CCO藤原尚也が語る、顧客エンゲージメントを高めるコンテンツマーケティング|セミナーレポート
コンテンツマーケティングの第一人者である藤原尚也が、昨年7月に弊社CCO(チーフ・コンテンツ・オフィサー)に就任してから半年以上が経ちました。新たな体制のもとUNCOVER TRUTHでは、ヒートマップツール「USERDIVE」を活用したUI設計の最適化に加えて、コンテンツの最適化による継続的なユーザー育成と、それによるお客様のビジネス成長の支援を強化しています。
今回、藤原のコンテンツマーケティングのノウハウとUNCOVER TRUTHにおける役割を改めて発信する機会として「CCO藤原尚也が語る、顧客エンゲージメントを高めるコンテンツマーケティングセミナー」を開催しました。パートナーと共同でセミナーを開催することが多い弊社にとっては珍しく自社情報100%のセミナーとなった今回も、おかげさまでたくさんの方にお越し頂きました。
さて今回の講演タイトルには「顧客エンゲージメントを高めるコンテンツマーケティング」という言葉が含まれていますが、「顧客エンゲージメントを高め、売上につなげるコンテンツマーケティング」という表現の方が全容をイメージしていただきやすいかもしれません。コンテンツマーケティングに取り組む方の悩みは「何から始めればいいか分からない」といったものから「ターゲットの集客ができない」「集客は増えたものの、商品購入などのゴールにつながらない」「継続的な運用方法や評価指標のポイントが分からない」といったものまで様々ですが、今回の講演ではそのステップごとに答えを用意するような形で、具体的な事例に沿って話を進めました。
「ビジネス戦略全体の中のコンテンツマーケティング」を考える
そもそもなぜコンテンツマーケティングが必要なのでしょうか。例えば、実際に藤原がコンテンツマーケティングを手がけたファンデーションブランドに関係する2つのグラフを見てみると「ファンデーションの情報をデジタルで探す需要」が右肩上がりに増えている一方で「ブランド名で商品情報をデジタルで探す需要」はまだまだ少ないことが分かります。つまり前者の集団から後者の集団を生み出すために、ユーザーが情報を探した時に“出会う”自社商品のコンテンツを用意することが必要であり、それがコンテンツマーケティングの第一歩になるのです。さらにTVCM効果の低下やスマホへの急速な移行という背景から、ユーザーと情報の関わり方は「情報集約型」から「顧客体験情報型」にシフトしているため、様々な施策を取り尽くしてきた企業にこそコンテンツマーケティングが重要であると藤原は指摘しました。
一方で、コンテンツを制作するための予算だけを取るのでは意味がありません。コンテンツサイトを単体で完結させるのではなく「コンテンツに人を集め、集めた人からどうやって売上を作っていくか」という流れ全体を含むビジネス戦略の中でコンテンツマーケティングを考えることが重要です。この流れの中にはもちろんECサイトへの送客というプロセスがありますが、藤原は「ECサイトとコンテンツサイトはそれぞれ独立しているのが望ましい」と考えています。その理由として、独立したコンテンツサイトでは競合商品に関するコンテンツも制作でき、自社の商品に興味を持つであろう母集団を獲得できる、ECサイトは商品の購買に最適化されたところであるべき、といったことを挙げました。
時には競合商品の情報も提供するのが「ユーザー目線」
こうした基本の考え方を踏まえて、コンテンツサイト設計に必要なポイントを見ていきましょう。原則は「ユーザーがどのような課題を抱えて自社のサイトにたどり着いたのか」という考え方です。多くの企業でみられる、“商品ありきのコンテンツ”はいわばこの原則に逆流する企業目線のものですが、原則=ユーザー目線に立ち返ると「ユーザーが抱えている課題別に検索ユーザーがたどり着けるコンテンツを用意する」という施策が必要になります。場合によっては、競合商品の情報こそがユーザーの求めている情報なのかもしれません。そういったものまで含んだコンテンツを作成することによって、中立的な立場に立ちながら、最終的に自社の情報を知ってもらうというのがコンテンツマーケティングの考え方です。
適切なコンテンツによって「課題を抱えているユーザー」を自社サイトに呼び込むことがコンテンツマーケティングの第一歩となる中、この適切なコンテンツ制作の鍵を握るのがペルソナ設定というプロセスです。そのコンテンツを読むであろう人の年齢、性別、居住地、家族構成、検索時の心境や悩み、その原因までを詳細に設定します。ここまで詳細に読者像をイメージして初めて、検索ボリュームの大きい層からその情報を求めているユーザーを集めた際に「この情報が欲しかった」と思ってもらえる状況を実現するのです。
