オウンドメディア運営の成功に欠かせない分析とは(後編)

オウンドメディア運営の成功に欠かせない分析とは(後編)

更新日:2024/05/23

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この記事が解決できること

  1. オウンドメディア分析での心構え
  2. オウンドメディア分析で見るべき指標とは

はじめに

前編となる記事では分析を行う前に知っておきたい、オウンドメディア分析の重要性、そしてKPI設定の重要性について詳しく説明しました。

本記事では

  • 分析を行う際に注意すべき点
  • どのような指標を見て、どのように分析すればいいのか分からない

と感じられている方のために、オウンドメディア分析における心構えと見るべき指標をご紹介していきます。前編記事をご覧になられていない方は、本記事を読む前に是非一読ください!

オウンドメディア分析での心構え

いざ分析をしようとデータを抽出したものの、「ただ数字を眺めてしまっている」「どのようにデータを解釈すればいいか分からない」といった経験はありませんか?
この章では、そのような失敗を防ぐために押さえておきたい5つの心構えを紹介していきます。

①仮説を持つ

仮説構築をせず闇雲にデータを収集しても、意思決定には直結しません。仮説を持たず分析を行うことで、分析の目的や方向性が不明瞭になりデータの海に溺れてしまうなんてことも。無駄な時間やリソースの浪費を避けるためにも、仮説に基づいた分析を行い、分析範囲の絞り込みを行いましょう。
また、仮説を持ち分析を行うことで、「仮説が立証された(成功要因の特定)」「仮説が否定された(課題の修正)」というようにデータの解釈性が格段に上がり、適切なネクストアクションへと繋げることができます。このように、データに基づいた洞察を得るためには、仮説を持つことが欠かせないのです。

②ターゲットオーディエンスの理解

前編記事で述べてきた、「顧客との関係性の構築及び強化」や「KPI設定の重要性」と密接な関係にあるのが、ターゲットオーディエンスの理解です。ターゲットオーディエンスをきちんと理解しないまま目先のPVやUU等を追いかけていると、何を目的としたコンテンツ記事なのか、誰に向けて書いるコンテンツ記事なのかが不明瞭になってしまい、KPIやコンセプトと連動したオウンドメディアから遠ざかっていくばかり。
見込み顧客に向けた記事なのか既存顧客に向けた記事なのか、またどの年代のどの業種の方に向けた記事なのか、をしっかりと把握することで分析の解像度も上がるでしょう。

③傾向と再現性の把握

オウンドメディア分析を行う目的の一つに、勝ちパターンを見つけることが挙げられます。「よく閲覧されているコンテンツ記事の特徴は何なのか」「どういったテーマが好評なのか(または不評なのか)」「上位表示されるキーワードは何なのか」といったデータを収集し分析することで、人気なコンテンツ記事とそうではないコンテンツ記事の特徴が見えてくるはずです。
もちろん再現性があるからといって、似たり寄ったりのコンテンツ記事を作成すればいいというわけではないですが、人気の高いコンテンツ記事の共通項を把握することで、コンテンツ記事を作成する際のヒントになるはず。
また、自社オウンドメディアの傾向を把握することで、今後の戦略や意思決定の一助にもなるでしょう。

④フェーズに適した分析

オウンドメディアのKPI設定はフェーズごとに、というのは前編記事でご紹介した通りですが、オウンドメディア分析においても同様の考えが適応されます。つまり、「○○段階だから△△の分析を行う」といったように、フェーズに適した分析を行う必要性があるのです。
例えば、「オウンドメディア立ち上げ段階」ですと、「滞在時間」や「直帰率」といったユーザーの行動(興味・検討)よりも、認知してもらうことが何よりも重要なので「流入数」や「記事公開本数」の分析を行う方がより効果的。一方、「エンゲージメント向上段階」では認知してもらうこと以上に、顧客満足度を向上していくことが重要になってくるので、「流入数」や「記事公開本数」ではなく「リピート購入率」や「継続利用率」の分析が重要になってきます。
このように、フェーズに応じて分析対象を変更することで、オウンドメディアの改善に繋がるのです。

⑤競合他社の分析

そもそもですが、競合他社とは自社と類似する商品やサービスを手掛けている他企業だけを指すのではなく、ターゲットオーディエンスが近い他企業も含まれます。商品やサービス軸だけで競合他社と捉えるのではなく、より広範な視野で競争状況を把握することが重要です。そうした視野を持つことでより競合他社の分析が役に立つでしょう。
競合他社の分析を行う理由は2つあります。「現在地の把握」と「独自性の発見」です。競合他社がどういったコンセプトや戦略を持っているのか、どのようなキーワードで記事を作成しているのかを把握することで、参考箇所の情報収集はもちろんのこと、自社オウンドメディアの現在地や今後目指すべき方向性が見えてくるでしょう。
競合他社の分析を行うもう一つの理由は、競合他社との差別化、つまり自社オウンドメディアの独自性は何かということを発見することです。競合他社との共通点と相違点を把握するということは、自社オウンドメディアの強みと弱みを把握することに繋がります

