目次
この記事が解決できること
- 「データのサイロ化」という言葉の意味とおよぼす影響がわかる
- サイロ化が発生する原因と起こりえる問題について知ることができる
- サイロ化を解消するための3つの方法を知ることができる
はじめに
データのサイロ化は、企業が直面する大きな課題の一つです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める企業にとって、データが組織内の複数の部門やシステムに分散している状態は、業務効率の低下や意思決定の遅延をまねく原因となります。このようなデータの断片化が進行すると、顧客対応の質やビジネスの成果にも悪影響を及ぼしかねません。
この記事では、データのサイロ化とは?から、発生する原因、そして問題点について解説します。さらに、データのサイロ化を解消するための方法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
データのサイロ化とは?
データのサイロ化とは、企業内の特定の部門やチームが、自身で収集したデータを他部門と共有せずに管理する状態を指します。サイロという言葉は、農産物や飼料を貯蔵するための倉庫に由来しており、それぞれ独立したタンク内で管理される様子が、部門ごとのデータが隔離されている状況に似ていることから、この名称が使われるようになりました。
サイロ化が進行すると、企業全体での情報の一貫性が失われ、意思決定に必要な重要なデータが見えにくくなります。例えば、マーケティングチームが顧客データを持っていても、営業部門と情報を共有できていなければ、データの重複や整合性の欠如が生じやすくなり、業務の効率が低下してしまうでしょう。
サイロ化は企業の成長やDXを妨げる要因となり得ます。そのため、データの統合を進め、全社的に共有できるデータ基盤を整備することが重要です。
データのサイロ化が発生する3つの原因
データのサイロ化が発生する原因は、主に企業の内部構造や技術的な課題に起因します。これから紹介する3つの原因は、どの組織でも見られる共通の問題です。
それぞれがどのようにサイロ化を引き起こすのかを理解することは、効果的な対策を考えるための第一歩となります。
サイロ化が発生する3つの原因
- 部門間の連携不足によるデータの分断
- 異なるシステムの導入と管理の煩雑さ
- データガバナンスの不備
1.部門間の連携不足によるデータの分断
各部署が独自のデータを管理し、それを他のチームと共有しない状況が生まれることで、データのサイロ化が起きてしまいます。この問題は、部門間のコミュニケーション不足や情報の共有体制が整っていない組織文化が影響していることが多いです。
部門間での分断は、全社的なデータの可視性を低下させ、意思決定やプロジェクト進行の遅れにつながります。また、データの重複や不整合が生じやすくなるため、正確なデータに基づいた判断を難しくするのです。
2.異なるシステムの導入と管理の煩雑さ
企業が部門ごとに異なるシステムを導入すると、その管理が煩雑になり、データのサイロ化を引き起こす大きな原因となります。各部門が特定のニーズに応じたシステムを選定すると、それぞれのシステムが独立して動作し、他部門とのデータ共有が困難になるからです。
異なるシステム間での共有が難しい場合、手動でのデータ整理作業が必要になり、時間と労力がかかるだけでなくミスが発生するリスクも高まります。また、データが一元的に管理されていないと、データ漏洩や不正アクセスなどのセキュリティリスクが増すことも課題です。
3.データガバナンスの不備
データガバナンスがしっかりと機能していない場合、データの一貫性や品質が損なわれるため、やがてサイロ化してしまいます。データガバナンスとは、データの収集・保存・利用に関するルールやプロセスを管理し、データの整合性やセキュリティを確保するための枠組みです。
ガバナンスの不備により、データが異なるフォーマットや場所で保管され、組織全体でのデータ統合が困難になります。特に、適切なデータ管理者が配置されていなかったり、データの品質基準が不十分であったりすると、データの信頼性が低下し、意思決定に影響を与えてしまうのです。
データのサイロ化によって起きる3つの問題
ここまで、データのサイロ化が発生する主な原因について触れてきました。では、サイロ化してしまうと、具体的にどのような問題が起こるのでしょうか?
