データベースの正規化とは?基礎知識から設計の流れをわかりやすく解説

データベースの正規化とは?基礎知識から設計の流れをわかりやすく解説

更新日:2024/12/17

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE
  • COPY LINK
クリップボードにコピーしました

この記事が解決できること

  1. データベース正規化の基礎知識と目的を知ることができる
  2. データベース正規化のメリットとデメリットがわかる
  3. データベースを正規化する流れを把握することができる

はじめに

データベースを効率よく使うためには正しい設計が重要ですが、正規化という手法は、つまずきやすいポイントの1つです。「なぜ正規化を行うのか」「具体的な手順が分からない」といった疑問を抱くことも多いのではないでしょうか。

本記事では、正規化の基本から目的、メリットとデメリットをわかりやすく解説し、具体的な手順として、第1正規形から第3正規形までの流れを詳しく紹介していきます。

データベースの正規化とは?

データベース設計の際に、避けて通れないのが正規化です。効率的で正確なデータ管理を実現するための基本的なプロセスですが、少しとっつきにくいと思うことはないでしょうか。

ここではまず、正規化がどのような考え方に基づいているのか、またデータベースにおける非正規形と正規形の違いについて、わかりやすく解説します。

正規化の基本概念とその背景

正規化とは、データベースを効率的かつ正確に管理するための重要な手法を指します。正規化の基本的な概念は、データを正確に分割し、各項目を適切な場所に配置することです。

この手法が誕生した背景には、情報量が増えるにつれて生じる「データの不整合」や「更新の手間」といった課題があります。大量のデータを扱う場合には、重複や矛盾を減らし、整合性を保つことが求められることから、小さな単位に分ける正規形という構造を使うのです。

非正規形と正規形の違い

非正規形とは、データが整理されていない状態であり、データが重複したり、矛盾が生じたりしやすくなります。同じ情報が複数の場所に記録されていると、更新や削除の漏れが起き、整合性が失われる可能性が高くなるからです。

一方、正規形とは、データを一定のルールに基づいて整理し、効率的に管理できるようにした状態です。正規形では、データが適切に分割され、冗長性が排除されているため、更新や削除の際に矛盾が発生しにくくなります。

データベース正規化の目的

データベース設計における正規化は、ただの技術的な手法ではなく、システム全体の品質に関わる重要なプロセスです。その目的は、データを効率的に管理し、長期的に見て信頼性の高い運用を可能にすることにあります。

ここからは、なぜ正規化を行う必要があるのか、具体的な目的を説明していきます。

データの整合性と一貫性の向上

正規化の主要な目的の1つは、データの整合性を高め、一貫性を保つことです。データベースにおける整合性と一貫性の維持は、システムが正しく機能するためには欠かせません。

正規化されたデータベースでは、各データが一元管理されるため、更新や削除が効率的に行えます。そのため、データが増えても運用が複雑化しにくく、信頼性の高いデータベース構築が可能になるのです。

システムの保守性向上

データベースの正規化は、システムの保守性向上にも大きく貢献します。正規化されたデータベースは、情報が一貫して管理されるため、更新や削除時の影響範囲を限定することが可能です。

ある項目の修正が必要になった場合、関連する全ての場所を修正する必要が無くなるため、保守作業の手間を軽減でき、エラー発生の抑制につながります。また、正規化された構造は、チーム内での理解を共有しやすくし、トラブルシューティングの効率化にも役立ちます。

データベース正規化のメリットとデメリット

データベースの正規化には、多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。正規化の効果を最大限に引き出すためには、メリットだけでなくデメリットも理解した上で、目的に合った設計を行うことが重要です。

本章では、正規化によるメリットとデメリットをそれぞれ詳しく解説します。

正規化のメリット

正規化によって得られるメリットは、データ管理を効率化し、システムの運用をスムーズにするものが多いです。ここでは、正規化の具体的なメリットを2つ紹介します。

  • ストレージの効率化
  • 更新・削除の整合性向上

ストレージの効率化

データを適切に分割し、管理することが可能になる正規化は、無駄なデータ重複を抑えられるため、ストレージの使用量を大幅に効率化できます。また、ストレージの効率化は、データ量の削減だけではなく、バックアップやリカバリー時の負担軽減といった運用上のメリットにもつながります。

特に、扱うデータ量が増える大規模システムであれば、ストレージの効率化が全体の運用コストに与える影響は大きいです。正規化はデータ管理だけでなく、長期的なコスト削減にも寄与する重要な手法といえます。

更新・削除の整合性向上

正規化を行うことで、データの重複や冗長性が排除され、情報が一元管理されるため、変更時の不整合や矛盾が発生しにくくなります。複数のテーブルに重複して存在する情報を1つのテーブルに集約し、他のテーブルとはキーで関連付けることで、更新や削除の際に一箇所の変更で全体の整合性を保つことができるからです。

このように、正規化はデータの一貫性を確保し、システムの信頼性を高めるために欠かせない手法です。適切な正規化を行うことで、データベースの保守性が向上し、運用時のトラブルを未然に防ぐことが可能になります。