オウンドメディア分析で見るべき指標

分析に欠かせない心構えの次は、具体的にどの指標を見るべきかについて紹介していきます。
指標名と指標の定義だけではなく、なぜその指標を見るべきなのか、この指標の改善がオウンドメディア運営にどう影響するか、その指標を伸ばす改善策とは、についても紹介していくので分析時の参考にしてください。

①ページビュー数(PV数)

定義
オウンドメディア上の特定のページが表示された回数(ページ表示回数そのものをカウント)。

見るべき理由
コンテンツ記事への興味関心度合いの測定に適しており、どのコンテンツ記事がより多くのトラフィックを生み出しているかを把握できます。

この指標の改善がオウンドメディア運営にどう影響するか
PV数の増加は、ブランドの知名度向上に直結します。また、どのコンテンツ記事が最も閲覧されているかを把握することで、ユーザーの興味関心やニーズに沿ったトピックが何なのかを明らかにし、コンテンツ戦略の改善に役立てることができるでしょう。

改善策
コンテンツ記事のSEO対策を筆頭に、如何に閲覧してもらえるかという視点が必要不可欠です。タイトルやサムネイルに「惹き」を持たせること、多くの人が見たいと思えるようなテーマを選択していたかどうか。これらの要素を重点的に改善することでPV数は伸びていくでしょう。

②訪問者数(UU)

定義
オウンドメディアを訪れたユーザーのユニーク数。

見るべき理由
ユーザーの数を把握し、サイトのリーチやオーディエンスの規模感を理解するのに役立ちます。また、訪問者の属性(新規・既存、男性・女性等々)を踏まえてUUを見ることで、訪問者の属性や興味関心に合わせたコンテンツ戦略を立てることができます。
例えば、女性訪問客が多い場合は女性向けのコンテンツを充実させたり、新規訪問者が多い場合はウェルカムコンテンツを強化することで、訪問者のニーズに合致したコンテンツ記事を提供することが可能となるでしょう。

この指標の改善がオウンドメディア運営にどう影響するか
UUの増加が与える影響は、PV数の増加が与える影響と非常に似通っています。すなわち、ブランドの知名度向上と、ユーザーの興味関心やニーズの顕在化です。
加えて、訪問者の内訳を踏まえて分析、改善を行うことで、ターゲットオーディエンスを加味したコンテンツ戦略の改善やマーケティング戦略の改善が期待できます。

改善策
UUを改善するためには、多くの訪問者に興味関心を抱いてもらわなければなりません。そのためにはコンテンツ記事自体が魅力的で、かつ多様なコンテンツ記事を有していることが必須となってきます。
PV数の改善策と重複するのですが、如何にタイトルやサムネイルに「惹き」を持たせることができるのか、が鍵となってくるでしょう。サムネイル画像のコントラストをはっきりさせる、タイトルや強調したい文言はパッと見で伝わるようにする、認知度の高いブランド等はタイトルやサムネイルにブランド名を併記するなど、視認性を高めることも「惹き」を持たせる方法の一つです。

③CV数・CVR(コンバージョン率)

定義
オウンドメディア上で設定した目標を達成した実績値。
代表例としては、購入、資料ダウンロード、メルマガ登録、トライアル申し込み等が挙げられます。
一方のCVRは、設定した目標を達成した割合、つまりCVに至った割合を指します。母数は設定によって異なりますが、訪問者数(UU)で割ったもの、セッション数で割ったものが主流と言えるでしょう。

見るべき理由
オウンドメディア上の施策やコンテンツ記事がどれだけ効果的に目標達成しているかを把握することができます。加えて、コンテンツ記事の質の良し悪しを定量的に評価することにも繋がります。

この指標の改善がオウンドメディア運営にどう影響するか
実績値であるCV数の増加は、オウンドメディアの目標達成に直接的な影響を与えるケースが多いです。商品購入をCVと設定しているとCVの増加は売上向上に直結し、メルマガ登録をCVと設定しているとメルマガ登録者数の向上に直結します。
一方CVRは、先述した通りCVに至った割合を指すので、訪問者が求める情報や目標に沿ったコンテンツ記事になっているかどうかの判断基準となるでしょう。

改善策
CV、CVR共にコンテンツ記事の質が大きく影響を及ぼします。ターゲットオーディエンスのニーズにマッチしているのか、アクションを喚起させるCTAが適切に配置されているのか等々、再確認してみましょう。
メルマガ登録や資料ダウンロード時に、できるだけターゲットオーディエンスの情報を得たいという考えから、入力項目を多くしてしまうのも御法度です。入力項目が多いと途中で面倒に感じてしまい、離脱してしまうことが考えられます。

