目次
この記事が解決できること
- RDBが多くのユーザーに利用されている理由
- RDBの主要製品とその特徴
はじめに
近年は、オンプレミスだけでなく、クラウド型データベースも普及しています。多様なデータベースが提供されたことに伴い、さまざまな企業が独自のデータベースを構築、管理するようになりました。
一方で、必要なデータを効率的に抽出することやセキュリティの高さなど、データベースにおけるニーズも多様化しています。
データベース言語のひとつである「SQL(Structured Query Language)」を活用して構築や管理ができる「RDB(Relational Database)」は、データベースを必要としている企業や個人におすすめしたいデータベースのひとつです。
本記事では、RDBの特徴や主要製品などについて解説します。
社内DXをご検討の方は、こちらも併せてご覧ください。
RDBとは
RDBとは、データの集合体を項目の関係性ごとにまとめる「リレーショナルモデル」に基づいて構成されたデータベースです。大量のデータを格納、アクセス、更新、管理できます。
RDBでは、以下のようにデータベース上のクエリをテーブル状に整理し、関連するテーブルを紐づけています。
+----------+-----+-----+-----+
| Subject | Max | Min | Ave |
+----------+-----+-----+-----+
| Japanese | 90 | 30 | 45 |
| Math | 90 | 30 | 45 |
| English | 90 | 30 | 45 |
+----------+-----+-----+-----+
NoSQLとの違い
RDBは、効率的にデータへアクセスおよび取得するため、特定の形式でデータを格納しなければなりません。形式が固定されたデータを格納すると、データを取り扱う上でクエリが複雑化したり、データを正規化する際にテーブル数が増加したりする可能性があります。
RDBの課題である格納するデータ形式の制限を考慮して開発されたのが「NoSQL(Not Only Structured Query Language)」と呼ばれるデータベースです。
RDBとNoSQLの違いは、以下のとおりです。
RDB | NoSQL | |
---|---|---|
データの形式 | 特定の形式のみ | さまざまな形式のデータに対応可能 |
処理速度 | 容量が大きくなると遅くなる | 容量に関わらず一定 |
分散・拡張性 | 低い | 高い |
検索精度 | 複雑な条件での検索が可能 | 高度な検索ができない場合がある |
NoSQLは、RDBでデータやテーブルを扱うために必要なSQLを使用せずにデータやテーブルの作成、読み取り、更新、削除が可能です。そのため、NoSQLは、RDBよりもデータの処理速度が高くなります。一方で、RDBは多数のアプリケーション開発に利用されており、信頼性が高いのも特徴です。
RDBの特徴
NoSQLが普及しつつありますが、現在もRDBはさまざまなユーザーに活用されています。
ここからは、そんなRDBにおける5つの特徴を紹介します。RDBのことを理解し、使いこなせるようになりましょう。
RDBの特徴 5つ
- 正規化できる
- 容易にアクセスできる
- 高いデータセキュリティ
- スケーラブルではない
- 非構造化データが扱えない
1.正規化できる
データを特定の基準や形式に合うように変換することを「正規化」といいます。
RDBは、正規化が可能な信頼できるデータベースとして多くのユーザーに利用されています。また、複数のノードが親子関係をツリー状に保持している「階層型データベース」とは異なり構造が非常にシンプルです。そのため、複雑なクエリの設計は必要ありません。
2.容易にアクセスできる
階層型データベースや、ノードが網状に構成されている「ネットワーク型データベース」は、プログラムがデータ構造に依存してしまうため、アクセスが限定的になります。アクセスするためのルートが限定的になると、処理速度が高くなりますが、柔軟性や容量が低くなります。
RDBでは、データへアクセスする際、結合クエリや条件文を使用して、関連するテーブルを組み合わせて必要なデータを取得するため、どのテーブルでもクエリを実行することが可能です。また、任意の列または複数の列の値に基づいて結果のデータを変更することで、関連データを容易に取得することもできます。
3.高いデータセキュリティ
企業における機密情報の漏洩は、損害賠償や社会的な信頼性の低下など、甚大な損失をもたらします。そのため、データベースを利用する場合、機密情報の保護やデータ改ざんの防止など、さまざまな脅威からデータを守るために高いデータセキュリティが求められます。
RDBは、テーブルごとにセキュリティ設定が可能です。組織形態やデータの機密性に合わせてアクセスレベルを柔軟に変更することで、ユーザビリティを高められます。