正規化のデメリット

多くのメリットをもたらす正規化ですが、一方で注意すべきデメリットも存在します。ここでは、正規化の具体的なデメリットを2つ紹介します。

  • クエリの複雑化
  • パフォーマンス低下のリスク

クエリの複雑化

データの整合性を高めるために効果的な正規化ですが、クエリの複雑化について考慮が必要です。正規化により、データが複数のテーブルに分割されるため、情報を取得する際のSQLクエリが長くなり、理解や保守が難しくなることがあるからです。

例えば、顧客情報と注文情報が別々のテーブルに保存されている場合、顧客ごとの注文履歴を取得するには、両テーブルを結合するクエリを作成しなければなりません。このようなクエリは、テーブル数が増えるほど複雑になり、開発者の負担が増加します。

パフォーマンス低下のリスク

クエリの複雑化とあわせてあげられるデメリットが、パフォーマンス低下のリスクです。テーブルの結合を含むクエリは計算量が多くなるため、クエリの実行速度が低下する原因となり、システム全体のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。

クエリの複雑化やパフォーマンスの低下を回避するためには、データの整合性とクエリの複雑さとのバランスが重要です。メリットとデメリットを踏まえ、適切な設計を行うことで、システムのパフォーマンスとデータの整合性を維持できます。

データベース正規化の流れ

データベースの正規化は、効率的で整合性のあるデータ管理を実現するために、段階的に進められるプロセスです。特に、第1正規形から第3正規形にかけての各ステップは、それぞれ異なる目的を持ち、最終的にシステムの信頼性や保守性を高める役割を果たします。

ここからは、第1正規形から第3正規形の各ステップについて詳しく解説し、データベースを正規化する流れを説明していきます。

第1正規形(1NF)

第1正規形(1NF)は、データベース正規化の最初のステップであり、各セルには1つの値のみが含まれ、繰り返しグループや複数の値を持たない状態を指します。 例えば、顧客情報を管理するテーブルで、電話番号の列に複数の番号をカンマ区切りで入力している場合、各電話番号を別々の行として分けることで、1NFの要件を満たすことが可能です。

1NFを適用することで、データの一貫性が保たれ、検索や更新操作が容易になるとともに、データの重複や冗長性を排除できるので、ストレージの効率化にもつながります。正規化の第一歩として、1NFの理解と適用は非常に重要です。

第2正規形(2NF)

第2正規形(2NF)は、第1正規形(1NF)を満たした上で、部分関数従属性を排除することが目的です。部分関数従属性とは、複合主キーの一部にのみ依存する非キー属性のことを指します。

2NFに正規化するためには、部分関数従属性を持つ非キー属性を別のテーブルに分割し、主キーに完全に依存する形とすることが必要です。2NFを適用することで、データの冗長性が減少し、整合性が向上するため、データベースの保守性が高まり、効率的なデータ管理が可能となります。

第3正規形(3NF)

第3正規形(3NF)は、第2正規形(2NF)を満たした上で、非キー属性間の推移的関数従属性を排除することが目的です。推移的関数従属性とは、ある非キー属性が他の非キー属性を介して主キーに依存する関係を指します。

3NFに正規化するためには、推移的関数従属性を持つ非キー属性を別のテーブルに分割することで要件を満たせます。3NFを適用することで、データの冗長性がさらに減少するため、更新や削除時の整合性が一層向上するのです。

各ステップの目的

下記の表で、正規化の各ステップごとの目的を簡単にまとめました。それぞれがどのようにデータベース設計を最適化するのか理解することで、より実用的なデータベース構築に役立つはずです。

ステップ目的
第1正規形(1NF)データの重複や繰り返しを排除し、構造をシンプルにします。
第2正規形(2NF)部分的な依存関係を整理し、データの一貫性を向上させます。
第3正規形(3NF)非キー属性間の依存を排除し、さらなる整合性を確保します。

各ステップの解説で登場する「関数従属性」について、詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

まとめ

正規化は、難しそうに思えるかもしれませんが、その目的や流れを理解すると、データベース設計において重要な役割を果たしていることが分かります。データの重複を減らし、効率的に管理することで、長期的なシステムの安定性や運用コストの削減につながるのは大きなメリットです。

しかし、正規化を進めすぎるとクエリの複雑化や、パフォーマンスに影響を及ぼすこともあるため、システムの規模や目的に合った設計が大切です。「絶対にこうしなければならない」というルールはありませんので、まずは小さなプロジェクトで試してみてはいかがでしょうか。

データ活用でお困りの方へ

私たちDX-Accelerator事業では、データ活用についての様々なスキルを持った人材が常駐でデータ活用支援を行うサービスを提供しています。
当事業はローンチから約3年(24年9月時点)ですが、これまでに様々な業界・業種のお客さまのお手伝いをさせていただいております。

少しでも興味を持ってくださったり、すでにご相談をしたいことがある方はお気軽にご相談ください。現在あなたの組織のフェーズがどこにあるかは関係ありません。まずはお話をしましょう。

もう少しサービスについて知りたい方はサービス紹介資料もご用意しています。

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE
  • COPY LINK
クリップボードにコピーしました

関連記事

DX-Acceleratorについて
より詳しく知りたい方!

DX-Accelerator データ人材常駐支援サービス

即戦力の
アナリティクスエンジニアが
常駐支援!
まずはお気軽にご相談ください。

DX-Acceleratorについて
より詳しく知りたい方!