目次
この記事が解決できること
- データマートがさまざまな企業で導入されている理由
- データマートの導入に必要な知識やスキル
はじめに
事業の拡大には、従業員や資産などさまざまなものが必要になります。自社および他社のデータもそのひとつです。
「データが多すぎて必要な情報がどこにあるか分からない。」
「データ管理の手間を省きたい。」
というようなお悩みを解消したい方には、「データマート(DM)」の活用がおすすめです。本記事では、データマートの概要や、メリットなどを紹介します。
「組織のデータ活用が上手くいかない」と感じている方はこちらの記事をご覧ください。
データマートとは?
データマートとは、特定の業務やテーマ領域に焦点を当てたデータウェアハウスのサブセットです。「顧客購買分析用」「ウェブアクセス解析用」といったように、目的別に用意されたデータのことを指します。
業務に必要なデータを管理・共有するためにExcelファイルやGoogleのスプレッドシートを利用している方もいるでしょう。ExcelファイルやGoogleのスプレッドシートは、便利なツールです。しかし、データ数が多くなるとファイルの詳細や保存場所の把握が難しくなり、余分な時間やコストを費やしてしまいます。
目的別に用意/整理されたデータマートを使ってレポートやダッシュボードを作成することで、組織の業務効率化やコスト削減、スマートで戦略的な意思決定を促します。
データマートの種類
データマートは、以下の3つに分類されます。
1.従属型データマート
従属型データマートとは、既存のデータウェアハウスからデータを直接引き出して構築されたデータマートです。データベースなどに格納されているデータは、データウェアハウスで再構築され、目的や用途ごとに分かれているデータマートへと格納されます。データの管理は、データウェアハウスで行われているため、データマートの管理が容易ですが、データウェアハウスが故障すると、データマートも故障します。
2.独立型データマート
独立型データマートとは、データウェアハウスを使用せずに構築されたデータマートです。特定のチームが情報にアクセス・分析することに長けています。データの追加や共有は容易ですが、データウェアハウスに従属しておらず、それぞれのデータマートが独立しているため、複数の独立型データマートをまとめて管理するのが難しくなります。
3.ハイブリッドデータマート
ハイブリッドデータマートとは、データウェアハウスと他の運用ソースを組み合わせたデータマートです。データクレンジングや独立したデータソースのテストなどが容易ですが、データソースが複数あるため、管理コストが高くなります。
データベース(DB)との違い
データベースとは、コンピュータシステム内に保存されている構造化された情報またはデータの集合体です。DBMS(データベース管理システム:Database Management System)によって制御されます。
データマートは、データベースの一種です。データベースは、汎用的な用途に合わせてデータを管理していますが、データマートは特定のテーマや業務領域に焦点を当てています。
データウェアハウス(DWH)との違い
データウェアハウスは、組織に必要な情報の収集・分析をサポートするために設計されたデータ管理システムです。目的が明確に定義された構造化データが大量に格納されているデータウェアハウス内は、アプリケーションのログファイルやトランザクションアプリケーションなど、さまざまなソースから派生しています。つまり、データウェアハウスはデータを扱いやすいように格納された倉庫だとすると、データマートは倉庫にあるデータを使って目的別に整形された分析用のデータを指します。
一般的にデータマートの容量は100GB未満なのに対し、データウェアハウスは容量が100GB以上あります。そのため、データウェアハウスは複数のサブジェクト(データごとのテーマ)を扱えます。
しかし、データウェアハウスの構築や管理には膨大な時間とコストを費やさなければなりません。データマートは、データウェアハウスにある膨大なデータから必要なデータを抽出することで、特定の部門やプロジェクトにおける分析やレポート作成の効率化を実現しています。
データレイクとの違い
データレイクは、ソーシャルメディアやクリックストリームデータなど、組織が利用する大量の構造化および非構造化データを管理するためのシステムです。データウェアハウスとは異なり、構造を事前に定義せずに膨大な量のデータを格納できます。
低コストで膨大かつ多様なデータを蓄積できますが、その分だけデータを扱いやすいように処理したり、バグの対応もしなければなりません。そのため、目的に合わせてデータを保管・利用するデータマートよりも管理コストが高くなる傾向があります。
データマートのメリット
データマートのメリットは、以下の2つです。
1.必要なデータへ手軽にアクセスできる
データマートに蓄積されているデータは、使用用途が限定されているため、少ない労力で必要なデータにアクセスできます。また、細かいレベルでデータアクセス権限を制御することが可能です。組織によっては気密性の高いデータを扱う場合もありますが、データマートであればセキュリティ面でも安心できます。
2.維持管理コストが抑えられる
扱うデータを限定することでデータの管理・分析がしやすくなったり、データマートを組み込んだダッシュボードの挙動が軽くなったりします。また、データベースやデータウェアハウスよりも構築しやすく、保守・運用が容易なため、維持管理コストが抑えられます。
データマートに必要なスキル
データマートを構築・保守・運用するためには、データフローの設計に必要なスキルや知識が求められます。ここからは、データマートを構築・保守・運用したい方に特に身につけてほしいスキルや知識を3つ紹介します。
1.SQL
SQL(Structured query language)とは、データベース内の情報を格納および処理するためのデータベース言語です。データベースから情報を格納、更新、削除、検索、および取得するためには、SQLが欠かせません。また、データベースのパフォーマンス維持および最適化もSQLの知識があれば実現可能です。
データウェアハウスからETLツールなどを通じてロードされたデータは、SQLの処理を通過することで目的に沿ったデータマートへと整形されていきます。
2.GCP
GCP(Google Cloud Platform)とは、Googleが提供しているコンピュータリソースにアクセスできるプラットフォームです。コスト管理やデータ管理、機械学習ツールなど、さまざまなコンピューティングサービスを利用できます。
GCPで提供しているサービスのひとつであるBigQueryを利用すると、データマートを設計・参照したり、BIツールとの接続したりできます。
BigQueryについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
3.AWS
従来のデータマートは、オンプレミスサーバーにインストールされているため、データマートのスケーリングが難しいなどの課題がありました。クラウドサーバーは、安価でスケーラブルなため、多くの企業で導入されています。
Amazonが提供しているクラウドサービスであるAWS(Amazon Web Services)は、主要なクラウドサーバーのひとつです。AWSの機能のひとつであるAmazon Redshiftは、クラウド上でデータマートを実装し、簡単にML(機械学習:Machine Learning)モデルを作成することで、スマートな意思決定が実現可能です。
データ活用にお困りの方はDX-Acceleratorにお任せください
今回は、データマートについて解説しました。
データ戦略は、ビジネスの目標達成に向けた組織全体の方向性を決定するのに欠かせません。データマートは、迅速なデータ分析や意思決定に役立ちます。データマートを活用し、データの収集・分析を効率化しましょう。
また、データマートを上手く活用できるか心配な方や、効果的なデータ活用を目指している方には、アナリティクスエンジニアの常駐型サポートサービス「DX-Accelerator」がおすすめです。
DX-Acceleratorについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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ご通読いただきありがとうございました。