4.スケーラブルではない
RDBはスケーラブルではないため、テーブルやデータの数が多くなると、構造が複雑になるため、処理速度が遅くなったり、処理が失敗したりするなど、全体的なパフォーマンスに悪影響を与えたりする可能性があります。
高いパフォーマンスを維持しようとしてデータベースの数やストレージを増やそうとすると、膨大なコストが掛かります。
RDBの中には、AWS(Amazon Web Services)が提供している「Amazon RDS(Amazon Relational Database Service)」などのように負荷の大きさに応じて規模や台数を引き上げる機能「オートスケーリング」が搭載されているものもあります。
5.非構造化データが扱えない
音声やデザイン、電子メールのデータなど、構造や形式が不明瞭なデータのことを「非構造化データ」といいます。
RDBは、テーブルを使用してデータを管理しているため、テキストデータしか扱えません。そのため、非構造化データなどは対応できません。
代表的なRDBMS
RDBを作成、読み取り、更新、削除するためには、「RDBMS(Relational DataBase Management System)」を使用します。
ここからは、5つの代表的なRDBMSとそれぞれの特徴を紹介します。
代表的なRDBMS 5つ
- Google Cloud Platform
- Oracle Database
- Microsoft SQL Server
- MySQL
- PostgreSQL
1.Google Cloud Platform
GCP(Google Cloud Platform)は、Googleが提供するクラウドコンピューティングサービスです。データストレージやデータ分析、機械学習など、多彩なクラウドサービスや管理ツールのセットが利用できます。
GCPで提供しているサービスのひとつである「Google Cloud Databases」では、あらゆる規模の企業や個人事業主に対して、企業向けの生成型AIアプリを構築するためのオプションを提供しています。また、「Gemini in Databases」を使用すると、AIを活用したデータベースの開発や管理などが可能です。
Googleは、データの可視化に役立つ「Looker Studio」なども提供しています。Looker Studioについて知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
2.Oracle Database
Oracle Databaseとは、Oracleがリリースしたマルチモデルデータベース管理システムです。オンプレミスやクラウド、NoSQLなど、さまざまなニーズに対応しています。
Oracle Databaseは、ORACLE MASTERなどの認定資格でも勉強できます。気になる方は公式HPや参考書をご覧ください。
3.Microsoft SQL Server
Microsoft SQL Serverとは、Microsoftが開発したRDBMSです。さまざまな規模やニーズに適したワークロードを提供しています。
データベースからデータを作成、読み取り、更新、削除するために使用する基盤となるソフトウェアコンポーネント「データベースエンジン」は、アクセス制御の設定やトランザクション処理が容易です。また、「SQL Server Machine Learning Services」では、SQLだけでなくRやPythonなどの言語にも対応しています。
4.MySQL
MySQLは、GPL(GNU General Public License)の条件下で公開されているオープンソースRDBMSです。ベル研究所が開発したOS(Operating System)であるUNIXから派生したOSやWindows、macOSなど、さまざまな環境に対応しています。
以前は、データベースエンジンとして「MyISAM」が活用されていましたが、現在は「InnoDB」が主流となっています。
5.PostgreSQL
PostgreSQLは、カリフォルニア大学バークレー校コンピュータサイエンス学部で開発された「POSTGRES, Version 4.2」を基に開発されたオープンソースRDBMSです。拡張性とSQLの準拠性を重視して開発されました。
複雑なクエリへの対応やトランザクションの整合性、マルチバージョン同時実行制御など、さまざまな機能が搭載されています。
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本記事では、RDBの特徴や主要製品などについて解説しました。
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