【Google Cloud木塚氏・小川卓登壇】オムニチャネル時代に必須!GA4×BigQueryで広がるデータ活用マーケティングの可能性|セミナーレポート
この記事は、2023年3月15日に開催した「【Google Cloud木塚氏・小川卓登壇】オムニチャネル時代に必須!GA4×BigQueryで広がるデータ活用マーケティングの可能性」のセミナーの一部抜粋とアーカイブ動画のご案内をしています。
2023年7月までのGoogle アナリティクス4(以下:GA4)への完全移行に向けて、すでにGA4を導入済みの企業や、今まさに導入を進めている企業も多いかと思います。GA4は、単体の利用だけではなく、BigQueryと連携することにより、データの活用範囲が大きく広がることをご存知でしょうか?
GA4は、これまでのGoogle アナリティクス(以下:旧GA)とは異なり、ユーザーをイベントという行動単位で捉えるデータ取得を行います。より精度の高いマーケティングを実践していくには、オンラインの行動データだけではなく、オフラインを含めた顧客データと統合して分析することが必要になります。これらのデータを統合する基盤となるのが、BigQueryです。
本ウェビナーは、GA4およびBigQueryを提供するグーグル・クラウド・ジャパン合同会社の木塚大悟氏をお招きし、データマーケティングにおけるGoogle Cloud製品群の活用方法について、具体例を交えて解説していただきました。また、データ分析・活用のスペシャリストである当社CAOの小川卓が、GA4とBigQueryを連携して使うことで、どのようなことが出来るようになるのかを、具体的なデモンストレーションを交えて解説しています。
目次
登壇者紹介
Google Cloudを活用した「差がつく」データマーケティング|グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 木塚大吾氏
動画内:2:00~24:25
マーケティングにおける課題
カスタマージャーニーは年々複雑になり、タッチポイントも多岐に渡るため、オムニチャネル時代のお客様を正しく捉えるのは難しくなってきています。
高額商品の場合、購入に至るまでのタッチポイントが900にも渡ったり、お客さまは、モバイルデバイスを中心に、パソコンやタブレットなどを駆使して色々なところからアクセスをして、情報を収集しています。さらに、およそ80%近いお客様がスマホで検索してから店舗を訪れる行動をとっていたりと、O2Oの渡り歩きが多く発生しています。ある調査結果によると、カスタマーセントリック(お客様を中心に据えた)なマーケティング戦略を取っている企業とそうでない企業の収益の開きが5.7倍となっているデータもあります。
今後ますます複雑になっていく世の中で、お客さまを正しくとらえて、お客さまを中心としたマーケティングを実施していくことがより重要になっています。
Google Cloudを活用した「差がつくデータマーケティング」
マーケティング施策の実行までの流れを例として説明していきます。
まずは、前段でお伝えしたような、様々なタッチポイントにある「データを集める」ことから始めていきます。次に、データは集めただけでは使えませんから「集めたデータを整理」して情報に変えていく必要があります。その次に「分析」を行います。より深いデータのインサイトから、お客様はどういった人でどういった行動をとっているのかを分析していきます。そのうえで「お客様にあった施策を実行する」となっていきます。
さらに、この一連の流れを一方通行とするのではなく、施策の結果はどうだったのか?と振り返り、このようなお客様をしっかりと捉えるための繰り返しのループをつくることが、お客様が複雑なカスタマージャーニーにいる時代で必要となっているのだと考えています。このような一連の流れのループを実現するためのサービスが、Google Cloudに用意されています。
データを集める:様々なデータソースとの連携
タッチポイントやデバイスが多様化する中、社内のオンプレミスやデータベース、マーケティングツールで、さまざまなデータは取れていたとしても、サイロ化している場合も多くあります。Google Cloudのサ-ビスでは、様々なデータを取り込んで加工するためのデータの口を用意していますので、様々なデータを吸い上げることができるようになっています。Google AnalyticsやFirebaseなどは、rawdataを吐き出せるため、お持ちのデータと突き合わせることで、個別個別のお客様を掴んでいくことが出来るようになっていきます。
