目次
この記事が解決できること
- KPIツリーを作る目的とメリットを知ることができる
- KPIツリーを作る前に知っておきたい5つのルールがわかる
- KPIツリーの作り方を3つのステップで理解できる
はじめに
ビジネス目標を効率的に達成するには、成果の「見える化」と改善を繰り返す仕組み作りが重要です。そのため、多くの企業では「KPIツリー」が活用されています。
本記事では、KPIツリーを作る目的やメリット、作成における基本的なルールを紹介します。さらに、KPIツリーの作り方を3つのステップで解説していますので、作成を検討している方はぜひ参考にしてください。
KPIツリーとは?
KPIツリーとは、企業や組織の最終目標であるKGI(Key Goal Indicator)を達成するために、必要な要素を階層的に整理してツリー状に可視化した図です。このツリー構造を用いることで、各部門やメンバーがどのような指標に取り組むべきかを視覚的に理解しやすくなります。
KPIツリーを作成する目的とメリット
KPIツリーを作成する主な目的は、企業の目標達成のために必要となる要素であるKPI(Key Performance Indicator)を階層的に整理し、各要素の進捗を管理することです。可視化することで、目標に向けたアクションを共有しやすく、組織全体で統一された指針に沿って進められるようになります。
また、進捗を管理することで、目標達成のボトルネックになっている要素を早期に発見することが可能です。対処が必要な原因を明確にし、リソースの効率的な活用につなげられることは、KPIツリーを作成する大きなメリットといえます。
KPIとは?
Key Performance Indicatorの略であるKPIとは、企業や組織が目標達成に向けた進捗を具体的に測定・評価するための指標です。日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれ、Key Goal Indicatorの略であるKGI(重要目標達成指標)に対する中間的なチェックポイントとして機能します。
KPIの設定は、企業や組織が目指すべき方向が明確になるため、日々の業務が目標にどれだけ近づいているかが分かります。また、KPIの数値化により、客観的かつ公平な評価が可能になるため、組織全体の効率化やモチベーションの向上にもつながるでしょう。
KPIとKGIの違い
KGIは最終的な成果を測る指標であるのに対し、KPIはその成果に向かうプロセスや行動を評価する指標です。
例えば、「年間売上1億円」というKGIを設定した場合、その達成に向けた要素として「新規顧客獲得数」や「リピート率」がKPIとして考えられるでしょう。この違いを理解することは、組織全体の方向性を統一し、効果的な戦略を構築する上で重要です。
KGIが「最終目標」であるのに対し、KPIはその達成を支える細分化された「中間目標」として機能します。この両者を適切に設定し活用することで、組織の目標を効率的に追求できます。
KPIとKGIの設定方法や実務で活用するコツを知りたいという方は、さらに詳しく解説しているこちらの記事をご覧ください。
KPIツリー作成における5つのルール
適切に設計されたKPIツリーは、最終目標への道筋を分かりやすく示し、各メンバーが自分の役割や達成すべき具体的な指標を把握するのに役立ちます。しかし、ツリーを作成する際に必要なポイントを押さえなければ、KPIの効果が薄れ、目標達成までのプロセスに混乱が生じてしまうかもしれません。
ここからは、精度の高いKPIツリーを作成するための、基本的なルールを5つにまとめて紹介していきます。
KPIツリー作成における基本的な5つのルール
- 四則演算が可能な要素で構成する
- 各KPIに単位を明確に設定する
- 遅行指標と先行指標を分けて設定する
- KPIとして適さない要素を避ける
- 重複のない要素で構成する
1.四則演算が可能な要素で構成する
KPI同士が「足す」「引く」「掛ける」「割る」という四則演算で計算できる関係にあることを確認しましょう。KPIツリー内の各KPIがKGIにどう影響しているか明確に把握でき、成果の検証や軌道修正をしやすくなるからです。
例えば「売上」をKGIとすると、「顧客数」×「平均購入単価」=「売上」という計算式の構成にすることで、各KPIが目標にどのように貢献しているか具体的に理解できます。また、四則演算を前提に構成することで、KPIツリーの各要素に整合性が生まれ、問題の発見やボトルネックの特定もスムーズに進められることが、このルールの大きな利点です。
2.各KPIに単位を明確に設定する
各KPIの単位を揃えて設定することは、効果的な進捗管理において重要です。単位が統一されていないと、指標同士の計算や比較が難しくなり、目標管理の整合性が崩れてしまうことがあるからです。
「顧客数」というKPIがある場合、「人」や「件」といった単位を設定し、下位KPIも同様に統一することで、ツリー内のKPI同士の関連性が明確になります。また、先ほど紹介した四則演算のルールを守るためにも、単位の統一は欠かせません。
3.遅行指標と先行指標を分けて設定する
遅行指標とは、結果が出るまでに時間がかかる指標であり、売上や利益といったKGIに近い指標が該当します。これに対し、先行指標は、結果に先行して変化が見られる指標であり、「問い合わせ件数」や「訪問回数」などが先行指標です。
