今改めて理解しておきたい、WebマーケティングにおけるPDCAとは?
PDCAという言葉は、現在では一般的に使われる言葉となっています。読者の皆さまも、内容を理解し、実際に日々実行されていることかと思います。とはいえ、理解とは別に、実行しきれていないケースにも多く遭遇します。
今回は、Webマーケティングにフォーカスして、PDCAサイクルのメリットや、うまく回らない要因と対策について解説します。
あらためて、PDCAとは何でしょう?
PDCAとは、さまざまな活動(仕事)において、その活動を円滑に進めていくための手法の一つです。
PDCAの文字はそれぞれ、下記を表しています。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
1つの活動をPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)と分けて、それぞれを的確に実行することで、効率的に目的・目標の達成へと向かう一つの方法です。
計画|Plan
目的(ゴール、KGI)や、中間ゴールとなる目標値(KPI)を決めて、達成に向けた具体的な行動を決めます。
実行|Do
次に、計画した施策や行動内容を実行します。
評価|Check
計画した施策や行動内容の結果を評価します。
途中や、完了時に定期的に行い、良かった点、悪かった点の原因を調べていきます。
改善|Action
評価を元に、結果の良かった点、悪かった点となった原因に対して改善を行います。
次の計画にも活かしていきます。
では、WebマーケティングにおけるPDCAとはなんでしょう?
PDCAサイクルを理解していても、必ずしも日々の実務に役立つものとして使えるわけではありません。では、そもそもWebマーケティングにおけるPDCAとはなんでしょうか?
|WebマーケティングのPDCA
Webマーケティングの活動をPDCAに当てはめると下記のようになります。
計画|Plan
必要なデータを可視化する
ビジネスの目的や目標の達成や判断に必要なデータ(KPI)を確認できるようにします。
データの分析と実行施策の優先順位を決定する
分析から、改善する可能性の高い箇所や、対象のユーザーを洗い出し、施策を決定します。
実行|Do
データの取得設計をする
実行施策の結果を振り返ることができるデータを必ず取得できるようにします。
施策を実行する(テストも行う)
その施策の実行がある場合とない場合の比較ができるテストも実行します。
評価|Check
実行施策の結果を分析する
仮説通りか?成果の上下要因はどこにあるのか?を分析し振り返ります。
※より成果の出やすいPDCAサイクルを作るには、ここでの知見を溜めていける環境整備も合わせて重要になります。
改善|Action
評価をもとにした、更なる施策と次の計画を立てる
路線変更が求められるのか?成果を下げた要因に対して改善施策を行うのか?成果を上げた部分をより良くするのか?などの改善を行い、次のPlan(計画)へと進みます。
|必要なデータを確認できるようにする
WebマーケティングのPDCAの実行は、計画(Plan)が重要になります。
その際、「データを可視化して分析を行い、現状を正しく把握する」ことが非常に重要になります。
とはいえ、近年のWebマーケティングで扱うデータは、多種多様です。これらのデータは、ひとつの部門で管理されているとは限らず、実行施策による各種データへの影響を追えていないケースも多く見られます。
- Webサイトの解析データ
- オンラインオフラインのデータ
- SNSのデータ
- CRM関連のデータ
- 基幹データ
KGI達成のための施策を評価できるように、KPIを設計し、評価に必要なデータを計測可能にしておきましょう。KPIについては、別記事:WebサイトのCVRを向上させる超具体的な“追う指標”の設定方法でも解説していますので、併せてご覧ください!
|WebマーケティングのPDCAを上手く回すためのポイント
- 計画(Plan)が特に重要です
評価(Check)と改善(Action)に影響を与えます。 - 中間ゴール(KPI)の設計と、結果を判断するためのデータ取得が必要です
的確に評価(Check)し、改善(Action)を行うために重要です。 - 評価(Check)で出た知見をしっかりと溜めて置ける環境整備が必要です
WebマーケティングのPDCAが上手く回らない要因と対策
「あ、取得できていない指標(データ)だ・・・仕方ない、いったんそこは無しでいこう・・・」
Check(評価)の時点になってはじめて、必要なデータを取得できていないことに気づくケースが散見されます。特に、施策に関わるイベントデータを取得できていなことがあります。
広告やWebサイトにおけるクリックや、画面をどこまでみたのか、どのコンテンツに着目したのか、滞在時間などのデータを取得できるようにすることが、大きなポイントになります。このようなデータを取得するためには、新たな設定やツールを導入する必要があるかもしれません。
- 目標を立てて、実行したが評価をしていない
- 評価しただけで改善をしていない
- きちんとした評価をしないまま、先に改善をして失敗した
こうなると、施策から先の効果が弱まります。このような状態になっているケースに共通して、下記のような傾向が見られます。
|よくある、PDCAが上手く回らなくなる要因
- あいまいな目的や目標設定をしている
社内や社外の代理店、ベンダーで目的認識にズレが出てしまいます。 - 施策の実行自体が目的になっている
KPIの設定が不十分だと、施策の良し悪しがKGIでしか見られず、
単発施策で終わってしまい、改善のサイクルが止まってしまいます。 - レポーティング環境が整備されていない
結果を評価するための情報が不足すると正しい評価ができなくなります。 - 改善に対する議論が充分に行われていない。もしくはその機会を設けていない
評価をあやふやにしている状態だと、次の計画に進むことなく、施策自体も単発で終えてしまいがちです。
|例)Webサイトからの売上を増やしたい
”サイト全体の流入を〇〇%増やしながら、既存のコンバージョン率は維持して、売上目標〇〇円を達成したい”
このような目標があった場合、サイト流入、コンバージョン、売上との関係性を理解しながら複合的な観点で見ていく必要があります。
- どのチャネルからの流入を増やし、そのコンバージョン率が維持される想定なのか?