データを整理する:大規模データを高速に処理可能なGoogle Cloud
社内のデータベースとWebサイトのアクセス解析データを共通となる識別子をもとにデータを統合、リアルタイム且つ高速に処理することができるBigQueryというサービスが、規模の読めないマーケティングデータへ柔軟に対応できるようになっています。
お客様を知る(分析):AI/MLを活用した高度な予測
AIと言うとまだまだ敷居が高く、相応のスキルを求められるように感じる領域ですが、例えば、過去の購買履歴から将来の購買予想に利用したりするようなAIや機械学習もGoogle Cloudを利用することでドラッグアンドドロップで簡単に利用する事ができます。
お客様にあった施策を実行する:可視化実行をワンストップで提供
データを集める→整理する→お客様を知る→施策実施の一連の流れにおいて、それぞれに利用できるサービスがGoogle Cloudに用意されています。
事例
動画内では実際の活用事例についてもお話しいただいてます。ぜひ動画でご確認ください。
GA4×BigQueryを利用すべき理由|株式会社UNCOVER TRUTH 小川卓
動画内:25:20~54:25
GA4×BigQuery:3つの価値
GA4では、レポート画面や探索画面と言ったGA4の画面上で見ることができるレポート機能が用意されています。ですが、GA4のレポート機能では、一部のデータにサンプリングがかかったり、自分が見たいデータを簡単には見られないことがあります。
こういった場合、BigQueryと連携して、さらにBigQuery側で集計や分析を行うことで、サンプリングの制限がかからなかったり、様々な分析を行えるようになります。他にも、looker studio(旧Google data portal)やスプレッドシートとの連携を行うことで、慣れ親しんだUIでデータを使えるようになりますから、レポート作成の幅も広がります。GA4の画面上だけだと、他のデータと紐づけることが難しいこともありますので、BigQueryを使って必要なデータを取得して、自分の手元の環境で集計や分析できるというのも、GA4とBigQueryを連携させる価値になります。
1)GA4だけでは取得できない新しい集計や分析が可能に
1つの例として、現在のGA4では、分単位のデータを見ることが出来ません。何かのTVCMの施策がバズッた時に、具体的な分単位での動きだったり、メールを配信した後の反応の速度を確認して、メール開封が早い方が求める成果につながりやすいのか、遅い方がつながりやすいのか等を分析したいとなったときに、BigQueryと連携していれば、クエリを書くことで必要なデータを確認することができるようになります。※動画内では、実際のBigQueryの画面を開いて、SQLを書いて動かしながら解説しています。
このように、GA4だけでは、出しづらいデータや深く分析したい時に、BigQueryとの連携が役に立ちます。
2)BigQueryと連携することで、他のツールとの連携による制限が緩和+レポート作成がより簡単に
GA4でのAPI連携の場合、GA4有償版、無償版に限らず、同時に使えるトークン数やクエリをどのぐらい投げられるかの上限があります。これらの上限を超えると、Looker Studioやスプレッドシートなどのレポート側で、データをとってくることが出来ずに、データが表示されない現象が起こります。ですが、Looker StudioやスプレッドシートとBigQueryを直接連携させることで、制限の影響を受けなくなります。さらに、SQLを使わなくても、レポート側の機能をそのまま使えますので、より簡単にレポートを作成することが可能になります。※動画内では、他ツールとの連携方法や、実際のレポートや挙動を実際の画面を動かしながら解説しています。
3)オムニチャネル分析が可能に
そもそも、個人情報(名前、メールアドレス)はGA4では取得してはいけません。ですので、BigQueryにこのようなデータを出しておいて、一意のキー(会員ID、お問い合わせ番号)などでGA4で取得したウェブ行動のデータとつなげることでオンラインの行動がオフラインにどのような影響をあたえているのかの分析が可能となります。
このようにBigQueryとGA4を連携させることで、分析の幅を広げたり、できなかったことができるようになったり、あるいはこれらのことが楽にできるようになったりといったところが価値となってきます。
オムニチャネル分析&活用事例
活用事例:分析を行った背景
ここでご紹介する事例は、オンラインのコンバージョンが「お問い合わせ」で、お問い合わせ後はオフラインで営業と直接やり取りをする中で商品を購入するサービスのBtoCのウェブサイトです。