「売上」を遅行指標とする場合、その達成に関わる「新規顧客獲得数」や「訪問者数」を先行指標として設定することで、進捗を段階的に追跡できます。このように各KPIを目的に応じて管理することで、具体的な行動の成果を予測しやすくなり、早期の改善対応が可能になります。
4.KPIとして適さない要素を避ける
KPIとして設定する指標には、適さないものも存在します。適していないKPIの設定は、進捗が分かりにくく、モチベーション低下の要因にもなりかねないため注意が必要です。
以下に、KPIとして適さない要素とその理由・具体例を表にまとめました。
適さない要素 | 理由 | 具体例 |
---|---|---|
定量化できない指標 | 数値で評価できず、進捗が曖昧になる | 顧客満足度の向上 |
実行が困難な指標 | 非現実的で、達成が見込めない | 前年比500%の成長 |
KGIと無関係な指標 | 最終目標に結びつかないため、KGI達成に貢献しない | 残業時間の削減 |
外部要因の影響が大きい指標 | コントロールが困難であり、管理が難しい | 競合企業の売上変動 |
期限が不明確な指標 | 進捗を評価するタイミングがわからない | 期限を設けず「売上成長目標」のみ |
このような要素を避けることで、KPIツリーの精度を高め、目標達成に向けた正確な管理が可能になります。
5.重複のない要素で構成する
重複する要素が存在すると、KPI同士の関係が不明確になり、進捗管理や課題特定が難しくなります。重複のないKPIツリーを構成するためには、ロジックツリーの原則である「MECE(漏れなくダブりなく)」を活用し、同じ要素や類似した要素を省くことが推奨されます。
各要素が独立して役割を果たせるように構成することで、KGIに向けた具体的なアクションが明確化され、組織全体の方向性の統一が可能です。異なる要素であっても、重複するデータやプロセスが含まれていないかチェックし、KPIツリー全体が分かりやすく整理された構造であることを意識しましょう。
KPIツリーの作り方
効果的なKPIツリーの作成には、KGIを明確にし、その達成に必要な要素を段階的に分解していくことが大切です。本章では、KPIツリーの作り方を3つのステップに分けて解説します。
KPIツリー作成の3つのステップ
- 構成要素の洗い出し
- 洗い出した要素の分解
- 仮説としての運用と改善
1.構成要素の洗い出し
KPIツリーを作成する最初のステップは、最終目標であるKGIを達成するために必要な構成要素を洗い出すことです。まず、KGIを設定し、その達成に必要な要素を逆算的に考え、関連するKPIをリストアップしましょう。
例えば、売上増加をKGIとする場合、以下のようなKPIが考えられます。
- 新規顧客獲得数
- 既存顧客のリピート率
- 平均購入単価
要素の洗い出しには、各部門やチームの担当者と協力し、現場の状況や課題を共有することが大切です。また、洗い出した要素が具体的で測定可能であることを確認し、次のステップでの分解や分析がスムーズに進むように準備します。
2.洗い出した要素の分解
最初の構成要素が揃った後は、洗い出した要素をさらに細分化しましょう。各要素が具体的な行動や指標に結びつき、目標達成への道筋がより明確になります。
それでは、先ほど洗い出した各要素を分解してみましょう。
このように、各要素を具体的な指標や行動に分解することで、KPIツリー全体の構造が明確になり、各部門や担当者が自分の役割を理解しやすくなります。また、分解した要素が四則演算で計算可能であることを確認し、KPI同士の関連性を明確にすることも重要です。
3.仮説としての運用と改善
KPIツリーを作成した後、その効果を最大限に引き出すためには、仮説として運用し、定期的に見直しと改善を行うことが欠かせません。設定しているKPIが、実際の業務や市場環境の変化により、期待通りの成果を上げない場合があるからです。
KPIツリーの精度と有効性を高めるためには、以下のPDCAサイクルを繰り返します。
フェーズ | 内容 |
---|---|
仮説の設定と運用 | KPIツリーを仮説として運用し、各指標の達成状況をモニタリングします。この段階では、設定したKPIが目標達成にどの程度寄与しているかを評価します。 |
データ収集と分析 | 運用結果から得られたデータを収集し、各KPIの達成度や問題点を分析します。例えば、特定のKPIが目標値に達していない場合、その原因を探ります。 |
改善策の実施 | 分析結果に基づき、KPIツリーの構成要素や目標値を修正し、新たな施策を導入します。これにより、KPIツリー全体の精度が向上し、目標達成への道筋が明確になります。 |
PDCAサイクルの継続は、KPIツリーを業務環境に適応させ、組織全体のパフォーマンス向上に寄与します。また、定期的な見直しは、組織内のコミュニケーション活性化や、共通の目標に向けた一体感につながるでしょう。
KPIツリーの事例
ここでは、先ほど解説した売上増加をKGIとするKPIツリーの事例を紹介します。KPIツリーはさまざまな形がありますので、1つの例として参考にしてください。
まとめ
KPIツリーの作成は、「何を優先すべきか」がはっきりし、日々の業務が目標達成につながっている実感を持ちやすくなります。また、進捗を一目で確認できるため、早い段階で課題を発見し対策を打てるのも大きなメリットです。
一見難しそうに見えますが、作り方やルールさえ押さえておけば、意外とシンプルに組み立てられます。企業の売上アップや効率的な業務改善のためにも、ぜひ導入を検討してみてください。
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