玄 (著) 書名:ユーザー起点マーケティング実践ガイド 出版社:マイナビ出版社 出版年:2021 該当ページ:117

Webサイトの訪問回数(月間)

「Webサイトの訪問回数」では、一定期間内におけるWebサイトの訪問回数と転換数や率との関係から、転換顧客特有の利用頻度を見つけられます。

転換した顧客ほどWebサイトに高い頻度で訪れているというのはよくありますが、転換しやすい境目(閾値)は、なぜその回数なのかを考えていくことで、必然的要因がわかることもあります。これは業種・業態によって異なる部分にはなりますが、Webサイトに来てもらうことが転換につながる、という証明にもなるため一度確認しましょう。

  • 下図のデータ結果
    ・月間における訪問回数が多いほど転換顧客率は高くなり、4回を境に転換率の割合は急上昇する
  • 仮説
    ・毎週(月4回)訪れてくれるような顧客が転換しやすい?
【Webサイトの訪問回数での顧客の転換数と率】
出典 著者名:小畑 陽一 (著), 菊池 達也 (著), 仁藤 玄 (著) 書名:ユーザー起点マーケティング実践ガイド 出版社:マイナビ出版社 出版年:2021 該当ページ:118

「どこで」を分析する

「どこで」では、マーケティングチャネル、Web流入チャネルなどを見ることで、転換するにあたり、どこから集客するか、またコミュニケーション場所はどこが最適かを見つけます。

分析例:マーケティングチャネル

「マーケティングチャネル」では、どのプラットフォームでコミュニケーションが最も多く集客できるか、転換した顧客が使用するプラットフォームを見つけることで、誘導するプラットフォームを見定めます。

  • 下図のデータ結果
    ・Webの顧客数が多く、アプリ、メルマガは少ないが、転換顧客率が高い
  • 仮説
    ・アプリとメルマガは顧客への通知によるコミュニケーションがとれているからではないか?
【マーケティングチャネルにおける顧客の転換数と率】
出典 著者名:小畑 陽一 (著), 菊池 達也 (著), 仁藤 玄 (著) 書名:ユーザー起点マーケティング実践ガイド 出版社:マイナビ出版社 出版年:2021 該当ページ:119

「何を」を分析する

「何を」では、「コンテンツ」と「行動」を分析します。「コンテンツ」は閲覧コンテンツ、参加キャンペーン/イベント、購入商品などのことです。「行動」はアクセスログの遷移行動、参加キャンペーン/イベント回数、合わせ買い商品などを指しています。コンテンツや行動の差分を見ることで、転換するにあたって訴求・促進するべき内容や行動を見つけられます。

分析例:閲覧ページ(コンテンツ)

「閲覧ページ」では、転換顧客率が高い閲覧ページを見つけることで、転換するにあたって顧客が見るべき情報を把握します。

検索軸ではどのようなページを使う傾向があるか、不明点はどのようなページで解決しているか、自社Webサイトにどんなページがあるかを考えながら、あたりをつけて分析していきましょう。また、この例ではページカテゴリー単位ですが、ページ単位で見てみると発見があったりします。

「一覧」というカテゴリーでは差分が出なくとも、細かく見ると「一覧」の特定のカテゴリーページでは転換した顧客ほど閲覧比率が高くなる、という傾向が出ることもあります。また、この例ではページカテゴリー単位ですが、ページ単位で見てみると発見があったりします。「一覧」というカテゴリーでは差分が出なくとも、細かく見ると「一覧」の特定のカテゴリーページでは転換した顧客ほど閲覧比率が高くなる、という傾向が出ることもあります。

  • 下図のデータ結果
    ・「詳細、カート、特集、お気に入り」は転換顧客率が高い
  • 仮説
    ・「詳細、カート、お気に入り」は転換する際は必ず閲覧している?
    ・「特集」の中で顧客の意思決定を後押ししているコンテンツがあるかも?
【閲覧ページにおける顧客の転換数と率】
出典 著者名:小畑 陽一 (著), 菊池 達也 (著), 仁藤 玄 (著) 書名:ユーザー起点マーケティング実践ガイド 出版社:マイナビ出版社 出版年:2021 該当ページ:121

分析例:参加キャンペーン(コンテンツ)

「参加キャンペーン」では、転換顧客率が高いキャンペーンを見つけることで、どのようなキャンペーンが好まれやすいか、転換につながりやすいかを把握できます。

キャンペーンにもいくつか種類があり、キャンペーン参加の報酬(割引・還元、プレゼント)と参加方法(オープン/クローズド、紙/QR/SNSなど)によって分かれます。参加数を見ることで、顧客が参加しやすいキャンペーンを把握し、さらに転換にもつながるキャンペーンを見ることで、顧客のモチベーションや購買意識が高まる要因を把握します。

  • 下図のデータ結果
    ・「プレゼントキャンペーン」は転換顧客数も多く、転換率が高い
  • 仮説
    ・ 価格が安くなるキャンペーンより、ノベルティがもらえるプレゼントキャンペーンの方が意思決定を後押ししている?
出典 著者名:小畑 陽一 (著), 菊池 達也 (著), 仁藤 玄 (著) 書名:ユーザー起点マーケティング実践ガイド 出版社:マイナビ出版社 出版年:2021 該当ページ:122

分析例:アクセスログ遷移行動、商品詳細ページ閲覧回数(行動)

「アクセスログ遷移行動、商品詳細ページ閲覧回数」では、行動回数ごとの数・転換率をみることで、転換にあたって促すべき行動の閾値を把握します。

下図のデータを見ると、商品詳細ページを1P(ページ)しか見ない顧客はおよそ半数存在し、転換顧客率は2.2%とわかります。2P見ると転換顧客率は2倍近くなり、3P見ると3倍近くに上がることがわかるため、顧客に複数の商品を見てもらうことで比較検討が進み、転換につながりやすいと推測できるでしょう。実際に転換した顧客がどのような商品を複数見ているのか、Webサイトではどのように行動したのか深掘りすると、複数の商品を閲覧してもらうための施策が具体化されます。

  • 下図のデータ結果
    ・転換率は1Pから2Pにかけて2倍になり、1Pから3Pにかけて3倍になる
  • 仮説
    ・商品詳細を2ページ、3ページ見てもらうことで、転換率が大幅に上がるため、複数商品を閲覧してもらうようなUI設計、レコメンドを置いたほうがよいのではないか?
【アクセスログ遷移行動、商品詳細ページ閲覧回数における顧客の転換数と率】
出典 著者名:小畑 陽一 (著), 菊池 達也 (著), 仁藤 玄 (著) 書名:ユーザー起点マーケティング実践ガイド 出版社:マイナビ出版社 出版年:2021 該当ページ:123

「誰に、いつ、どこで、何を」をしっかり分析し、そこに対して仮説を導き出していくことで施策が生まれます。データは施策に活用していくことで初めて価値を生み出すものですので、今回の記事が皆さんのデータ活用の何かのお役に立てば幸いです。


この記事を書いた人

小畑 陽一
株式会社UNCOVER TRUTH
取締役COO(Chief Operating Officer)

music.jpやルナルナを手がけるエムティーアイ社出身。ソリューション事業責任者として、大手企業向けモバイルサイト構築ソリューションで、国内ナンバーワンのASPサービスを展開。2014年、取締役として株式会社UNCOVER TRUTHの取締役COOとして経営に参加。経営・事業戦略とマーケティングを管掌。 ad:tech Tokyo / Kyushu、宣伝会議、MarkeZine、Web担当者フォーラムなど講演活動多数。
著書:『ユーザー起点マーケティング実践ガイド』(CDP専門書籍)


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