「マーケティング・テクノロジーフェア2016」でCAO小川卓が講演いたしました|イベントレポート
2月16日に東京ビッグサイトで開催された「マーケティング・テクノロジーフェア2016」で、当社CAOの小川卓が「ユーザー行動と態度変容を理解し、本当に価値があるKPI設計とサイト・改善を実現するための『コンセプトダイアグラム』作成&活用事例」のテーマで講演いたしました。
コンセプトダイアグラムとは
デジタルマーケティングに携わる方が近年よく耳にするにようなった用語ではないでしょうか。小川はコンセプトダイアグラムを「ユーザーの行動や気持ちの変化を図解した、計測可能なアウトプット群」と定義付けています。同じように注目されつつある「カスタマージャーニー」の考え方と比較すると、一番の違いは、具体的な数字による計測を通してユーザーのインサイトを把握し、改善と運用に活用するという点です。
アクセス解析用語の落とし穴
Webサイトのコンテンツを評価する際によく指標とされるセッション数、滞在時間、直帰率…という数字について小川は「たまたま数字が取りやすいため、普及したアクセス解析用語」と指摘します。例えばページの滞在時間は長ければ長いほどいいと考えられがちですが、トップページの滞在時間が長いということは、メニュー別のページに進む前の段階でユーザーが迷っている証拠でもあるのです。
このように、ただ滞在時間や直帰率といった数字を知るだけでは意味がなく、重要なのは「So What?(だから何?)」の部分。これらアクセス解析指標を改善することが、ビジネスのゴールになっているのか?本当にユーザーのためになっているのか?を掘り下げて考え、顧客と企業にとって意味のあるKPI設定を行う=数値の改善による顧客体験の変化を見える化するのが、コンセプトダイアグラムの目的です。
コンセプトダイアグラムの作り方
ウェブサイトのゴールには「会員登録完了」「購入完了」といった指標が設定されることが多いですが、ユーザーのゴールは完了の先にある「成長」だったり「満足」だったりと、ビジネスゴールにとどまらないことがほとんどです。コンセプトダイアグラムを作るには、この考え方のギャップを埋めていく必要があります。
具体的な手順は大きく分けて2つ。ユーザーの気持ちでプロセスを描くこと、そして、それに対してどのような機能やコンテンツを提供すればユーザーの気持ちを変えることができるのかを考えることです。商品一覧を見る→詳細を見る→カートに入れるというサイト目線ではなく、悩みが顕在化する→その解決方法を探す→発見できるといったような描き方が重要です。いずれも実際の作業としては、ワークショップを通じて項目を徹底的に書き出し、図解化していくことが必要になります。
またコンセプトダイアグラムを作成する際の重要なプロセスの一つに、ユーザー群の定義があります。「暇つぶしをしたい」「詳しく知りたい」など気持ちを軸にした切り口でユーザーをグルーピングして、そういったユーザーがどのような行動をサイトでしているかの仮説を出し、計測定義することが大切です。これまで漠然と指標にしていた滞在時間や直帰率に代わり、ビジネスのゴールやユーザーの気持ちに沿ったKPIを設定することが可能になるのです。
コンセプトダイアグラム活用事例
セミナーの後半では、実際にコンセプトダイアグラムを活用している2社、ALL CONNECTのデータアナリスト・赤坂宗一郎氏と、ニフティのウェブアナリスト・君島哲也氏をお迎えしてパネルディスカッションを実施。コンセプトダイアグラムを導入した背景として赤坂氏は、ウェブサイトでのコンバージョンとビジネスゴールが離れていたこと、君島氏は、運営する不動産サイトにおいて流入と出口だけでなくユーザーに寄り添った中間KPIを設定したかったことを挙げました。また君島氏はコンセプトダイアグラムを作成する過程で「妥協するユーザー」という新しい概念を発見したことにより、現実的なユーザー像を前提とした分析・改善が実現したというエピソードを紹介しました。さらに両社とも、コンセプトダイアグラムを作成するその他のメリットとして、「ユーザーの気持ち」という共通言語が生まれることにより、施策提案の説得力が増すという点をあげています。
最後に小川は「アクセス解析指標でユーザーを評価するのではなく、ユーザーの態度変容を実現できたかをKPIとして設定し、小手先の施策ではなく、気持ちを変えるための施策を考えることが大切」というメッセージで講演を締めくくりました。
UNCOVER TRUTHは今後もこのような機会を通して、Webサイト担当者やデジタルマーケティングを手がける皆さまのお役に立てる知見とノウハウを積極的にお伝えしてまいります。
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