- 成果の高いチャネルと並行して、コンバージョン率を改善すべきチャネルはないのか?
- サイト内のどの箇所を改善するとコンバージョン率が上がる見込みがあるのか?
- デバイスは、PC?SP?
- そのチャネルの流入数は、計画期間内に増やせるものなのか?
- 流入を改善するよりも、離脱を改善したほうが効果が高いのでは?
- コンバージョンユーザーの5割はAというコンテンツに接触しているので、多くのユーザーに接触を促しては?
- リピートユーザーの購入単価をどのぐらい上げて、新規ユーザーをどのぐらい獲得すれば達成できるのか?
上記のように、自分たちの目的や施策に応じて、多岐に渡るポイントをしっかりと追えるようにしましょう。
KPIを”〇〇%流入を増やす!”だけにしてしまうと、目標が未達成の場合、その後どの部分をどう改善していけばいいのか?わからなくなってしまいます。
|目的を見失わないために
「流入目標は達成したけど、コンバージョンは達成できなかった・・・」
「どこが悪かったから達成できなかったんでしょうね・・・」
「単価は上がったけど、新規流入が少なくて、思ったほどスケールしなかった・・・」
上記のような会話をしたことはありませんか?
本来の最終的な目的は、施策を実行することではなく、”売上を〇〇円に上げる”ということです。
それを達成するために、分析し、シミュレーションし、適切な評価・改善を行えるように、必要なデータを確認できるレポーティング環境の整備が求められます。
分析や評価するためのデータが不十分になると、改善施策に関する会議を設けても、そのデータを調べなおす時間になりがちです。限られた時間、リソース、予算の中で、実行していることが多い中で、次の施策がどんどん後倒しされていき、適切なサイクルでPDCAが回らなくなっていきます。
例えば、当社の場合は、クライアントとのPDCAを正しく運用していくために、下記のような準備を行います。
- ユーザー動向を測れるような、判断軸になるデータを定義する
- 事前にシミュレーションをした上で中間ゴール(KPI)を設定する
- KGI達成に必要な中間ゴール(KPI)のデータを、日々定点で確認できるサマリーシートやダッシュボードを用意する
- サマリーシートやダッシュボードを活用した定期的なMTGを実施する
PDCAのメリットは、仮に進捗や達成率が振るわなかった場合、どの段階のどこに課題があり、それはどのような施策(仮説)をもって解決できるのか?といったサイクルを、より具体的に動かす事が可能となる点です。参考になる点があれば、ぜひ実行に移してください!
~編集後記~
こんにちは!Content Analytics(コンテンツアナリティクス)事務局です!
今回はPDCAといっても途中で停滞しがち。というご相談を受けましてWebマーケティングにおけるPDCAとはと題して書かせていただきました。いかがだったでしょうか。すでにご存知の皆さまも改めて振り返る機会になれば幸いです!
話は変わりまして、先日当社のCAO小川卓&COO小畑陽一の『ITトレンドEXPOのセッション』の収録に行きました!
今回の登壇のセッションテーマは『GA4でハードルがあがったサイト改善はこう乗り切る!』です!ご興味あるかたはWEBセッション会場へのご来場お待ちしております!
当社が提供するコンテンツアナリティクスとは?
専門知識不要のカンタン操作でWEBサイト分析を。アクセス解析からページ内のコンテンツ分析まで、時間と工数をかけずに定量的な分析が可能に。ユーザーニーズもページ内の閲覧傾向から定量化(数値化)。UI/UXの改善やユーザーそれぞれへの適切な訴求・コミュニケーションに活かせます。
この記事を書いた人