小川卓に聞く 顧客の興味関心を定量化する方法とその価値|セミナーレポート

この記事は、2023年4月12日に開催した「小川卓に聞く 顧客の興味関心を定量化する方法とその価値」のセミナーの一部抜粋とアーカイブ動画のご案内をしています。

今セミナーでは、顧客体験の改善に向けた顧客理解を促進するうえで重要となる顧客の興味関心を定量的に可視化する方法やその価値について、UNCOVER TRUTH CAOの小川卓とコンテンツ分析ツール「Content Analytics(コンテンツアナリティクス)」のチームリーダーの伊藤有紀子が解説しています。

登壇者紹介

登壇者紹介

顧客の興味関心を定量化する方法とその価値|CAO 小川卓

今回は、ウェブサイトを中心にGoogle アナリティクス4(以下:GA4)をツールとして、顧客の興味関心を定量化する方法とその価値についてお話ししていきます。例えば、自分たちのサイトに訪れた人が5万人いたとして、5万人全員が同じ状態になってることはほぼないと思います。初めてサイトに来るという人もいれば、何度も見に来てくれている人もいます。その中でも、すでに検討を進めている人がいたり、実際に過去に購入したことがある人もいます。サイトを訪れる顧客を一塊として、今月何人来ましたという形で見るのではなく、顧客が何に興味を持っているのか、そしてその割合はどのぐらいいるのかということを理解する必要があります。そのために、データを使って可視化していくことの重要性を実例と共に紹介していきます。

顧客の興味関心というのを改めて定義(下図)してみました。皆さんの商品やサービスに対する「接点量」と「接点頻度」と「接点内容」が重要だと考えています。皆さんの商品やサービスに興味があれば、累計の訪問回数も多いでしょう。訪問頻度も月1回ではなく週1回もしくは2回、または毎日だったりします。内容もトップページを見ているのか、記事を最後まで読んでいるのか、購入しているのか、お問い合わせしているのか、によって興味関心はそれぞれに違うと考えています。興味関心=良く知り理解をしたい現れであり、顧客が「自分たちにあった商品なのか」「自分たちにとってお金払うだけの価値があるのか」を良く知り理解できた結果として、購入や申し込み等があるはずです。そのため、顧客の興味関心は、我々が理解すべき観点の一つであると考えています。

顧客の興味関心とは

その中でも、ウェブにおいて興味関心を知れるタイミングの一つは、Twitterだったり、今回のようなセミナーも含まれますが、ソーシャルやコンテンツです。どのような接点でまずは知ってもらい、サイトに訪問してもらう。これらをしっかりと数字で見ていくこと、可視化していくということが重要になります。定量化した数字で具体的にどのように見るのかについてお話していきたいと思います。

定量化とは、価値が図れるようにするということです。 なんとなく「このコンテンツがいいですね」「人がいっぱい来てますね」ではなく、コンテンツごとや流入ごとの顧客の差異を見て、このコンテンツを見ると興味関心が高まるor下がるということを図れるようにする取り組みです。そもそも顧客とのつながりを作ることができているか、そしてつながりができたということをちゃんと評価するためにデータを活用することが重要になります。

顧客の興味関心を定量化する方法(接触量と頻度)

いわゆるRF分析で言うところの、接触の累計回数(Frequency)、累計時間(Recency)です。特に最近であることが重要になります。昔は多く訪問していたが、ここ1ヶ月訪問していない人よりは、ここ3日しか訪問していないが、頻度高く訪問している人の方が、本日段階においては興味関心が高いと理解できます。このあたりをしっかりとデータで可視化して、ある期間内でサイトに訪問している人の接触回数、累計の接触時間をデータで見ていきます。 ※各項目におけるGA4での設定は動画内で画面を動かしながら解説していますので、動画も併せてご確認ください。

見るべきデータ=Frequency

訪問回数をGA4で確認する場合、ga_session_numberのイベントパラメータを使います。ですが、ga_session_numberは、最初からデータ自体は計測されていますが、元々の設定だけではレポート画面で確認できない状態になっています。ga_session_numberは、カスタムディメンションに登録する必要があります。登録することで、下図のようなレポートが確認できるようになります。月1で確認するだけでも、例えば「メールでの集客」「リターゲティング広告での集客」「新規に向けてソーシャルでアプローチした」等が訪問に寄与したのか等を簡単に見られるようになります。