高額商品や家や車などの検討期間の長い商材の場合、オンライン上のどのような行動がオフラインの成果に結びついているのかを把握することは重要で、多くの企業が抱えている課題かとも思います。もう少しお伝えすると、オンライン上の行動が、そもそも成約や受注に関係しているのか、仮に関係しているのであれば、それはどこで、どのように関係しているのか、それが分かったとして、どのようにウェブサイトを変えていくのかを実行するために、データを可視化していったプロジェクトになります。
この事例においてデータ連携のために使ったキーはお問い合わせ時のIDを使っています。ウェブでお問い合わせした際にID番号が発行され、それをGA4で計測し、ビッグクエリ側にデータを出しておいて、そのデータをオフラインのデータとつなげていく形を取っています。
要件の整理
実際に行った分析は全部で10種類程あります。
1つ目(下図内:分析1~3)は、初回オンラインコンバージョンから申し込みまでに、どのようなユーザー行動があるのかを分析します。ユーザーはサイトに何度か訪問して、オンラインで「お問い合わせ」や「申し込み」をします。その後もサイトに再訪している場合、申し込みしているユーザーとそうでないユーザーの閲覧行動に違いがあるか等を分析しています。
2つ目(下図内:分析4~5)は、初回訪問からコンバージョンまでの分析です。コンバージョンの直前に閲覧しているページには、何か特徴があるのか、それは流入元ごとに違うのかなどを分析しています。例えばコンバージョンする30分前に閲覧していたページのランキング等のデータを確認したりもします。
3つ目(下図内:分析6~10)は、全体を分析しています。複数回コンバージョンには意味があるのか、コンバージョンした後に「申し込む人」と「申し込まない人」ではそのコンバージョン前に閲覧している情報や、そもそも一番最初の頃に閲覧していたコンテンツが違うのか等を詳細に分析して、どういう行動してもらうことが初回コンバージョンにつながるのか、どういう行動してもらうと実際の申し込みにつながるのか等を分析しました。
1)BigQueryからデータ取得のための要件定義
具体的には、まずBigQueryからデータを取得します。下図は一部になりますが、GA4で取れているデータをつなぎ合わせたり加工したりすることで、クライアントID、クッキーID、セッションID、デバイス種別、都道府県、初回訪問、初回の流入元、最初に見たページ等など、ここでは全189項目を作っています。
他にも、お問い合わせIDをキーとしてつなげている成約関係のデータも作っています。あまり内容を出してしまうと、この事例の企業やサービスがわかってしまうので多くはお伝えできませんが、いわゆる事業側のデータベースに入っている情報もつなげて分析をしていきました。
2)データ取得
下の図は、1人のユーザーのデータの取得例です。1ユーザーがどのように行動していのるかが分かります。例えば、左側の列の「to_goal1_rank_session」というのは、GA側でコンバージョン1と定義したコンバージョンが達成された訪問を0として、そこから何回前の訪問なのかというのを出してます。コンバージョンが達成される前には、…5→4→3→2→1とし、コンバージョン達成後に訪問したら、-1→-2→-3…としています。他にも1ユーザーに対して、前段のデータ取得の要件定義でお伝えした項目分の列がある巨大なデータになっています。
3)分析の実施
この事例では、BIツールのTableauを使って分析をしています。詳しくお伝えはできませんが、全体で1億位の行数はあったかと思いますが、このようなデータをダウンロードして、集計し、分析加工しながら気づきを発見していくということをやりました。
4)分析結果のレポート化
下図は、実際に出てきたアウトプットですが、ここでは、オンラインでコンバージョンした後のサイトへの再訪・未再訪は「申し込み」に影響を与えているのかという分析をしました。下図内では、モザイクをかけていますが、この事例でのゴールは4種類あります。例えば、BtoBだと「資料請求」や「セミナー申し込み」とかそういったイメージのゴールです。
この4種類のゴールに対して、オンラインコンバージョンをした人が、サイトへ再訪問することでの申し込み率を見ています。ここで見ると、オンラインコンバージョン後にサイトへ再訪するユーザーの方が、実際の申し込み率がアップするということがわかりました。つまり、お問い合わせ後に、オフライン側の活動だけをすれば良いわけではなく、オンラインでも接点を持ち続けていくことによって、申し込み率の向上が望めるという結果が明確に出ていたりします。
