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「デジタル マーケティング マネジメント デイ 2019 Summer」にCAO小川卓が登壇しました

テクノロジーの進化に伴い、マーケティングのあり方が大きく変わろうとしています。今回登壇した「デジタル マーケティング マネジメント デイ 2019 Summer」では、セッションと展示を通して、各企業の取り組みや最新のIT情報が多数紹介されました。

UNCOVER TRUTHからはCAOの小川卓が登壇し「ユーザーを可視化するためのCRM戦略〜明日から開始できるユーザークラスタリングと分析」のテーマでお話ししました。このレポートでは、小川の講演内容をダイジェストでお伝えします。


Webサイトの効果を計測し、成果を出すために必要なこと

昨今、ユーザーとのタッチポイントとして自社Webサイトの運営に注力する企業が増えています。一方、時間とお金をかけて運営するWebサイトが自社のビジネスにどのような効果をもたらしているかを、きちんと計測できていないという悩みも多く聞かれます。この「計測できていない」という課題の要因には、以下の状況が挙げられます。

  • PVの増減など、点の情報だけを追っている
  • サイトがCVに影響を与えているか分からない
  • データを見てもユーザーのことが分からない
  • かといって全てのデータを繋いでいくことは大変そうでどうすればいいか分からない

これらの課題を解消し、ユーザーの動きを把握・可視化して成果につなげるためには、以下の4つのプロセスを踏む必要があります。

【1】 成果の状態を定義し、ゴールまでのプロセスを描く(どういうお客様を増やしたいのか?)
【2】 どのような施策を実施したいのか?その施策は、実施可能なものか?(どうやったら選んでもらえるのか?)
【3】 施策の実行判断と評価をするために、どのような情報が必要か?(何があれば判断できるのか?)
【4】 そのために必要なデータ基盤は何か?

目的から逆算して、整えるべきデータを言語化する

このプロセスのスタートラインに立つために必要なのが、自社がどのステージにいるのかを複数の観点で確認することです。カスタマージャーニーやコンテンツ、データなどの7つの項目についてステージ1から5までの状態を言語化した以下の表を参照し、まずは「自社がどのステージいて、次のステップは何なのか」をチェックしてみてください。

自社のステージを確認したら、次に以下の3つの項目を整理します。ここでのポイントは、目的から逆算して手段を整理するという考え方の流れです。

【3】 繋がったデータを元に分析(課題抽出/可視化)・施策実行を行う: 何がしたいのか?何ができるのか?
【2】 データを繋ぐ(取得データをユーザー単位で連携させる): 判断に必要なデータは何か?
【1】 データを整える(必要なイベントデータを取得する): どこで、どのように、どのタイミングでデータを取得するか?

目的から出発して取るべきデータを定義し、取得する方法を決めるという上記の順序で考えることによって「データを取ったはいいけど使えない」という状況に陥ってしまうことを避けられます。

一人のユーザーとして追いかける基盤構築をする

情報を整理してスタート地点に立ったら、ここからは複数チャネルのデータを統合し、一人のユーザーとして追いかけるための基盤構築を目指します。そのためには、解析ツールやアンケート結果、メール、会員属性、購入履歴といったバラバラに存在するデータをユーザー単位で紐づけて整理し、全ての行動を可視化することが理想です。しかし、いきなり複雑な仕組みを準備することは難しいうえに費用もかかります。

そこでおすすめなのが、すでに持っている基盤で取れる情報を増やしていくことから着手し、1+1の要領で徐々に範囲を広げていく方法です。まずはアクセス解析ツールと購入データだけを紐づけてみて、今まで得られなかった気づきから施策に繋げ、成功体験を作り、それをもとに次のデータと紐づけてみる…といった方法を繰り返します。

それでは、実際に一人のユーザーとして追いかけるための具体的な手法を見ていきましょう。もちろん実際に一人一人のデータを見ていくのは現実的ではありませんので、ユーザーをクラスタリングすることから始めます。先ほどご紹介した逆算の考え方を、より詳細にご説明します。

1. ユーザー状態の最終ゴールと、それの裏返しのスタート状態(現状)を定義する

例えばメディアやブランドサイトなどであれば「ファンを増やす」、ECサイトであれば「ロイヤルユーザーを増やす」、オフラインでCVするビジネスであれば「LTVが高いユーザーの数を増やす」のように、業界やサイトの特性によって目指すべきゴールを定義します。それに対して、スタート時のユーザーの状態=現状を「何かのきっかけで記事を見つけ、初めてサイトに流入した」「商品を購入したいユーザーが、検索等でサイトを見つけて訪れた」など、言語化します。

2. 行動や態度変容を想像し、間のプロセスを整理する

1で整理したスタート地点とゴールの間には、いくつかの態度変容があります。ユーザーにどのような態度変容があるかを想像し、プロセスごとの状態を定義します。例えばオウンドメディアのスタート地点が「何かのきっかけで記事を外部で見つけて、初めてサイトに流入する」という状態であれば、その後は「記事を読み内容を理解する。他の記事も読んでみる」「サイト名や提供している会社を知り、時々訪れるようになる」「内容や理念に共感し、自分の意思で継続的に読みに来て情報源の一つとなる」という状態の移り変わり、つまり態度変容が想像され、ここから「愛読者としてサイトをサポートしたり、他の人に勧めたりというアクションを取り始める」=ファン化というゴールに到達します。

