外部行動データを活用して実現する広告・CRMの最適化の方法とは?|セミナーレポート

この記事では、2025年1月28日に開催された【株式会社プリンシプル主催15社共催「デジタルマーケティング完全攻略カンファレンス2025」】に登壇した当社の米村の講演内容の一部を抜粋してご紹介しています。
当カンファレンスは、業界の最前線で活躍するマーケティングのプロフェッショナルたちが集結し、各デジタルマーケティング(広告、SEO、コンテンツマーケティング、SNS活用、データドリブンマーケティング)の最新の手法を一挙に学ぶことを目的としたものです。米村のパートでは、外部メディアの行動データに焦点を当て、CRMや広告施策のレベル向上について解説しています。
目次
登壇者紹介

米村 建城(よねむら たてき)
株式会社UNCOVER TRUTH
コンサルティンググループ
アナリストチーム リーダー
2020年にUNCOVER TRUTHに入社。Google AnalyticsやAdobe Analyticsを活用したCRO(コンバージョン率最適化)のアナリストとして数多くの案件を担当。現在は、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)内のワークフロー設計などのデータ基盤の整備に加え、CRMに基づく顧客分析から施策提案までを幅広く担当。
CRM施策・広告活用は何をしていますか?
CRM(ステップメールやレコメンド)、広告(リターゲティングや検索)などの王道的な施策は、すでに多くの企業で日常的に行われていると思いますが、ユーザーに対して一律に実施されているケースも多く、それらの施策をユーザーごとに変えて実行できている方はまだまだ少ないと感じています。


ユーザーに合ったコミュニケーションの必要性
そもそも、ユーザーに合ったコミュニケーションとはどのようなものでしょうか。そして、なぜ必要なのでしょうか。ここでお伝えしている「ユーザーに合ったコミュニケーション」とは、ユーザーと関連性がある情報や興味関心のある情報を届けるということです。反対に「ユーザーに合わせていないコミュニケーション」とは、ユーザーとの関連性や興味関心は無視して、情報を届けてしまうことを指します。

ユーザーに必要な情報を届けることで、ユーザーの反応率も上がり、ユーザーとの関係も継続しやすくなります。反対に、ユーザーに関連のない情報ばかり届けていると、反応が減り、離反されやすくなります。
ユーザーに合ったコミュニケーションを行うためには、ユーザーの興味関心を知る必要があります。企業からのプロモーションメールに対して8割は関心がないという調査(※1)がある一方、パーソナライズされた体験に魅力を感じるユーザーがおよそ8割であるという調査(※2)からもわかるように、まだまだ企業がユーザーに合わせたコミュニケーションを取れていない現状が見て取れます。
※1 Adobe. 「電子メールに対する日本の消費者の期待は高く企業には的確なパーソナライゼーションが求められる」.
https://www.adobe.com/jp/news-room/news/201910/20191010_2019-consumer-email-survey.html
※2 Epsilon.「New Epsilon research indicates 80% of consumers are more likely to make a purchase when brands offer personalized experiences」.
https://www.epsilon.com/us/about-us/pressroom/new-epsilon-research-indicates-80-of-consumers-are-more-likely-to-make-a-purchase-when-brands-offer-personalized-experiences
例)ウォーキングシューズを購入
では、実際のユーザーの購入までの流れを見ながら考えてみましょう。下図の青枠に注目してください。このようなデータはGA4などのWeb解析ツールで日常的に確認している方も多いかも知れません。ウォーキングシューズを閲覧し、シューインソールも閲覧してから購入しています。色々考えられる幅はあるにせよ、シューズを買いに来たということは理解できます。

次に、下図の赤枠内に注目してください。ダイエット系の記事を閲覧して、ランニング系の記事を閲覧し、ウォーキング系の記事を閲覧しています。この情報を先述の青枠内の内容とつなげて考えると、ダイエットに関心があって、その中でランニングやウォーキングが良いかなと考えて、結果ウォーキングシューズを買ったという流れになります。

青枠の情報で考えられること、赤枠+青枠の情報で考えられることは変わるはずで、このユーザーへの訴求や今後のコミュニケーションも違うものになるはずです。赤枠内のコンテンツが自社で用意したものであれば、この一連の流れを確認出来ますが、ユーザーは必ずしも自社の情報だけに触れているわけではありません。このようなデータの必要性を感じる方は外部データ(外部の行動データ)の活用も検討してみてください。

200社以上の提携企業の外部データを活用|マイクロアド社が提供するUNIVERSE
自社保有のWEB広告ネットワークのデータに加え、200社以上の提携企業から提供されるデータをもとにユーザーの行動を網羅的に捕捉。連携することで自社保有のデータだけでは分からない顧客の行動分析をもとに施策の実行が可能になります。UNIVERSEの詳細はこちらから:https://www.microad.co.jp/services/universe


大手新聞社での外部データ活用事例
先述のUNIVERSEを活用して、アクティブユーザーと非アクティブユーザーの興味関心を比較し、改善施策を実施しました。
概要
◆背景
・ミッション|PV数の増加
・現在の状態|サイトへの訪問者とPV数が減少傾向
・状態の詳細|アクティブ率が減り、非アクティブユーザーが増加
・今回の目的|非アクティブユーザーをアクティブにする(訪問数の増加)
◆施策
・非アクティブユーザーの行動データを元に、興味関心に合わせてメルマガの出し分けを実施
◆結果
・分析からアクティブユーザーと非アクティブユーザーの興味関心の違いがわかった
・記事紹介のメルマガを興味関心に合わせて変更して、非アクティブユーザーの訪問数が増加
施策の詳細
まず、アクティブユーザーと非アクティブユーザーそれぞれの興味があるカテゴリを分析しました。結果、アクティブユーザーは金融やビジネス、ワインや外国語学習など、ある程度決まったカテゴリに興味関心があり、非アクティブユーザーは決まったカテゴリはなく、幅広い情報に興味関心があることがわかりました。

この分析を元に、メルマガのタイトルと内容をそれぞれに合わせて作成しました。その結果、アクティブユーザーのメルマガ内のCTR(クリック率)は1.8倍となり、非アクティブユーザーのCTRは9.3倍となりました。


最後に
今回は、アクティブユーザーと非アクティブユーザーの違いから施策を実施しました。このようなユーザーの興味関心軸だけではなく、ライフステージ軸でセグメントを分けたCRM施策や広告施策への活用なども考えられます。
外部の行動データを活用することで、これまで見えていなかった部分がわかり、それぞれのユーザーに合わせたコミュニケーションが取りやすくなります。自分達の施策は、それぞれのユーザーに合ったコミュニケーションになっているか。今回があらためて考える機会になれば幸いです。ご相談や各種サービスについては下記よりお気軽にお問い合わせください。