小川卓が解説!GA4だけで確認できる指標とBigQueryとの連携で確認できる指標とは|セミナーレポート
この記事は、2023年11月9日に開催されたセミナー「小川卓が解説!GA4だけで確認できる指標とBigQueryとの連携で確認できる指標とは?」の一部抜粋とアーカイブ動画のご案内をしています。
目次
登壇者紹介
株式会社UNCOVER TRUTH
CAO (Chief Analytics Officer)
小川卓
株式会社UNCOVER TRUTH
DX-Accelerator(ディーエックスアクセラレーター)
中本佳明
GA4のデータを見る5種類の方法について|小川卓
これまでのGAから、GA4に変わったことで、様々な形式でデータを取得できるようになりました。小川のパートでは、GA4のデータを確認できる各画面やツールについて、主な利用目的とどのようなことができるのか?を実際の画面を動かしながら解説しています。ぜひ動画と合わせてご確認ください。
GA4レポート画面の特徴
【健康診断的な用途として、必要なデータをザッと自分で見る】
▼特徴
- 最初からレポートが用意されている&各レポート項目のカスタマイズが可能
- アトリビューションの期間設定や、レポートIDを可逆的に変更可能(IDの種類を変更後、過去のデータにも設定が反映される)
- GA4のレポート画面の機能でしか得られないデータがある(※BigQueryの場合を除く)|リアルタイム、Insightの表示、アトリビューションページの平均滞在時間(※レポート画面でしか見られない)
- 利用難易度が一番低い
- セグメント機能が利用できない
- メニューの表示内容等は変更できるが、レイアウトの自由度は少ない
スプレッドシートの拡張機能の特徴
【スプレッドシートと掛け合わせてレポートを作成、必要な数値のみを出して共有する】
拡張機能をインストールしてスプレッドシートでGA4のデータを利用します。
▼Google公式:「GA4 Report Builder for Google Analytics」の特徴
- 自社の他データとの連携が可能なため、データを1か所にまとめやすい
- スプレッドシートを普段から利用している会社や組織の場合は利用しやすい
- 月単位で利用量が決まっている「トークン数」を消費する
- 別途、表やグラフを加工して利用することが前提のため、ひと手間かかる
- 導線系(ファネル、経路データなど)のレポートを作成出来ない
- 公式の拡張機能では、レポートへのデータ自動取得に未対応
▼公式以外でのおすすめ:「GA4 Google Analytics data by Syncwith」の特徴
- レポートのテンプレートが用意されている
- 複数プロパティのデータ取得に対応
- データの定期的な自動取得にも対応
GA4探索画面の特徴
【ウェブサイトを定期的に分析して気付きを発見するため&施策の評価に活用】
▼特徴
- セグメント機能を利用できるため、分けたり、比較する分析を行いやすい
- 導線分析(ファネル、経路データなど)を最も行いやすい
- LTV分析等も可能※BigQueryでも出来るが、LTV分析用のUIが最初から用意されている
- 仮説や要件を明確にしないと利用するのが難しい
- ディメンションや指標の組み合わせを正しく理解する必要がある 例)ランディングページとページタイトルの組み合わせの数値は意味がない等
- 規模が大きいサイトの場合はサンプリングが発生する。また分析期間に制限がある
- 作成した探索レポートは該当のプロパティの権限を持った人にしか共有できない
Looker Studioの特徴
【社内外にサイトの状況を(GA4以外のデータも合わせて)共有・活用するためのレポーティングツール】
▼特徴
- GA4や他ツールとの連携が行いやすく、複数のデータソースを交えた表やグラフも作成できる
- 関数等を使って、データの計算処理等を行うことが可能
- レイアウト、デザイン、数値の見せ方の自由度が最も高い ※エクセルとパワーポイントで作るようなイメージ
