【BI】”使われる”ダッシュボードが守っている手順とポイント(前編)

【BI】”使われる”ダッシュボードが守っている手順とポイント(前編)

更新日:2024/05/23

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この記事が解決できること

  1. ダッシュボード作成の手順がわかる
  2. ダッシュボード作成の各フェーズでやるべきことがわかる
  3. ダッシュボード作成において抑えるべきポイントがわかる

はじめに

努力して作ったダッシュボード。見た目はすごいけど結局全然使われない・・・ そんなことはありませんか? 使われないダッシュボードは、下記いずれかの特徴に当てはまることが多いです。

  • 目的に対し、必要十分な情報になっていない。(多すぎる、少なすぎる)
  • データの定義が曖昧で、正しいデータなのかわからない。
  • 仕様が複雑で非エンジニア、非アナリストが使いづらい。
  • 修正が必要になった時、対応できる人がいない。

使われるダッシュボードにするためには、まず始めに利用者とダッシュボードの目的や中身をすり合わせる「要件定義」が非常に大事です。それを飛ばして「構築」に入ってしまうと結局継続して使ってもらえない価値のないダッシュボードになってしまいます。

今回は、まず要件定義の中でもさらにフェーズを分解し、各フェーズにおいて抑えるべきポイントを詳しく説明していきます。

あわせて、すぐに使っていただけるダッシュボード作成手順におけるチェックリストを配布しています。どうぞ最後までお読みください。

ダッシュボード作成の手順

まずダッシュボード作成には6つのフェーズがあります

後ほど各フェーズごとにやるべきこと、抑えるべきポイントを詳しく説明していきますが、 ここではまず各フェーズでどんなことを行うのか?要約してお伝えします。

そのダッシュボードは誰がどんな目的で使いますか?一番始めにして最も大事なフェーズです。このフェーズを飛ばして闇雲にダッシュボード作成を始めてしまい、使われないダッシュボードとなってしまうことは少なくありません。

このフェーズでは

  • いつ誰がどんな目的で利用するものか。
  • どんなデータを可視化するのか。

など、5W1Hに基づいた設計を行います。
この章について早速詳しく読みたい方はこちら

そのダッシュボードはどんなデータから構成されますか?概要設計が出来たら、今度はデータの定義を行います。 例えば「売上」といっても「税込」なのか「税抜」なのか、どこのデータを引っ張ってくるか等 見る人の主観に頼らない共通定義を決める必要があります。

  • どのデータソースからデータ連携するのか。
  • どのような条件でデータ抽出を行うのか。

可視化する指標について定義付けを行います。
この章について早速詳しく読みたい方はこちら

どのようなデザインにすれば利用者が利用しやすいですか?可視化するデータが決まったら、今度はダッシュボードのデザインです。

  • どのような画面レイアウトにするのか。
  • 各データ項目をどのような形で表現するのか。

「棒グラフ」なのか「円グラフ」なのか等、どのように表現すればデータを正しく解釈できるのか検討を行います。
この章について早速詳しく読みたい方はこちら

ここでようやく実作業です!フェーズ1~3で行った定義付けを元に、ダッシュボード画面を構築します。

  • DQHでSQLを用いデータマートを作成する。
  • BIツールにデータ接続し、可視化をする。

ダッシュボードは作って終わりではありません! どれだけ定義付けをしっかり行っていても、実際に運用してみると修正すべき点はたくさん出てきます。

  • 数値定義の変更に伴うデータマートの修正
  • ダッシュボードのデザイン変更

必ず「修正」工程も加味した上で、ダッシュボードのスケジュールを立ててください。

そのダッシュボードはどれくらいの頻度で利用されますか?フェーズ5までは自動化せず、手動でデータ連携を行います。 一通り運用して修正した後に、ようやく自動更新の設定をします。

ここまで完了してダッシュボードは一旦完成です。 しかし、ダッシュボードは使われるうちに修正が出てくるものです。 作成後も数か月に一回はダッシュボードの見直しを想定した方がよいでしょう。