見るべきデータ=Recency

コホート分析というレポートがGA4にはあります。これは顧客の継続率を表すものです。コホート=塊を意味します。ある期間でサイトを訪れた人がその後どの頻度で訪れているかを確認できます。サイトの性質によって観点は異なりますが、例えば、リピーターがメインで使うサイトであれば、頻度高く訪問されているか等をここで確認できます。

ブランド認知、検討期間が長い商材、メディアのように継続的に訪問されることでページビュー数が伸びていく場合は、継続率が高いほどいいと判断もできます。さらに内訳でデバイスごと、流入元ごとで掛け合わせることで、この流入から来るとその翌日の継続率が高い等と深掘りすることができるようになります。集客だけではなく、集めた人たちがしっかりと継続して残っているのかということをデータから導き出すことが可能で集客の評価 がやりやすくなります。単純に何人の訪問があったかだけではなく、例えば1,000人の訪問があったとして、翌週、翌月来てくれた比率が高い流入元の方が、サイトにとってのブランド認知につながっているという考え方にもなります。

RecencyとFrequencyをグループ化する

下図のように訪問回数×利用頻度でグルーピングして、それぞれの数字を見ていきます。例えば、新しいコンテンツを追加、機能を追加した結果における、数字の変遷を毎週毎月確認するようにします。特定条件のユーザーをグループ化するGA4のセグメント機能を使って、例えば、特定の期間に2回以下しか訪問していない人、3回以上訪問している人などをグルーピングをすることができます。単純に訪問人数、訪問回数だけで見るのではなく、しっかりと継続して訪問されているのかを数字として見ていき、さまざまな項目と掛け合わせることで、これらの数値を評価できるようになります。

顧客の興味関心を定量化する方法(接触内容と反応)

単にたくさん訪問が増えればいいという訳ではなく、その顧客がどういうコンテンツを見ているのか、それが自分たちの求めている成果につながっているのかを評価していく必要があります。

そのために、確認するべき項目が大きく分けて2つあります。1つは「接触している情報は何か」です。例えば、トップページや記事、ECサイトであれば商品詳細やカート、B2Bサイトであれば、事例やお問い合せ、セミナーページ等です。2つ目は「接触した顧客がそれに対してどう反応しているか」です。つまりこのコンテンツを見ることによって 成果につながりやすいような動きをしているのか、コンテンツに対してどのような反応しているのかをデータで計測していくことが重要になります。 ※各項目におけるGA4での設定は動画内で画面を動かしながら解説していますので、動画も併せてご確認ください。

見るべきデータ=Contents

まずはコンテンツです。コンテンツの評価については、いろんな観点があると考えています。もちろん集客が多ければ、そのコンテンツはSEOや集客に貢献してるコンテンツと考えられます。スクロール率を計測することで、熟読度のようなものも確認できますので、よく内容を読まれたコンテンツとして一定の評価はできます。ですが、一番大事なのは、そのコンテンツを見た人が、自分たちの求める成果につながったのかどうかです。さらに、これらをユーザー単位で確認していくことが大事だと考えています。つまりページごとに、全ユーザーのうち何人がそのコンテンツを見て、見た人の中から何人が実際に成果につながったのかを確認していくことです。

例えば、あるユーザーがB2Bのサイトで色々情報収集していたとします。資料をダウンロードした後、上司と相談してOKをもらって、その後に再訪して他のコンテンツは見ずに、すぐに問い合わせ(コンバージョン)したとします。この時、訪問単位だけで見ていると、その訪問で資料ダウンロードがあった、その訪問でお問い合わせがあったとなってしまい、情報収集をしていたというユーザーの行動をと紐づきません。そこで、ユーザー単位でグルーピングし、例えば、「コンバージョンしたユーザー」と「コンバージョンしていないユーザー」をディレクトリやページ単位で比較する等が大事になります。

見るべきデータ=Conversion+Reaction

コンバージョンの内容や数に対してスコアリングをして重み付けすることもGA4では可能です。タグマネージャー側で「このページを見たら10点」「このディレクトリを見たら50点」のような設定ができます。例えば、「お問い合わせ」と「セミナー申し込み」のコンバージョンがあったとして、自分たちにとってどちらのコンバージョンの価値が高いのかを考えます。さらにデータを見て、成果につながりやすいようなコンテンツに対しても点数をつけてあげるというやり方も考えられます。