次に、データのサイロ化が引き起こす問題点について、3つ取り上げ、業務にどのような影響を与えるのかを詳しく解説します。
サイロ化によって起きる3つの問題
- 顧客データの断片化による顧客対応の遅延
- 業務効率の低下と情報共有の遅れ
- クラウドシステムの活用不足によるデータ管理の問題
1.顧客データの断片化による顧客対応の遅延
顧客データが複数のシステムに分散されていると、顧客対応に遅延が生じやすくなります。たとえば、マーケティング部門とカスタマーサポートがそれぞれ異なる顧客情報を管理している場合、最新の購買履歴や問い合わせ情報がすぐに反映されないことがあります。
顧客が問い合わせを行った際に、担当者が正確な顧客データにすぐアクセスできなければ、顧客満足度が低下し、企業の信頼性にも悪影響を及ぼします。特に、迅速な問題解決が求められる顧客サービスの場面では、データの断片化が業務効率を大幅に低下させ、長期的な顧客離れをまねく可能性があるのです。
2.業務効率の低下と情報共有の遅れ
部門ごとにデータが分断されたサイロ化が進むと、情報の共有がスムーズに行われなくなります。なぜなら、各部署が独自のデータシステムを使用している場合、必要なデータの取得に時間がかかるからです。
くわえて、データを集めるための手動プロセスも増えてしまい、結果として業務の遅延や重複作業が発生してしまうのです。また、情報がシステム間で統合されていないと、異なる部署が同じデータを異なるフォーマットで管理するということが起き、データの一貫性が失われてしまいます。
データのサイロ化による情報の断片化は、部門間での連携を難しくし、全体的な業務プロセスが非効率になるだけでなく、リソースの無駄使いも増加してしまうのです。
3.クラウドシステムの活用不足によるデータ管理の問題
サイロ化が起きてしまうと、データが複数の場所やシステムに分散してしまうため、統一されたセキュリティ対策を講じにくくなります。このような状況では、データ保護の不備が発生しやすく、サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクが高まります。
また、各部門が異なるセキュリティ対策を行っている場合、データの一貫した保護が難しいです。一元化されていないデータは、可視性の低下とセキュリティ対策の不備につながり、外部からの攻撃や操作ミスなどのリスクを増やしてしまうのです。
データのサイロ化を解消するための3つの方法
データのサイロ化が進行すると、業務効率の低下や情報共有の遅延など、さまざまな問題が発生することがわかりました。これらの問題を解決するためには、データの統合や組織内の連携強化が欠かせません。
そこで、本章では、データのサイロ化を解消し、組織全体で情報を効率的に活用するための具体的な方法について、3つのアプローチを紹介します。
サイロ化を解消するための3つの方法
- クラウドシステムの活用によるデータの一元管理
- 部署間での情報連携を促進する組織改革
- 組織全体でのデータガバナンスの確立
1.クラウドシステムの活用によるデータの一元管理
クラウドシステムを活用することで、企業はデータを一元的に管理でき、業務の効率化やデータの可視性が大幅に向上します。クラウドによる一元管理は、データの品質を保ちつつ、全社的なデータ活用を促進し、サイロ化の解消に大きく貢献します。
また、クラウドシステムでは拡張性が高く、必要に応じてデータの格納容量を増減できるため、従来のオンプレミスのシステムに比べて柔軟な対応が可能です。バックアップやセキュリティ対策も自動化されるため、データの保護とビジネス継続性の強化に役立ちます。
2.部署間での情報連携を促進する組織改革
組織全体のデータのサイロ化を解消するためには、部署間での情報連携を強化することが欠かせません。オープンな情報共有を促進することで、各部署が持つ知識やデータが他部門と共有されやすくなり、組織全体の効率が向上します。
さらに、部署や役職などをまたいだチーム編成や定期的な部門横断のミーティングを行うことで、異なる部署間の対話を促進し、協力関係を深めることが可能です。このような取り組みは、組織全体の目標に向けた一体感を生み出し、意思決定をスムーズにする効果も期待できます。
3.組織全体でのデータガバナンスの確立
データガバナンスは、データの管理・保護・活用を効率的に行うための重要な枠組みです。統一されたフレームワークでデータを一元管理することは、サイロ化を防ぎ、全社的なデータ活用を促すことが可能です。
このフレームワークは、データのアクセス権や使用方法を明確に定めることで、組織全体でのデータ利用を効果的に管理します。近年は、AIや自動化ツールを活用することで、データの品質をリアルタイムでチェックし、問題が発生した場合に即座に対応する仕組みが導入されつつあります。
まとめ
データのサイロ化は企業のデータ活用を阻む大きな課題です。しかし、適切な対策を講じることで、サイロ化による問題を解消し、業務の効率化やデータの一貫性を保つことが可能です。
どのような組織でも、サイロ化を全く発生させないというのは難しいです。日常の業務の中で意識して連携を深めたり、新しいツールを導入したりすることで、徐々に改善していきましょう。
今回紹介した方法を参考に、ぜひ自社でもサイロ化の解消に向けた取り組みを始めてみてください。
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