まとめ

  1. 大きく分けて6つのフェーズを意識し、ダッシュボード構築を開始
    闇雲に手をつけるのではなく、各フェーズを念頭に置いてダッシュボードの構築スケジュールを立てましょう。
  2. 最初が大事!5W1Hに基づいたダッシュボード設計を行おう
    「いつ誰がどんな目的で利用するのか?」「どんなデータを可視化するのか?」を明確にすることで、”使われる”ダッシュボードを作ることができます。

フェーズ1「BI概要定義」でやるべきこと

ポイント

  1. ダッシュボード作成における5W1H
  2. いつ誰がどんな目的で利用するのか
  3. 何をどうやって可視化するのか

フェーズ1「BI概要定義」では2つのポイントがあります。

取り組み項目やるべきことポイント
要件の整理5W1Hの「When」「Where」「Who」「Why」を考える・様々な目的を1つのダッシュボードで解決しようとしていないか
・本当にダッシュボード化すべきなのか
可視化するデータ項目と可視化方法の決定5W1Hの「What」「How」を考える・各データ項目はダッシュボード化するべきなのか
・必要な環境、ツールは揃っているか

各項目について説明する前に、そもそもダッシュボード作成における5W1Hとは何でしょうか。

When:「いつ」使用するのか
Where:「どこで」使用するのか
Who:「誰が」使用するのか
Why:「何を」するために使用するのか
What:「何を」見るのか
How:「どうやって」使用するのか

▼5W1Hの例
When:毎週月曜日の9時に
Where:会議室で
Who:経営層が
Why:会社の経営戦略を検討するために
What:売上や利益といった経営指標を
How:BigQuery経由で連携したTableauにて見る

まずはこれを考えることが、”使われる”ダッシュボードを作るために最も重要です。そして一つ注意点として、作成者自身が考えて終わるのではなく、必ず使用者「Who」とすり合わせましょう。

要件の整理を行います。

■やるべきこと
5W1Hの「When」「Where」「Who」「Why」を考える

■ポイント
・様々な目的を1つのダッシュボードで解決しようとしていないか
・本当にダッシュボード化すべきなのか

1つのダッシュボードに対して目的は必ず一つに絞ってください。 ダッシュボードは複雑になればなるほど、使用されなくなります。使用する人が自分の見たいものだけが見られるようにしましょう。
目的が複数ある場合は、ダッシュボードを分けて作成しましょう。

また、ダッシュボードは常に追うべき数値を可視化するものです。確認頻度が数か月に一回程度の指標や、一回切りで良い指標はダッシュボード化ではなく都度可視化しましょう。

可視化するデータ項目と可視化方法の決定を行います。

■やるべきこと
5W1Hの「What」「How」を考える

■ポイント
・各データ項目はダッシュボード化するべきなのか
・必要な環境、ツールは揃っているか

ダッシュボード単位だけではなく、具体的なデータ可視化項目単位でも本当に常に追うべき数値なのか?を利用者とすり合わせましょう。

また、どんなデータを可視化したいか凡そ決まった時点で、BIツールは何を使うのか?どのようにデータを連携するのか?を考えましょう。

フェーズ2「データ要件定義」でやるべきこと

ポイント

  1. データをどこから引っ張るのか
  2. どんな条件でデータを絞るのか

フェーズ2「データ要件定義」では3つのポイントがあります。

取り組み項目やるべきことポイント
データソースの選定どのデータソースからどのデータを連携するのか整理する・可視化に必要なデータは全て存在するか
・複数テーブルを組合せる必要がある場合、
リレーションキーを確認する
・同定義の使用可能なデータが複数テーブルに
存在する場合にどれを用いれば最適か検討
抽出条件の確認各データをどのような条件に絞って抽出するか検討・各データ項目はダッシュボード化するべきなのか
・必要な環境、ツールは揃っているか・対象期間を決める
(データが大きくなりすぎるとBIの動作に影響があるため使用範囲を絞る)
・除外条件の確認(返品・キャンセル・除外顧客・統合顧客・集計対象外商品など)
数値定義のすり合わせ可視化する各データ数値の集計定義を検討・税込・税抜金額どちらで可視化するか
・件数のカウント方法
・基準日付の定義
(売立て日,注文受領日,発送日)
・割合や率がある場合の分母定義
・独自の集計定義がある場合の式