次に、初回コンバージョンまでの閲覧行動は申し込み率に影響するのかという分析結果になります。下図のグラフは、サイトを訪問してから何分間で最初のコンバージョンをしたかを表したグラフです。左側は「オンラインでコンバージョンした後、申し込みしたユーザー」のグラフです。対する右側は「オンラインではコンバージョンしたが、その後申し込まなかったユーザー」のグラフになります。
申し込んだユーザーは、オレンジの部分の0分~5分が29%ですが、申し込まなかったユーザーでは65%となっています。シンプルな結果ですが、オンラインでしっかり時間を使って見てくれているユーザーの方が成果が出やすい、申し込みまでたどり着きやすいといった傾向がわかります。
オムニチャネル分析を行う上でのポイント
オムニチャンネル分析を行う上でのポイントは3つあります。
まずは、施策が実行できる箇所に基づいた分析を行いましょう。利用目的を明確にしないとデータに意味がありません。分析して終わるのではなく、そこから分析に基づいて、接客ツールを使って何かを出すとか、広告の配信を見直すだったりとか、その後に送るメールを見直すといった、施策としてできるところに対して分析しないと、改善にはつながりません。仮に分析までで、いったん止まったとしても、これまで想像で、「多分こうだろうね」と思っていたことが、しっかりと数字でわかること自体は重要です。そもそもやりたいことはデータを把握することではなく、改善していくことです。分析から得た気づきから、次に何を実際にやっていくのかということが重要だと考えています。
ですので、適切なデータを取得するためのSQL作成とデータチェックを綿密行う必要があります。この段階で、間違えていると間違えた結果が出てしまいます。そのために、ダブルチェックが必要です。この事例でも、データを出す中で、細かいやり取りを行い、仕様を確認しながら、何度もデータを出しながら調整していきました。
オンラインとオフラインがつながることで、今までなかった気づきが見つかるようになります。そして、その気づきはサイト以外でも活用できる場合が多くあります。例えば、オンラインでコンバージョンしてその後申し込む間に、特定のコンテンツがよく見られているというのが分かるのであれば、それを顧客とのコミュニケーションに使ったり情報提供するということもできるようになります。
BigQueryやGA4への理解を深めるためには
小川卓が提供しているGA4、BigQuery関連の各種情報のご紹介です。
GA4ガイド:GA4に関する情報サイト。BigQuery、SQL集なども公開
GA4無料資料(360ページ):実装・設定・レポートについて詳しく説明
GA4書籍:手元において使っていただく一冊。初級から上級に幅広く対応
当社新プロダクト「Eark」のご紹介|株式会社UNCOVER TRUTH 新居祐介
動画内:55:28~1:11:15
サービス概要と特徴
データ収集・利活用に、多くの企業で導入されているBigQueryを、SQL操作なしで活用出来るようにし、LINE配信などの施策実行もワンストップで実行可能にすることで、データマーケティングをもっと手軽に実践するためのツールがEarkになります。※Earkについての詳細は、こちらのページからもご確認いただけます。BigQueryを誰もが使えるツールに。データマーケティング支援ツール「Eark」
数多くのCDP構築・運用支援をしてきた当社UNCOVER TRUTHの経験を元に設計された、データマーケティングに必要なシンプルな機能と操作しやすいインターフェイス、マーケターでもBigQueryをわかりやすく&使いやくするためのGUIを実現しました。これらを低価格でご提供することで、「すでにBigQueryを導入しているが活用しきれていない」「これからBigQueryを導入したいが費用を抑えてまずは小さく活用していきたい」等といったご要望にお応えします。
実際の画面を用いた使い方のご紹介
動画内では、実際の管理画面上で、各項目や機能について動かしながら解説していますので、実際の挙動も含めてぜひ動画でご確認ください。
セミナー動画はこちらから
本セミナーレポートは内容の一部を抜粋した内容となっております。すべての内容はぜひ動画内でご確認ください。
外部リンク:【Google Cloud木塚氏・小川卓登壇】オムニチャネル時代に必須!GA4×BigQueryで広がるデータ活用マーケティングの可能性
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