直接ユーザーからデータを取るやり方もあります。例えば、コンテンツやサポートのサイトで「役に立ったか」「役に立たなかった」「参考になった」「参考にならなかった」等のボタンを設置し、クリックした時にデータを取るということも設定できます。他にも、ソーシャルボタンを押した時のデータを取る等が考えられます。これらをしっかりと計測することで、ユーザーのコンテンツに対する反応を見ることができるようになります。

顧客の興味関心を可視化するポイント

目的は計測ではありません。最終的な目的は改善です。とはいえ、一人一人の動きすべてを改善することはあまり現実的でありません。そのため、一人一人を束ねた大きな塊で捉えることで、より成果につながりやすい多くの可能性がある人たちに対して施策を行うことができるようになります。

そのようなグルーピングをするためには、閾値を決める必要があります。そのためにここまでお伝えしたようなデータを取得します。そこから、成果につながりやすい行動を精査し、訪問回数で分けた方がいいのか、滞在時間で分けた方がいいのか、自分たちのサイトの流入元はオーガニックが多いので、オーガニックとそれ以外に分けた方がいいのか等を必要に応じて決めていきます。さらにグルーピングされた各オーディエンスの詳細行動を見ることで気づきを発見していきます。

そして、これらのデータをしっかりとモニタリングする必要があります。経過観測することで、各施策によってこれまでの数値がどう変わったのか、つまりはユーザーの行動が変わってより興味関心が高まったのかを評価することができるようになります。

とはいえ、ここまでお伝えしたやり方にも少なからず課題があると考えています。まだまだページ内のコンテンツ単位の評価は、GA4等のアクセス解析ツールだけでは、難しい部分があります。そこを補填するようなツールとして、ヒートマップもありますが色味で判断することになり、少し抽象的になってしまいます。これらを解決するためにUNCOVER TRUTHでは、コンテンツを分析しやすいツールとして、Content Analytics(コンテンツアナリティクス)を提供していますので、この後ご紹介させていただきます。

Content Analytics(コンテンツアナリティクス)のご紹介|Content Analytics チームリーダー 伊藤

Content Analyticsとは

ページ内のコンテンツを自動で要素分解し、そのパフォーマンスをレポート化することで、どのユーザーが、何時何分にどのページを見て、どのコンテンツをどれぐらい見て、コンバージョンに至ったのか、または回遊しているかが分かるようになります。これらのログデータはCDPやMAツール等に連携することも可能です。

開発の背景(ヒートマップの課題と時代の変化への対応)

当社では、以前USERDIVEというヒートマップを提供していました。上図左側は実際の画面のキャプチャです。このようなヒートマップのアウトプットと情報だけでは、実際の施策への活かし方を考えづらい場面も多く、どうしてもアナリストの腕に頼らざるを得ないところがありました。そのため、上図にあるようなヒートマップで感じていた課題の解決と、下図にあるユーザーの維持が重要な時代に必要な「顧客理解(ユーザーの興味関心の把握)」をより簡単に出来るものを提供したいという思いを併せて、Content Analyticsを開発するに至りました。

アクティブなユーザーの獲得・育成・維持が重要

新規獲得したユーザーが1回購入しても、2回、3回と続かなければ、離脱や休眠顧客化してしまうため、常に新規獲得し続けなければなりません。ですが、前段でお伝えした「人口減少」「ユーザー接点の多様化による競争の激化」「1:5の法則」からも分かるように、新規獲得の難しさも年々上がってきています。そのため、アクティブなユーザーをいかに獲得・育成・維持できるかが今の時代とても重要になっています。

とはいえ、このような現状を分かっていたとしても「そのためにどのようなコンテンツを増やしたらいいのか」「そのためにユーザーが今興味のあることを踏まえた上でコミュニケーションを取りたい」「そのために休眠解約を引き留める切り返しはないのか」といった課題をお持ちの方も多いのではないでしょうか。このような課題を解決する近道は、まずは今いるサイトアクセスユーザーの興味関心を知ることです。そして、このサイトアクセスユーザーの興味関心を知ることを実現するのが、Content Analyticsです。

