数値ではなくユーザーの気持ちを変えるWebサイト改善を|イベントレポート
「アナリティクスサミット2016」にCAOの小川卓が登壇しました。マーケティングやデータ分析に携わる方々へ向けて各分野の第一人者がもつリアルな知見やノウハウをお伝えするこのイベント。今年は「成果に向かって速度を上げよ」をテーマに、パナソニックやJAL、ユーキャンなど様々な企業から現場の皆様が登壇するなか、小川は「数値ではなく「気持ち」を変えるためのコンセプトダイアグラム分析&活用事例」のテーマで、具体的な事例をご紹介しながらお話をさせていただきました。
コンセプトダイアグラムに関する基本的な考え方については過去の記事をご覧ください。
「数値ではなく『気持ち』を変える」とは
「今まで3ページだけ見ていたサイトを4ページ見るようになったからといって、本当にそのサイトを好きになったと言えるでしょうか?」という小川の問いかけは、本日の講演の内容を象徴するもの。例えばあるサイトにおいて「PV数を増やす」というのはサイト側の目的であり、ユーザーの真の目的はそのサイトを通して「満足すること」であると小川は指摘します。「顧客目線に欠けた企業目線のサイト」という課題を抱えていたのが、今回のセミナーで小川とともにご登壇いただいたクレディセゾン様の「永久不滅.com」でした。
クレディセゾン「永久不滅.com」のサイト改善の取り組み
メディアプランニング部部長の吉岡佐江子氏は同サイトの改善について「当初、明確なゴールはなかった」と話します。そのような状況から、小川を始めとするUNCOVER TRUTHチームとクレディセゾンのチームが「永久不滅.com」の改善に取り組む体制を作り、コンセプトダイアグラムの作成に取り組みました。
この時のコンセプトダイアグラム作成において、ユーザーの行動に影響を与える指標として設定したのが「ポイントとサイトへの理解度」と「気持ちの高まり」。そこで見えてきたのは「来訪しているユーザーの多くが、そもそもポイントの制度について正しい理解をしていない」という事実でした。さらに吉岡氏は「ポイントについて理解していただいているという前提に立ったコンテンツしかなかった。サイトについて理解してもらうという、もっとも簡単なことができていなかった」と、当時のサイトが抱えていた決定的な課題への気づきについて振り返りました。
そこでチームはサイト改善の目的を「サービスと貯め⽅を理解してもらい(まずは)使ってもらう」ということに設定。さらに「『来訪のみユーザー』から『未購入・購入ユーザー』になった転換率と数」をKPIのゴールに設定しました。その根拠としては、ユーザー群の中で「来訪のみユーザー」の数が多く数値を改善した時のインパクトが⼀番⼤きかったこと、また「来訪のみユーザーから「未購⼊のみユーザー」「購⼊のみユーザー」への転換率が低かったことが挙げられます。
このようにデータに基づいた課題抽出と改善施策の提案もさることながら、実はこの○○ユーザーという言葉がプロジェクトを成功に導く重要な要素になっていると小川は考えています。吉岡氏も「チーム内での共通言語ができたことが今回のプロジェクトの大きな収穫」と話しました。サイトにとって本当に大切なユーザー群とその行動を定義し、そこに○○ユーザーという名前を与えることでチームの共通言語となり、目指すべきところが明確になったといいます。
最後に吉岡氏は今回のようなウェブサイト改善にあたり「部門長や役職者が積極的に知り、取り組んでほしい」とアドバイスしました。「現場に対してむやみにプレッシャーを与えるのではなく、分析結果に基づいたロジカルな説明によって、より効果的な指示につなげることができる。さらに上長に対しても自信をもって改善案を提案できる」と、ユーザーの気持ちに寄り添った“本当に意味のある分析”が、組織としての機能も向上させるという効果について語りました。
UNCOVER TRUTHは今後もセミナー・イベントへの参加を通し、ウェブサイト改善に悩みを抱える皆様へ向けて、プロフェッショナルの知見とノウハウを積極的に発信してまいります。
■関連サービス
Webサイト改善「改善PDCAアウトソーシング」