④平均ページ滞在時間

定義
訪問者がウェブサイト上で過ごす平均的な時間の長さを指します。つまり、1ページあたりの平均滞在時間のことです。

見るべき理由
訪問者がウェブサイト上でどれだけ時間を費やしているかを把握し、コンテンツ記事への興味関心度合いを評価するためです。ウェブサイト上での滞在時間が長ければコンテンツ記事の吸引力が高く、滞在時間が短ければ興味が持てない=すぐに離脱してしまうコンテンツ記事であると考えられます。
とはいえ、ページを開いたまま放置しているケースなども考えられるので、滞在時間が長いからといって必ずしも顧客満足度が高いコンテンツ記事というわけではありません。

この指標の改善がオウンドメディア運営にどう影響するか
平均ページ滞在時間の改善は、コンテンツ記事の品質と訪問者のエンゲージメント向上に繋がります。先述した通り、平均ページ滞在時間が長いということは、コンテンツ記事が訪問者の関心を引きつけ興味を持続させていることを示唆します。そのため平均ページ滞在時間を改善することは、より多くの訪問者の興味関心を引きつけることに直結するでしょう。
また、そうしたコンテンツ記事が多く存在するオウンドメディアは、ブランド認知度や訪問者のエンゲージメントも向上していきます。

改善策
何度も繰り返しますが、平均ページ滞在時間とコンテンツ記事の質は切っても切れない関係にあります。訪問者にとって如何に興味深く有益なコンテンツ記事を提供できるかどうか、が平均ページ滞在時間の改善には欠かせません。
コンテンツ記事の内容以外では、ユーザーエクスペリエンス(ウェブサイトのナビゲーション、可読性等々)が重要になってきます。見出しだけである程度の要点が把握できるか、適度に文字の装飾を行っているか、漢字とひらがなのバランスが最適か、を意識しユーザーエクスペリエンスの向上を目指しましょう。

⑤途中離脱率

定義
ウェブサイトの訪問者がページを閲覧している最中にサイトを離れる割合を指します(特定のページにアクセス後、他のページへの遷移を行わず、そのままサイトを離れてしまう訪問者の割合)。
離脱の条件としては、「他のウェブサイトに移動」「30分間一切操作されていない」「ブラウザを閉じる」が挙げられます。

見るべき理由
途中離脱率が高いとCVには至りません。商品購入やメルマガ登録などといったゴール(CV)に辿り着く前に、訪問者が離脱してしまうからです。つまり、途中離脱率を見ることは、オウンドメディアの目標達成に対して、どこで躓いているのかどこがネックになっているのかを把握するためと言えるでしょう。
加えて、コンテンツ記事の質やユーザーエクスペリエンスの観点においても、改善の余地があるのかどうかを判断することが可能になります。

この指標の改善がオウンドメディア運営にどう影響するか
上述したように、途中離脱率の改善はオウンドメディアの目標達成(CV)には欠かせません。また、途中離脱率は平均ページ滞在時間と表裏一体の関係であり、途中離脱率の改善(低下)は平均ページ滞在時間の改善(増加)と同義です。
そのため、途中離脱率の改善は平均ページ滞在時間の改善と同じ恩恵(コンテンツ記事の品質と訪問者のエンゲージメント向上)を受けることになります。

改善策
離脱してしまう理由として、大きく以下の2つが挙げられます。
①情報量が多く読むのが面倒になった
②タイトルやサムネイルで興味を持ったものの、記事内容が想像していたのと違った
①を改善するためには、「平均ページ滞在時間」の改善策でも記載した通り、ユーザーエクスペリエンスが重要になってきます。具体的には、こまめに見出しを入れたり、要点を表や箇条書きでまとめるなど、訪問者が欲しい情報に素早く辿り着けるような工夫を凝らすことが挙げられます。可読性を高めるための、文字の装飾や漢字とひらがなのバランスも意識しましょう。
②が発生する要因として、タイトルやサムネイルと記事内容のギャップが考えられます。例えば、「10分で身につく○○」という記事タイトルだとしても、実際10分で読了できない量であったり具体的な情報に乏しいとなると、タイトルで抱いた期待とは反した内容なので離脱に繋がりやすくなるでしょう。タイトルとサムネイルで知りたい読みたいという意欲を高め(期待の醸成)、記事内容で知りたい情報を提供することが重要です(期待の一致)

まとめ

本記事では「オウンドメディア分析における心構え」と「見るべき指標」について紹介しました。
冒頭で述べたように、データを抽出し見るべき指標を提示しただけでは、データ分析とは言えません。現状と傾向の把握→仮説の構築→仮説の検証(データ収集)→結論→意思決定、というフローに沿って初めてデータ分析と言えるのです。
また、前記事でも述べた通り、指標→閾値(トリガー)→アクションを連動させること、この一連の流れを念頭に置いてデータを解釈することで、本当に意味のあるデータ分析を行うことができるでしょう。

皆様のオウンドメディア運営の成功のために、本記事が少しでもお力添えできれば幸いです。ここまでお読みいただきありがとうございました

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株式会社UNCOVER TRUTH
ビジネスデベロップメントグループ DX-Acceleratorチーム

2022年、UNCOVER TRUTHに中途入社。
フロントエンドエンジニアを経験後、データ分析を行いたいとの思いから転職。
オウンドメディア分析、ダッシュボート構築をメインで担当。

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