Content Analyticsでサイトアクセスユーザーの興味関心が分かる理由①

Content Analyticsは、コンテンツへのアクセスデータをユーザーごとに蓄積しています。さらに、上図にある4つの指標でコンテンツを評価できます。このようにコンテンツを評価することで、できるようになることの1つが冒頭でもお伝えしたコンテンツの貢献度を数値化することです。

これにより、日々皆さんが追っている購入や応募、継続といった様々な「KPIに対して効果があるコンテンツは何か」がわかるようになります。購入完了等のゴールをContent Analytics上で設定することで、その設定を元にフィルター機能が使えます。これにより、それぞれのゴールに対して、ポジティブユーザーが見ているコンテンツや非ポジティブユーザーが見ているコンテンツが分かるようになります。

例えば、非ポジティブユーザーが長く見ているコンテンツは、検討をやめるきっかけになっていたり、内容が分かりづらいため離脱するきっかけとなっている可能性があるといった評価もできるようになります。その場合、対象となったコンテンツに対して、領域をコンパクトにしたり、移動したり、訴求方法を変えるといった施策を企画することができるようになります。つまりは、どのようなコンテンツを増やし減らすべきかを、必要なゴールに対してわかるようになるため、ユーザーが求めている最適な訴求を行えるようになります。

一般的な解析ツールとContent Analyticsの違い

一般的な解析ツールは、ページ単位で分析することが多く、全てのページのすべてのコンテンツのデータを取りに行くには設定も難しく、多くの工数を使うため現実的ではありません。さらに、解析ツール上で計測したい新しいコンテンツを追加するためには、エンジニアが設計して実装しなければならない場合も多く、手間がかかります。Content Analyticsは、新しいコンテンツが追加された場合でも、クローラーが回りコンテンツを自動で取得し分割したうえでパフォーマンスも評価します。LPやサイトの評価をツールの使用者だけで簡単に行えます。 

Content Analyticsでサイトアクセスユーザーの興味関心が分かる理由②

2つ目は、ユーザーの嗜好性を単一ページの回遊で取得できる点です。各コンテンツにタグ付けができるため、単一ページの回遊で嗜好性の把握ができるようになります。例えば、上図にあるID:001の人は成分素材での滞在時間が長いため、成分素材を気にしていると捉えられます。対して、ID:010の人は口コミでの滞在時間が長く、口コミを重要視するといったことがタグによって分かるようになります。これにより、成分を気にするID:001の人には成分や素材の詳細に関するメルマガでコミュニケーションを取る等、ユーザーの興味関心から、今行うべきネクストアクションが導き出されるようになります。

通常のツールとContent Analyticsで見られる情報の違い

日頃皆さんが確認している情報は、ページ閲覧データ、属性データ、購買データを主としてる場合が多いかと思います。ここにContent Analyticsのデータが加わることで、上図にあるような、今まで見えてなかった新しいインサイトがわかるようになります。

最後に

これまでだとアンケート等でとることが多かったサイトアクセスユーザーの興味関心ですが、ユーザーがサイトを自由に行動するだけで、ここまでご説明したような今の興味関心や人物像を鮮明にするデータが、Content Analyticsを利用すると分かるようになります。ぜひこれからのお取り組みでご検討いただけますと幸いです。

Content Analyticsに関するご質問・資料請求などお気軽にお問い合わせください。

動画はこちらから

実際のセミナー内容の詳細はぜひ動画にてご覧ください。

外部リンク:小川卓に聞く 顧客の興味関心を定量化する方法とその価値

UNCOVER TRUTHでは、CDPやCRMを主軸にデータ活用に関して皆さまのお役に立つコンテンツをお届けしてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

コンテンツアナリティクスの活用方法がわかる資料配布中

GoogleアナリティクスのバージョンがUA(ユニバーサルアナリティクス)からGA4に移行された現在、画面操作や分析方法が難しくWEBサイト改善やコンバージョン改善に苦戦している企業が増えています。当社CAOの小川卓が「コンテンツアナリティクスを使って自社サイトを分析しました」と題してWEBサイト改善で見ていくポイントと活用事例のホワイトペーパーを作成いたしました。ぜひご活用ください。

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