データソースの選定を行います。

■やるべきこと
どのデータソースからどのデータを連携するのか整理する

■ポイント
・可視化に必要なデータは全て存在するか
・複数テーブルを組合せる必要がある場合、リレーションキーを確認する
・同定義の使用可能なデータが複数テーブルに存在する場合にどれを用いれば最適か検討

▼例
・ECアクセスログ:GA4からBQにローデータを格納したテーブル”ga_sessions_2024”を使用
・店舗購買履歴:POS管理システムからデータレイク経由でBQに格納したテーブル”sales_2024”を使用
・施策データ:MAツールからBQに格納したテーブル”ma_2024”を使用

可視化したいデータ項目があっても、データが溜まっていない場合や、データはあっても他のテーブルと上手く結合できない場合があります。
可視化したいデータ項目それぞれがどのデータソースから引っ張ってこれるのか?他テーブルと上手く結合できるのか?整理をした上で
可視化できない項目があればもう一度使用者と話し合いを行い、対応を検討しましょう。

抽出条件の確認を行います。

■やるべきこと
各データをどのような条件に絞って抽出するか検討

■ポイント
・対象期間を決める(データが大きくなりすぎるとBIの動作に影響があるため使用範囲を絞る)
・除外条件の確認(返品・キャンセル・除外顧客・統合顧客・集計対象外商品など)

▼例
・キャンセルはEC購買履歴”ec_sales”テーブルのカラム”order_cancel”にフラグ1が立っていたらキャンセル済みの注文とみなし除外
・年間購入金額が100万円以上の顧客は、転売ヤーの可能性が高いため除外

データを必要以上に大きくするとBIダッシュボードの動作が重くなったり、上手く更新されないことがあります。
不必要なデータは事前に精査をした上で、必要なデータに絞ってデータマート作成を行いましょう。

また、サービスの特性によっては返品が発生したり、除外すべき顧客がいる等データの取り扱いに気をつけなければならない場合があります。可能な限り洗い出しておきましょう。
このような抽出条件に関しても、使用者とすり合わせておきましょう。

数値定義のすり合わせを行います。

■やるべきこと
可視化する各データ数値の集計定義を検討

■ポイント
・税込・税抜金額どちらで可視化するか
・件数のカウント方法 ・基準日付の定義(売立て日,注文受領日,発送日)
・割合や率がある場合の分母定義 ・独自の集計定義がある場合の式

各データ項目に対する集計定義を細かく決めていきます。ポイントとして洗い出したものはあくまでもよくあるケースであり、サービスの特性による考慮が必要です。

フェーズ3「UI要件定義」でやるべきこと

ポイント

  1. どんな見た目のダッシュボードを作るか

フェーズ3「UI要件定義」のポイントは1つです。

取り組み項目やるべきことポイント
画面レイアウトの作成どのような画面レイアウトにするか、
各データ項目をどのように表現するか検討
・配色は間違いや誤解を誘発しないか
・初見でも操作が分かりやすいか
・文字サイズは適切か
・画面アスペクト比はどうるか
・統一感はあるか

画面レイアウトの作成の選定を行います。

■やるべきこと
どのような画面レイアウトにするか、各データ項目をどのように表現するか検討

■ポイント
・配色は間違いや誤解を誘発しないか
・初見でも操作が分かりやすいか
・文字サイズは適切か
・画面アスペクト比はどうるか
・統一感はあるか

データをどう可視化するか?はとても重要です。データから示唆を得るためには、どのようなグラフ・表にするのか?どのようにダッシュボードレイアウトにするのか?はよく検討する必要があります。
こちらは、今後の記事でダッシュボードの事例とともにグラフ・表選択のコツを紹介いたしますので、更新をお待ちください。

すぐに使える!ダッシュボード作成のチェックリスト

各フェーズにおけるポイントをチェックリスト形式でまとめたExcelファイルを配布しております。 詳しい入手方法については下記よりご確認ください。

まとめ

ダッシュボード作成の手順と前半の「要件定義編」において抑えるべきポイントを説明いたしました。「要件定義編」でしっかりダッシュボードの使用者と定義をすり合わせておくことで”使われる”ダッシュボードを作ることができます。

下記記事では、後編の「構築編」における抑えるべきポイントをご紹介しています!是非こちらもご覧ください。

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