3. 「行動イベント」を元にユーザーを分類・可視化する

2で定義したそれぞれの状態にユーザーが何人ずつ存在するかを可視化(クラスタリング)するために、行動イベント(ユーザーの特定の行動)を軸にして、次のような複数のグループに分類します。

  • ファンユーザーを定義して、ファン化を目的にマーケティングを行う
  • ロイヤルカスタマーを定義し、その行動を可視化して、ナーチャリングするためのマーケティングを行う
  • オフラインCVの場合、ユーザーの触れた情報と紐づけて個別最適化を行う

これには、ユーザー群を定量化することによって変化を追いやすくなり、個別最適化よりも容易なクラスタごとの施策を打てるようになるというメリットがあります。

4. 各クラスタに対しての条件付けを行う

2と3で整理した各プロセスのユーザー群(クラスタ)を条件付けします。例えば「サイト名や提供している会社を知り、時々訪れるようになる」クラスタの条件は「訪問頻度指数が0.1以上、累計記事読了数が5以上」であること、「愛読者としてサイトをサポートしたり、他の人に勧めたりというアクションを取り始める」クラスタの条件は「ソーシャルメディアでのシェアあるいはコメント記入。3カ月連続で5記事以上閲覧」していること、と定義していく作業です。定義づけの際には、訪問頻度や訪問間隔、直近性、回遊、スコアなどの指標を使うと良いでしょう。

ここまで整理してようやく、必要なツールや取るべきデータが見えてきます。ここまでのプロセスを踏まずにツール導入から入ってしまうと「せっかくツールを入れてデータを取れるようになったのに、データを見ない」という状況に陥りやすいので注意してください。

5. クラスタを計測できる状態にする

4で定義した指標に基づいてデータを取得し、クラスタを可視化します。それによって、どのユーザー群を増やすことができたのか?など、ターゲットにしている数字を追いかけることができるようになります。サイト全体の訪問者数が一定だとしても、クラスタごとの変化を追いかけることによって、次の施策につなげることができます。

6. 滞留や遷移となる要因を分析し、施策につなげる

最後に、実際の施策案を考えるプロセスです。クラスタごとの状態を可視化することによって「『一見さん』から次のステップへの遷移を、これくらい引き上げたい」といった、具体的なKPIを設定することができるようになります。例えば、一見さんから次のステップに進む人と進まない人の違いに注目することによって「まずは直帰率を防ぐ」「一つでもいいので商品を見てもらう」など改善の方向性が定まり、それによって打つべき施策が見えてきます

ここまでは考え方の要諦をお伝えしましたが、KPIと施策が固まったら、実際にデータを接続する作業に進みます。様々な手法がありますが、やはり多くの企業に導入されているGAやAAなどのアクセス解析ツールが着手しやすいでしょう。

どのサイトでも、ユーザーの行動を可視化するのに必要な以下の4つの指標は必ず取っておきます。アクセス解析ツールはあくまでも集計した後のデータを見るためのものですので、タイムスタンプや初回訪問日を取っておくと、後から管理しやすくなります。

  • Client ID(Cookie)
  • 会員ID
  • タイムスタンプ
  • 初回訪問日

データを接続する際には、クロスデバイスやクロスドメインでデータを見て見ることが重要です。スマートフォンで閲覧してパソコンでCVするケースは多々ありますし、ドメインの異なるサイトを複数持っている場合、その間の行き来はユーザー心理を把握する上で不可欠だからです。

また、ユーザー行動の傾向とアンケート結果を紐付け、ユーザー像別の行動を絞り込む方法も有効です。例えば転職サイト内にあるオウンドメディアの場合、ユーザー心理は大きく分けて「現状が嫌で転職したい」「キャリアアップのために転職したい」の2つがあると想定できます。ここで、記事を読了した人に「あなたが転職したい理由は?」という一問だけのアンケートを実施すると、ネガティブな動機で転職する人と、ポジティブな動機で転職する人の行動の違いを絞り込むことができ、施策につなげることができます。

このように、目的から逆算してデータを整備することによって、自社IDを活用したクロスデバイス分析や、チャネルが別の場合のクロストラッキングなど、自社のゴールに応じた様々な施策を展開できるようになります。

ここまでご説明したプロセスは業種・業態やサイトの特性によってもちろん異なりますが、最後に、どのサイトにも共通する重要な3つの考え方を改めてお伝えします。

【1】 ゴールの態度変容・行動を定義する
【2】 計測定義を行いクラスタリングできるようにする
【3】 できることから実行し、データ基盤の必要性と価値を腹落ちさせてから、範囲を広げていく

自社のゴールから逆算してクラスタリングをすること、そして現在できること+1の繰り返しを大切にして、ぜひ戦略的なCRMに取り組んでみてください。


UNCOVER TRUTHでは、今後もこのようなセミナーを通して積極的に事例やノウハウを発信し、Webビジネスの成長やそれに向けた組織上の課題を抱えている企業・ご担当者様を支援してまいります。


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