適切なコンテンツで集めたユーザーを売上に繋げる3つのポイント
ここで先ほどの「コンテンツに人を集め、集めた人からどうやって売上を作っていくか」ということを改めて考えると、藤原がこれまでの経験から効果的だと感じたのは以下の3つだと言います。
- Web接客ツールの活用
- リターゲティング(リマーケティング)
- ネイティブ広告運用/レコメンド広告運用
これら3つに共通するのは「どのキーワードで」「どのページに」来たユーザーなのかを明確に分け、追いかけることの重要性です。ペルソナの設定時と同様の考え方に立つと「思春期ニキビ」で検索して流入した人と「大人ニキビ」で検索して流入した人には、違うポップアップ広告を出すべきであり、その丁寧な施策が「売上に繋がるかどうか」の明暗を分けると言っても過言ではありません。
デジタルマーケティングに関する施策と切っても切り離せないのが運用体制ですが、これについては「リソースや情報の幅広さの観点から、可能であれば段階的なアウトソースをお勧めします」と藤原。さらにKPIとして藤原自身が日頃チェックしている指標を公開し、最後にコンテンツマーケティングに関連する新しい購買プロセス「DECAX(デキャックス)」を紹介しました。マーケティングに関わる方ならAIDMA(アイドマ)やAISAS(アイサス)という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、それに代わる新たな考え方としてぜひチェックしてみてください。
DECAX(デキャックス)
- Discover
- Engage
- Check
- Action
- Experience
コンテンツマーケティングにおける、動画の効果的な使い方は?
第二部はパネルディスカッションです。今回は自社セミナーということで、藤原の他にCAO(チーフ・アナリティクス・オフィサー)の小川卓が登壇し、COOの小畑がモデレーターを務めました。
第一部ではユーザー目線とビジネスを結びつけることの重要性が語られましたが、このパネルディスカッションで小畑から投げかけられた一つ目のテーマは「ユーザー目線とビジネス目線、スタート地点ではどちらを大切にしていますか?」というもの。これに対して小川は、もちろん両方とも大切であると前置きをした上で「ビジネスが続いて初めてユーザーの役に立てるという意味で、まずはビジネス目線」と話しました。同じくコンテンツマーケティングのスタート地点の話として、ファーストステップである集客からその先のセカンドステップに関する認識を(関係者間で)共有できていない企業が多いという現状については「マラソンのゴールを目指してまずは5km走ろうよと握っていくしかない。5kmごとのゴールを設定して全体像を引き直す」と説明しました。
また参加者からSNS広告の転換率について質問が上がると藤原は「現在のSNS広告はいきなりLPに飛ぶケースが多いので転換率が低い。人を集めるのには適しているが、売上という意味では他の施策が必要かも」、小川は「広告を止めた瞬間に流入が止まってしまうのが特徴。“地層作り”とスポットの流入数の作り方を分けて考えた方が良いかも」と、目的に応じて施策を使い分けることの重要性をお伝えしました。
また集客→売上というステップについて、次のステップに進むための時間軸や流入数の目安をどうするべきかという質問には「ゴールデンキーワードを7〜10個設定し、半年後にそのキーワードによってどのくらいの流入が欲しいかというKPIを作る。そのためにコンテンツをいくつ作って・・・と逆算するのは一つの有効な方法。このキーワードを経営層の言う通りに設定すると大変なことになるケースもあるので、すり合わせを大切に」と藤原。
最後に、コンテンツマーケティングにおける動画コンテンツの位置付けについて質問が上がると藤原は「コンテンツマーケティングにおいては、率直に言って動画は重視していない。ただしコンテンツに辿り着いてきてくれたユーザーに対してポップアップで動画広告を見せることは非常に有効なケースがある。動画そのものをコンテンツとして見せるのは難しく、補完的に使うのがおすすめ」と、自身の経験をもとに語りました。
UNCOVER TRUTHは今後もこのようなセミナーを通してプロフェッショナルの知見やノウハウを積極的に発信し、皆さまのWebサイト改善活動と、データドリブンなマーケティング活動を支援してまいります。
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