- 共有しやすく、Looker Studioを利用する側でも自由に期間やデータの絞り込みが可能
- セグメント機能を利用できない
- APIの制限があり、大量のレポートを作成したり閲覧者が多いと、1時間~1日位非表示になってしまう場合がある
- 自由度が高いこともあり、目的や設計を行ってからレポート作成をしないと活用されない
- ダッシュボードの機能がメインのため「分析」の機能を備えているわけではない
Big Queryの特徴
【複数種類のデータを組み合わせてユーザーの行動分析を行うために活用】
▼特徴
- GA4の標準機能のため、一定量の保存とデータ出力は無料で使える
- レポート化する必要がある ※BigQueryはデータを保存し、SQLを書いて出力する機能のため
- BigQueryを使わないとできない分析がある 例)CV前のユーザー行動分析、オンラインとオフラインデータを紐づけた分析等
- データ取得後の自由度が高いため、一度運用に乗せることができれば、データの利活用のレベルアップにつながりやすい ※前提として利用者の教育は必要
- データへの理解・SQLの知識・分析目的の明確化が欠かせない ※SQLをどのように書くか、その前でどの位集計するかで分析できる範囲が変わるため
- レポーティングとしても利用できるが、レポーティングとして利用する場合、UIを別で用意することを考えると大半の企業は他のツールで代替できる
具体的な要件と利用ツール
次に、どのような場面や要件で、各ツールを活用していくと良いのか?について例も交えて解説しています。
例)BtoBの企業サイトで、最後に商談を行って受注をする場合
例)BtoCの企業サイトで、オンライン商品購入が完了するサイト
BigQueryでGA4と他データを繋げて、ユーザーの一連の行動をより明らかに|中本佳明
BigQueryを使うことで、GA4のデータと他のデータを繋げることができるようになり、ユーザーの一連の行動をより明らかにできるようになります。
中本のパートでは、企業側に常駐でデータ活用のサポートをするDX-Accelerator(ディーエックスアクセラレーター)として、中本自信が携わってきた実例をベースに、企業が持っている様々なデータを繋げて分析することで新たに見えてくる部分について、企業のデータの状況や、実施した分析の一部も交えて解説しています。
アパレル会社における店舗の購入データとECデータの例
今回の例となる企業の利用データに関する基本情報
ユーザーの購入パターン例
上図を見ると、ECで欲しいTシャツをみつけた後に、サイズを確かめてから購入しようとしたユーザーが、実際に店舗に訪れて購入しています。一見、O2Oに成功しているように見えますが、ここで少し問題が出てきます。
ユーザーがTシャツを購入済みにも関わらず、EC側のデータでは、ユーザーの店舗での購入を確認できていないため、Tシャツを未購入だと判断して、メルマガやリターゲティング広告で購入に向けた施策が引き続き実行されています。
このことをユーザー目線で考えると、購入済みの商品の購入を再三に渡り促されるので、レコメンドに対して嫌気が指してしまうのが一般的な反応かと思います。では、なぜこのようなことが起きるのでしょうか?
企業の課題:データのサイロ化
そもそも、店舗とECそれぞれのデータが部門ごとに分けて管理されており、ユーザーを一意で捉えられないデータ環境があります。店舗とECそれぞれの担当者は、担当領域で最適化を進めているのですが、ユーザーにとっては最適なコミュニケーションが行えるようになっていません。このようなサイロ化されたデータ環境を改善し、ユーザーを一意で捉えるためにBigQueryを活用します。
DWH(BigQuery)で顧客データを統合する
この例では、店舗(店舗での購入時に使用している会員証のデータ)とGA4(Web行動データ)を取得し、BigQueryで共通のuser_id同士を統合しています。
データが統合されていると、どんなことが起こるか?
データのサイロ化が解消されると、ユーザーが本当に求めていることがわかるようになり、ユーザーに嫌がられる施策を減らし、ユーザーそれぞれに最適化された施策を増やすことができます。この例では、EC側で購入済みのTシャツの購入を促していたところから、購入済みのTシャツとコーディネートできる商品のレコメンドに施策が変わりました。これにより、ブランドに対する満足度も上がり、無駄な広告配信を減らし、LTVの最大化や費用対効果の改善に貢献します。
具体的な分析
ここからは、実際にデータを統合したことで出来るようになった分析の一例をご紹介します。
店舗とEC両方で購入しているユーザーの人数とLTVとは?
店舗とEC両方で購入しているユーザーは、全体の中で少ないものの、LTVが高い傾向があることがわかりました。では、店舗とEC両方で購入しているユーザーの属性やWeb行動に特徴は見られるのでしょうか?
店舗とEC両方で購入しているユーザーの特徴とは?
分析すると、店舗とEC両方で購入しているユーザーは、東京都在住、20代の女性に多いことがわかりました。ユーザーの属性がわかったので、これらのユーザーのWebの閲覧ページに特徴があるのかを調べていくと、他のユーザーと比べてスタッフブログを多く閲覧していることがわかりました。
スタッフブログのどのコンテンツを見ているのか?
LTVの高い、店舗とEC両方で購入しているユーザーは、東京都在住、20代の女性に多いことがわかり、他のユーザーと比べてスタッフブログを多く閲覧していることがわかりました。さらに、スタッフブログのどのようなコンテンツを閲覧しているかを調べた結果、ほとんどのユーザーがスタイリングを閲覧していました。ここから、これらのユーザーは、お気に入りのスタッフや店舗のスタイリング等を参考にして、ECや店舗で購入しているのではと想像できます。
このように、店舗とECのデータを統合したことにより、LTVの高いユーザーを見つけることができるようになり、それらのユーザーの特徴や行動も新たに分かるようになりました。
店舗とEC両方で購入しているユーザーの初回購入チャネルの人数とLTV
冒頭からお話している通り、LTVの高いユーザーは店舗とECの両方で購入しています。ここでは、店舗だけで購入しているユーザーにECでも購入してもらう施策を優先するのか?ECだけで購入しているユーザーに店舗でも購入してもらう施策を優先するのか?について考えてみました。
調べてみると、店舗とECの両方で購入しているLTVの高いユーザーの内、店舗で初回購入したユーザーの方が、人数もLTVも高いことがわかりました。このことから、まずは、店舗で初回購入したユーザーにECも利用してもらう施策を優先的に進めていくことが効果的であると考えられます。
今回の分析から得られた重要な3つの気付きと施策の方針
今後の施策に落とし込む
インサイトや施策は、アイディアとして出ることもあると思いますが、データを根拠にすることで社内への説得力が高まったり、データがあるので効果の検証しやすいのでPDCAが回りやすくなります。今回は分析の一部をご紹介していますが、データを統合することで様々な分析が行えるようになります。
BigQueryがあったからこそ見れたこと、分析できたこと
データを統合したことにより、基礎的な分析でも、ここまでご説明したようなユーザーに対する知見が多く得られました。顧客にとって最適な体験価値&チャネルを統合したロイヤル顧客像の理解と下図にあるように、ユーザーを一意に捉えるためのデータ統合や分析は、企業と顧客の両方に良い体験をもたらします。
今回の私の解説が、このようなユーザーと企業のコミュニケーションを作り上げる上で、Webデータをもう一段階高いレベルで有効活用することのきっかけとなれば幸いです。
動画はこちらから
本セミナーレポートは内容の一部を抜粋しております。すべての内容はぜひ動画内でご確認ください。※動画は遷移先のページでご登録後にご覧いただけます。
外部リンク:小川卓が解説!GA4だけで確認できる指標とBigQueryとの連携で確認できる指標とは?
UNCOVER TRUTHでは、CDPやCRMを主軸にデータ活用に関して皆さまのお役に立つコンテンツをお届けしてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。最新のセミナー情報に関してはこちらから。過去のセミナーレポートはこちらからご覧いただけます。